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祝・続編!『トレインスポッティング』を今スグ観返したくなる小ネタ集

トレインスポッティング

人生で何を選ぶ?

仕事、家族、大型テレビ。洗濯機、車、CDプレーヤー。
健康、低コレステロール、保険。固定金利の住宅ローン、マイホーム、友達。
レジャーウェア、ローンで買う高級なスーツとベスト、暇つぶしの日曜大工。
くだらないクイズ番組、ジャンクフード、みじめな老後。ガキにも疎まれる将来。

そんなオープニングで始まる映画といえば…『トレインスポッティング』だ。

ポップで破滅的、愉快なアンダーグラウンドの青春映画の金字塔『トレインスポッティング』が2017年春、また帰ってくる!

今回は『T2 トレインスポッティング』を観る前に、1996年に公開された『トレスポ』がもう1度観たくなる細かい小ネタをご紹介しよう。

90年代、”ブリットポップ”ファッション

『トレインスポッティング』のファッションは独特だ。みんな小汚いジーンズを履き、ジャージを羽織り、ユアン・マクレガー演じる主人公レントンは坊主頭。

この坊主頭は70年代から80年代にイギリスの若者たちの間で流行した”スキンズ”の名残り。そしてジャージを普段着として着こなすファッションは”ブリットポップ”と呼ばれるものだ。

http://www.imdb.com/title/tt0117951/mediaviewer/rm2973173504
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普通は運動着として着るジャージをおしゃれに着こなしている90年代のイギリスの若者。同じ90年代のイギリスの少年たちを描いた映画『スウィートシックスティーン』でも登場人物たちはみなぶかぶかとしたジャージ姿。

http://www.imdb.com/title/tt0313670/mediaviewer/rm3568344832
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ぴちぴちとしたTシャツにジャージ…一歩間違えれば確実にダサくなるファッションなのだが、若く細いユアン・マクレガーが着るとなんだか小汚くてもかっこよく見えるから不思議だ。

レントンのクローゼット

おしゃれな映画の登場人物たちはたいてい同じ服を劇中で着ないものだが、レントンのファッションを見るときちんと着まわしていることがよく分かる。
ここでは、レントンのクローゼットの中身をリストアップしてみよう。

Tシャツ

  • 裸の女性がプリントされている黄色いTシャツ(1番レントンがお気に入りと思われる)

  • シンプルな白Tシャツ

  • 緑のロングTシャツ
  • 柄がミックスされたロングTシャツ


ボトム

  • ブラックデニム

  • ブルーデニム


スニーカー

  • 白のコンバース

  • 赤のラインが入ったスニーカー


ジャケット

  • ブラウンのスタジャン

  • デニムジャケット

などなど。これらをうまく着回しているのだ。「あの服さっきも着てた!」「デニムは一緒だけれど、Tシャツは違うものを着てる!」と、レントンの着こなしに注目して観るのも楽しみ方の1つかもしれない。

ベグビーって誰だっけ?

さて、『T2 トレインスポッティング』で前作よりも重要な役割を果たしていると噂されているレントンの悪友、ベグビー。

ベグビーと聞いて、顔をパッと思い浮かべられるだろうか?
根はいいやつだけれどねずみ男っぽいルックスのスパッド、イケメンかつ厨二心を刺激されるネーミングのシック・ボーイ…ではなく、1人ひげを生やしていたちょっとおじさんぽいやつがベグビーだ。

http://www.imdb.com/title/tt0117951/mediaviewer/rm2342592000
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レントンたちがジャージやTシャツなどヨレヨレした服を着ていたのに比べ、ニットに革靴など少し大人ぶった(?)格好をしていたベグビー。ヤク中というよりはとにかく喧嘩っ早い男なのだ。ベグビーは『トレスポ』の最後に、バーで客と喧嘩する。その時の台詞はこんな感じだ。

「スーツが汚れたじゃないかよ!(Fワード)」

あれ、どこかで似たような台詞を聞いたことはないだろうか。そう、映画史に名を残す悪者の1人、ゲイリー・オールドマン演じる『レオン』(1994)のスタンフィールドだ!

http://www.imdb.com/title/tt0110413/mediaviewer/rm3534357504
http://www.imdb.com/title/tt0110413/mediaviewer/rm3534357504

クラシックをかけながら殺しを行うイカれたスタンフィールドも、スーツが汚れてキレるシーンがある。
ちょいヒゲといい、スーツといい、ベグビーのキャラクターはもしかしたら『レオン』のスタンフィールドからインスピレーションを受けたのかもしれない。

ヤバくてもかわいい、ダイアン

『トレインスポッティング』のヒロインはケリー・マクドナルド演じるダイアン。レントンをはじめとする青年たちが主役のトレスポだが、このダイアンもなかなかものすごい女の子だ。ティーンエイジャーなのにセックス、ドラッグもいける。クラブで声をかけてきたレントンに言い放った台詞はこうだ。

 

「それがあなたのいつもの手なの?それともナンパは初めてとか?あなたの本性を当ててあげるわ。実は繊細で冒険好き、情熱的、ちょっとイカれてる。でもそんな男に女は弱いものよ」

あっけにとられるレントンをよそに自分はさっさとタクシーへ。どこでこんな台詞を覚えたんだろう。10代ながらも、こんなことを言い捨てられる女の子がいるだろうか?

ダイアンのファッションも、当時の流行をバッチリ押さえていて、とびきりかわいい。

http://www.telegraph.co.uk/films/2016/08/13/kelly-macdonald-interview-my-matrix-audition-was-horrible/
http://www.telegraph.co.uk/films/2016/08/13/kelly-macdonald-interview-my-matrix-audition-was-horrible/

90年代に一世を風靡したイギリス人モデルといえば、ジョニー・デップの元恋人としても知られるケイト・モス。ガリガリに痩せた少年のような体型のケイトは、”ウェイフモデル(浮浪者のようなモデル)”という言葉を生み出した。

グランジファッションが似合う、不健康なイメージ。90年代の雰囲気に彼女はマッチしていたのだ。そんなケイト・モスも、当時はダイアンのようなファッションをしていた。

http://www.marieclaire.com/fashion/g2281/best-kate-moss-photos/?slide=16
http://www.marieclaire.com/fashion/g2281/best-kate-moss-photos/?slide=16

こちらのケイト・モスが着ているキャミソールワンピース。クラブで佇んでいる時のダイアンの服装とよく似ている。当時はシンプルな形のドレスがトレンドだったようだ。

とびきりの美人というわけではないものの、どこか目が離せなくなる魅力のダイアン。彼女が『T2 トレインスポッティング』で、どんな女性に成長しているのか楽しみである。

よく見ると『時計じかけのオレンジ』?

こちらはレントンがダイアンをつかまえたクラブのとある部屋である。壁に書かれた文字を見てほしい。どこかで見覚えがある字体ではないだろうか?

http://www.collativelearning.com/mybb_1401/Upload/showthread.php?tid=1517
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そう、スタンリー・キューブリック『時計じかけの部屋』のアレックスたちが通っていたクラブだ。

http://www.imdb.com/title/tt0066921/mediaviewer/rm3079518464
http://www.imdb.com/title/tt0066921/mediaviewer/rm3079518464

『時計じかけのオレンジ』も、ドラッグに溺れ暴力で快感を覚える青年たちの破滅的な物語だ。作品の雰囲気は異なるものの、ドラッグまみれの生活を送る青年たちの映画、熱狂的なファン生んだカルト映画という点では同じである。このクラブの部屋は、ひょっとしたら『時計じかけのオレンジ』 のオマージュなのかもしれない。

『時計じかけのオレンジ』での暴力シーンとクラシック音楽の融合、『トレインスポッティング』でのスタイリッシュな場面と汚らしい場面のシークエンス・・・違う2つの要素を立て続けに脳内に放り込まれると、あっという間にその作品の世界に引き込まれてしまう。

ドラッグにまみれた生活、私たちは経験したことがないはずなのに、なぜだか登場人物たちの感情はリアルに感じてしまう。決してファンタジー映画ではないのに、観終わったあとは全く別の世界に行ってきたように感じられる。そこがカルト映画、『トレインスポッティング』の魅力だ。

20年後の世界でレントンたちはどんな大人になっているのか。彼らが最後に選択するものはいったい何なのか。『T2 トレインスポッティング』が待ちきれないあなた、今回ご紹介したポイントを意識してもう一回『トレインスポッティング』を観返してみてはいかがだろうか?

Eyecatch Image:http://www.imdb.com/title/tt0117951/mediaviewer/rm2973173504

Writer

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Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)