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『タイタニック 愛のテーマ』 今も洋楽カラオケ1位の名曲 ─ メタルやパンク、クラシカルなアレンジで

タイタニック
©Paramount Pictures 写真:ゼータイメージ

ジェームズ・キャメロン監督・脚本、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット主演の1997年の名作映画『タイタニック』。その主題歌、『タイタニック 愛のテーマ』として知られるセリーヌ・ディオンの『My Heart Will Go On』も、映画同様に大ヒットを記録した名曲だ。

1997年のアカデミー賞では歌曲賞に輝き、グラミー賞やゴールデングローブ賞も総なめにしたこの曲、「史上最高の映画主題歌」のひとつであることに異論を唱える声は少ないだろう。

世界を代表する歌姫セリーヌ・ディオンの代表曲で、完ぺきに歌いきるには難しい曲だが、カラオケでトライしてみたというファンも少なくないのでは。実際、カラオケ「DAM」の洋楽ランキングでは、2020年の年間でもこの曲が1位。つまり、今でも日本人に最も愛され、歌われている曲と言っても過言ではないのだ。

そんな名曲は、これまで世界でも様々なバンドやアーティストにカバーされてきた。ここでは、メタルバンドからクラシックにいたるまで、いくつかのカバーをご紹介しよう。原曲の持ち味を活かしたアレンジから、印象をガラリを変えたアレンジまで。あなたはどのバージョンが好み?

ドラゴンフォース(パワーメタル)

まずご紹介したいのが、イングランド出身のパワーメタル・バンド、ドラゴンフォース(DragonForce)」による、大西洋も泳断できてしまいそうにアグレッシブなメタル・カバー。ドラゴンフォースといえば、パワーメタルや「メロスピ」と略されるメロディック・スピード・メタルといった、疾走感溢れるメロディックな楽曲で知られるバンド。「メタルバンド」と聞いて一般的に想像する重くて激しい音楽ではなく、爽やかでファンタジックな演奏が特徴だ。

『My Heart Will Go On』は心の琴線に触れるような美しいメロディが特徴なので、メロスピが主戦場のドラゴンフォースにはもってこい。彼らが得意とする、刻み込むようなリフに、タイトに畳み掛けるドラムス、そしてボーカル、マーク・ハドソンの伸び上がるようなハイトーンボーカルを聴くことができる。ギターヒーロー、ハーマン・リとサム・トットマンの煌めくソロも炸裂。

ちなみにこのジャンルでは、フィンランドの「バトルドラゴン(Battledragon)」というメロディック・メタルバンドのカバーもある。少々凡庸なアレンジだが、ドラゴンフォースとの聴き比べも楽しい。

ニュー・ファウンド・グローリー(ポップパンク)

切なさで胸いっぱいになる『My Heart Will Go On』も、ニュー・ファウンド・グローリー(New Found Glory)の手にかかれば、フロリダの日差しがさんさんと降り注ぐような、ブリージーなポップ・パンク・チューンに大変身。すでに「ヒット・オア・ミス」でスマッシュ・ヒットを記録していた彼らの、若さ溢れるエネルギッシュなアレンジがほとばしる。

これは彼らがキャリア初期の2000年にリリースしたEP『From The Screen To Your Stereo』に収録されたもので、このEPでは本曲のほかにも『アルマゲドン』や『ネバーエンディング・ストーリー』など名作映画の主題歌もカバーしている。そういえば2000年代のあの頃は、こうした有名曲のパンク・カバーが流行っていて、ヴィレッジ・ヴァンガードの店内なんかでよく流れていたっけ。

エンパイア(スクリーモ)

1990〜2010年代に勃興した、パンクやハードコアのサブジャンルの「スクリーモ」。このジャンルからは、エンパイア(Empire)というバンドが『My Heart Will Go On』をカバーしている。

スクリーモとは「scream」と「emo」を組み合わせた名で、主にポストハードコアをベースにした激情的な演奏に、スクリーム(シャウト)とクリーントーンボーカルを組み合わせた音楽性を指すことが多い。このカバーは、今聴くとアレンジも一辺倒で荒削り感は否めないが、原曲のエモーショナルさにエッジを効かせた、スクリーモの初期衝動を思い出させるチューンとなっている。

このバンド「Empire」については情報が少なく、残存しているInstagramページによると2011年に解散ライブを行っている模様だ。ちなみにこのトラックは、さまざまな若手バンドが他ジャンルの有名曲をカバーする人気コンピレーション『Punk Goes』シリーズが2012年にまとめた『Punk Goes ’90s unreleased EP』に収録されていたもので、今では入手困難となっている。

マシュー・キイチ・ヒーフィー(メタル)

少々番外編の扱いとなるが、メタルバンド「トリヴィアム(Trivium)」のフロントマン、マシュー・キイチ・ヒーフィーも、ひとりで『My Heart Will Go On』をカバーしている。

キイチは自身のYouTubeチャンネルで様々な曲の弾き語りカバーを披露していて、ここではディストーションがドンシャリ効いたギターと口笛、そして得意のシャウトを操ってこの名曲にトライ。後半ではまさかのハイトーンボーカルまで聴かせている。いつかフルバンドでのカバーも聴いてみたいものだ。

2Cellos(チェロ)

バンドものが続いたので、クラシカルなアレンジもご紹介しよう。二人組のチェリストのデュオとして知られ、日本でもCM起用で話題を呼び、東日本大震災の際には日本各地でチャリティライブを行ってくれた2Cellosによる美しいカバー。

『タイタニック』の映画では沈没の直前までデッキで演奏を続けた音楽隊が描かれたが、2Cellosのカバーも、そんな名場面を彷彿させる感動的な演奏だ。オーケストラの各パートが幾重にも重なり、そのまま舞い上がるようにして最高潮に達するクライマックスは鳥肌モノ。

この楽曲からは、映画をイメージしたミュージックビデオも公開されている。沈没したタイタニック号とその乗客の魂に寄り添うような、ドラマチック仕上がりだ。映画とあわせて視聴してみて。

サラ・ブライトマン(ソプラノ)

日本でも『オペラ座の怪人』やサッカー番組によく使用される「クエスチョン・オブ・オナー」、「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」などでおなじみのサラ・ブライトマン。タイトルを「Il Mio Cuore Va」として、イタリア語でカバーしている。

本家のセリーヌ・ディオン版に比べて、丸みを帯びた優艶な歌声が包み込むように響く。クライマックスでは一気に歌声を変え、魂が振動するような心地を味わうことができる。

ケルティック・ウーマン

2006年にフィギュアスケートの荒川静香選手が「ユー・レイズ・ミー・アップ」を使用したことで日本でも大ブレイクしたケルティック・ウーマン(Celtic Woman)」によるカバー。2017年のアルバム「Voices of Angels」の1曲目に収録されている。

4人のメンバーが代わる代わる歌声を披露していき、やがて折り重なっていく抜群のコーラスワークが感動的だ。ちなみにYouTubeでは、メンバーが一発撮りでこの曲を歌う、今で言う「THE FIRST TAKE」のような企画でのバージョンも見ることができる。

ショッピングモールのバンド

ちなみに2019年、ショッピングモール(メキシコ)が大雨で浸水したとき、ミニステージにいたバンドが即興で『My Heart Will Go On』を演奏したことが話題になったことがある。このバンド、演奏を終えるや「君たちと演奏できて光栄だった」と、言ったとか言わなかったとか。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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