『トロン:アレス』ナイン・インチ・ネイルズが音楽に起用、どんなバンド? ─ 「NIИ」ロゴもお馴染み世界的インダストリアル・ロックバンドに迫る

ディズニーの「D23:アルティメット・ディズニーファン・イベント」にて、革新的なSFアクション映画『トロン』シリーズの第3弾『トロン:アレス(原題:Tron Ares)』で、ナイン・インチ・ネイルズ(以下NIN)が音楽を担当することが発表された。NINとはどんなバンドなのか、この機会に紹介することにしたい。
ナイン・インチ・ネイルズ(以下NIN)は、1988年にオハイオ州クリーブランドでフロントマンのトレント・レズナーによって結成された米国のインダストリアル・ロックバンド。ダークで激しい実験的なサウンドをフィーチャーしたデビューアルバム『プリティ・ヘイト・マシーン(Pretty Hate Machine)』(1989)は、ロック界でくすぶり始めていたオルタナティブロック及びミクスチャーロックブームの火付け役となり、同作は米国で300万枚を売り上げるスマッシュヒットとなった。
続いてリリースされた『ザ・ダウンワード・スパイラル(The Downward Spiral)』(1994)は全世界で900万枚を売り上げ、NINはモンスター級のバンドに成長。同作からシングルカットされた「クローサー(Closer)」と「マーチ・オブ・ザ・ビッグス(March Of The Pigs)」のミュージックビデオはMTVでヘヴィ・ローテーションとなり、同アルバムと同様に90年代を語る上で欠かせない作品となった。まさに時代の寵児となったNINが、音楽業界や次世代のアーティスト、ポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。
2000年代もNINは続いて『ウィズ・ティ―ス(With Teeth)』(2005)、コンセプトアルバム『イヤー・ゼロ~零原点…(Year Zero)』(2007)、『ヘジテイション・マークス(Hesitation Marks)』(2013)などのアルバムをリリースし、インダストリアル・ロック界に君臨。その頃にリーダーのトレント・レズナーは有り余る才能をバンド活動の外へ向け始め、デヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』(2010)にて、作曲家・音楽プロデューサーのアッティカス・ロスと共同で初めて長編映画音楽を担当。2人はアカデミー賞作曲賞を受賞し、ロスは2016年にNINのメンバーとなり、バンドは2020年に栄誉あるロックの殿堂入りを果たした。
その後も映画音楽を数多く手がけているレズナー&ロスは、特にフィンチャー監督とのコラボレーションで知られ、『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)、『ゴーン・ガール』(2014)、『Mank/マンク』(2020)、『ザ・キラー』(2023)でもスタイリッシュかつ緊張感あふれるサウンドを提供。2人は、ディズニー映画『ソウルフル・ワールド』でもアカデミー賞作曲賞に輝き、『ボーンズ アンド オール』(2022)『エンパイア・オブ・ライト』(2022)『チャレンジャーズ』(2024)などの楽曲でも高い評価を得ている。
また、音楽だけでなくNINは、2つ目の「N」を裏返しにしたロゴ「NIИ」もポップカルチャーに浸透しており、「NIИ」のTシャツを着たキャラクターが登場する映画やドラマシリーズを挙げたら切りがないほど。90年代を舞台にしたマーベル映画『キャプテン・マーベル』(2019)では、主人公キャロル・ダンヴァースがNINのTシャツを身に着けた姿も印象的だった。

JEFF BRIDGES, GRETA LEE, EVAN PETERS, JARED LETO
『トロン:アレス(原題)』では、NINがその実験的かつ多様なサウンドで、再び映画ファンを魅了してくれるのではないだろうか。待望となるシリーズ第3作の出演者はジャレッド・レト、グレタ・リー、エヴァン・ピータースら。監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)ヨアヒム・ローニング。2025年10月10日に米国公開予定。
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Source:Nine Inch Nails , The Hollywood Reporter