『トイ・ストーリー3』ウッディのラスト、「過去作のセリフの再定義」だった ─ 脚本家が明かす深い裏話

『トイ・ストーリー3』のラストでウッディは、アンディとともに大学に行くつもりでいた。しかし土壇場になって心変わりする。バズ・ライトイヤーら仲間たちやアンディと収まった写真を見たウッディは、引っ越し用の「大学」行き段ボールから、密かに「屋根裏」行きダンボールに移動していたのだ。
その後、オモチャの仲間たちが詰まった「屋根裏」ダンボールは、近所の少女ボニーに譲渡されることになる。新しい持ち主の元に移ったあと、ウッディたちは走り去るアンディの車を見送る。最後にウッディは「あばよ、相棒」と呟く。
アートンはここで、シリーズの過去作に描かれたことに立ち返ったのだという。「“俺たち役目は、そこにいることだ”、というものです」。
確かにシリーズの1作目『トイ・ストーリー』(1995)の冒頭で、ウッディは「アンディが俺たちを必要とする時に、そこにいることだ。みんなそのために作られたんだろう?」とスピーチしている。また、『トイ・ストーリー2』(1999)では、「子どもを幸せにしてこそオモチャじゃないか」とジェシーに説いている。オモチャとは、子どもを幸せにすること、アンディの側にいること。それが、ウッディの考える存在理由だった。
「そして(『3』の)悟りの瞬間、その言葉の意味合いが哲学的なものに変わる」と、アートンはエンディングの裏テーマを明らかにしている。「過去作で描かれた言葉に戻っていくのです。“俺たちの役目は、アンディの側にいることだ”と。私はそこで、“側にいること”という言葉の意味を再定義したのです」。
ウッディはアンディは見送ったことで、もう物理的に彼の側にいることはなくなった。しかし、あらゆることを受け入れたウッディにとって、アンディのために“側にいる”方法が別のものに変わったのだ。
“相棒”ウッディは、煌めくように幸せな思い出と共に、いつまでも彼の側で、勇敢なカウボーイとして存在し続ける。そのことはアンディも、ボニーに譲り渡す際に口にしている。「ウッディの一番すごいところは、友だちを見捨てないってこと。絶対に。何があっても、側にいてくれるんだ」。
かくして、“側にいる”ということの意味を再定義した『トイ・ストーリー3』。改めてシリーズ第1作のテーマ曲「君はともだち」を振り返れば、その歌の意味がより深く感じられる。
「おれがついてるぜ / おれがついてるぜ / つらいことばかりでも / きみはくじけちゃ だめだよ / おもいだせよ ともだちを / きみのすぐそばに / いつもおれがいる」
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Source:Scriptapart