『タイタニック』セットを大きく見せるために背が低いエキストラだけ採用したとジェームズ・キャメロン

ジェームズ・キャメロン監督は映画『タイタニック』(1997)で、意外な方法を使ってセット費用を節約していたのだそうだ。身長の低いエキストラだけを起用し、相対的にタイタニック号を大きく見せていたのだという。
今となっては歴代映画トップ4の累計興行収入成績を誇る『タイタニック』だが、製作前はそれこそ沈没する運命にある映画だと信じられていた。同じく海に舞台したキャメロンの映画『アビス』(1989)が大苦戦を強いられた後だったし、また別の映画『ウォーターワールド』(1995)も、海の冒険を描いたが不振だった。タイタニック号沈没の物語はすでに何度も擦られていて、今更なんの新鮮味もないと見られていたのだ。
「当時はこの映画で元を取るなんて、不可能だと思われていた」と、キャメロンは米Los Angeles Timesにて振り返っている。そこで彼らは知恵を絞って予算を節約した。「セットを大きく見せるために、エキストラは身長の低い方だけを採用しました。身長172cm以上の人は不採用にしたんです」とキャメロンは明かしている。「このキャスティングには100万ドル相当の価値がありましたね」。
172センチ以下で低身長なのだろうかという疑問があるので、アメリカの平均身長を調べてみよう。Our World in Dataによると、『タイタニック』が撮影された1990年代のアメリカ人の平均身長は175.2cmということだから、平均身長よりも3cm以上低いエキストラのみに絞っていた、ということになる。主演レオナルド・ディカプリオの身長は、公表によると183cmとされている。ちなみに当時の日本人の平均身長は、30代男性が170cmほど、女性は157cmほどだ。
そのほか、船が氷山に衝突する前後では三種類のセットが計画されたが、うち一つを諦めたことで75万ドルを節約したことも語られている。このシーンでは、衝突前のセット、衝突後に船が3度傾いたセット、6度傾いたセットの3通りが綿密に計画されていたが、3度のセットを放棄したのだという。
ただ、「最も賢明だったのは、沈没シーンを最後に撮ったことです」とキャメロン。「それは戦略のためというよりも、そうしないと見た目が良くないからです。船を沈めて、また翌朝引き揚げるというわけにはいきませんから」。
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Source:Los Angeles Times,Our World in Data,社会実情データ図録