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実写版『リトル・マーメイド』水中なのにどうやって歌うの?アニメだからこそ成立した表現、どう描く

リトル・マーメイド
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これまでにディズニー・ルネサンスのアニメ映画は、『美女と野獣』(2017)や『アラジン』(2019)などが実写化されているが、『リトル・マーメイド』では他の作品とは大きく異なる要素がある。それは水中での歌唱だ。アニメだからこそ成立していたような水中での歌唱を、どのように実写映画で再現したのだろうか?

Empireでこの質問に答えたロブ・マーシャル監督は、「前例がないからこそ、その恐怖が僕の中にある何かに火を点けました」と前置きしながら、いかに水中での歌唱シーンに挑んだかを説明している。

「歌の導入の仕方は非常にデリケートです。非現実的な世界で描くわけですからね。水上で映画が始まって、別の世界へ入り、すぐにそれ(地上から海中への切り替え)を受け入れるんです。うまくいかせるために、自分でルールを作らなければなりませんでした」

抽象的な説明だが、予告編では主人公アリエルが海で歌唱するシーンは、水中だからといってアリエルが息苦しそうに歌うでもなく、自然に口を動かして声を発しており、それはキャラクターたちが喋るシーンにも該当する。キャラクターが水中にいることは、周囲の情景はもちろんのこと、潮の流れにたなびくアリエルの髪の毛や、海上から差した陽光が波で揺れ動く影などで判断がつく。

監督は、そういった陸と海の違いを繊細に切り替えることで、自然な水中での歌唱シーンを再現したと言いたかったようだ。実際に、「アリエルが水中で歌っている」と意識しながら予告編を見た人は少ないのでは。その実現は、監督や製作チームの細かい配慮と努力の賜物だと言えそうだ。

また監督は、曲「アンダー・ザ・シー」が使用されるシーンについて「最も複雑でした」とコメント。海の生物はCGIで制作されたが、それらの動きはアフリカ系アメリカ人のモダン・ダンス集団、アルビン・エイリー・アメリカン・ダンスシアター・カンパニーの振り付けを参照し、海の生き物たちを再現するために使用したとも話している。「ミュージカルナンバー(のシーン)全体を、彼らの身体の動きで表現したかったんです。ウォルト・ディズニーが『ファンタジア』を製作した時に、バレエ・リュス・ド・モンテカルロと一緒に仕事をしたことを考えました」と述べ、ディズニーの生みの親をお手本にしたことも明かした。

映画館では水中での歌唱シーンや、陸と海の違いを意識ながら観賞するのも楽しみの一つになりそうだ。『リトル・マーメイド』は2023年6月9日に日本公開。

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    Source:Empire

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    Hollywood

    ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行に料理と、読書とキャンプ。

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