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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』冒頭のルークの行動、その真意は ― 監督語る「正直な反応だと思う」

©THE RIVER

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)の直後から始まる。やっとのことでルーク・スカイウォーカーの居場所を突き止めたレジスタンスは、彼が隠遁生活を送っている惑星オクトーへレイを送り込むのだ。念願の対面を果たした彼女は、ルークのライトセーバーをいよいよ本人に手渡す……。

しかし、そこでルークが取った行動は、レイはもちろん多くの観客を驚かせるものだった。なぜルークはそうしなければならなかったのか、ライアン・ジョンソン監督が米Colliderにて解説している。

注意

この記事には、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の重大なネタバレが含まれています。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

ルークがライトセーバーを投げ捨てた理由

レイからライトセーバーを受け取ったルークは、かつて自らが扱っていた武器を見つめると、肩越しに背後へポイッと投げ捨てる。ルークにとって、レイにとって、そしてファンにとってもあれほど大事なライトセーバーを、なぜそんな風に扱うのか……?

ライアン監督は、「みんなはこういうのを期待してるだろうし、ライトセーバーを投げさせちゃえ、ハッハッハ!みたいに思ってたわけじゃないんですよ」と語る。「あの時、あれ以外に、彼の正直な反応が想像できなかったんです。」

『最後のジェダイ』に登板したライアン監督が直面した疑問、それは“ルークはなぜ一人で島にこもっているのか?”というものだった。この謎に正当な回答を与えることが、本作を執筆する上で、まずは大きな課題になったのだという。

「私たちが想像する以上に、(ルークには)選択肢がなかったんだと思うんです。『フォースの覚醒』でわかったのは、彼が自分自身を戦いから切り離したということ。友人たちが懸命に戦っている中で、彼は一人で孤島に逃れたわけです。僕は、ルークがヒーローであることを知り、ルークとともに成長した者として、彼は、自分自身を問題から遠ざけるのが正しいと考えているに違いないと思いました。最後のジェダイである彼は、ジェダイを問題から遠ざけることが、“この戦いからジェダイを排除する”と宣言することが、宇宙にとって一番いいと考えたに違いないんです。」

したがってルークは、自分がジェダイであることを誰よりもよく理解しているがゆえに、惑星オクトーで自分自身を孤立させねばならなかった。そう決意したルークの徹底した行動は、ライアン監督いわく「宇宙で最も勇敢かつ最も賢い人たちをもって、彼を見つけるのに映画一本分を要した」ほどの結果を招くことになったのである。

では、それほどの努力を払って、“宇宙で一番見つかりづらい場所”に身を隠したルークのもとに、ある日突然、ライトセーバーを手にした少女が現れたとしたら……。

「知らない子供がやってきて、希望に満ちた目で彼の顔を見つめるわけですよ。“はい、どうぞ”って渡したら彼はどうするかな、手に取って“よし、宇宙を救いに行こう”って言ってくれるかな、みたいな顔をしてね。でも、彼がこの選択をして、あの場所にいたことには理由があるわけです。
(ライトセーバーを投げ捨てるのが)ショッキングなものになることはわかっていました。それでもそうしたのは、それが劇的な表現になるからだし、それに、彼があの時に取るだろう正直な反応だったからなんです。

冒頭ではジェダイという存在を抹消する方向に動き、レジスタンスにも協力しようとしなかったルークは、のちに自らを犠牲にして、ジェダイという伝説を自ら体現することになる。劇中、惑星オクトーを実際には一歩たりとも出なかったルークの心の中では、実に大きな変化が起こっていた。そのスタート地点として、ライトセーバーを投げ捨てるという行為は自然なものだったのだろう。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国の映画館にて公開中。

Source: http://collider.com/the-last-jedi-luke-lightsaber-scene-explained-rian-johnson/
©THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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