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【ネタバレ】『ザ・スーサイド・スクワッド』ポストクレジットシーン解説 ─ ジェームズ・ガン監督が語る

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
© 2021 WBEI TM & © DC

この記事には、映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』のネタバレが含まれています。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
© 2021 WBEI TM & © DC

①Youは何しにコルト・マルテーゼへ?

『ザ・スーサイド・スクワッド』に用意されたポストクレジットシーンはふたつ。そのうち、ひとつめを飾るのが、本編ではあっさりと退場したウィーゼルの“復活”だ。冒頭、アマンダ・ウォーラーの司令を受けたスーサイド・スクワッドのメンバーは、二手に分かれてコルト・マルテーゼ島に上陸。リーダーのリック・フラッグ率いるチームは、ハーレイ・クイン、キャプテン・ブーメラン、サヴァント、ウィーゼル、ブラックガード、T.D.K.、ジャベリン、モンガルがビーチから上陸したのである。

しかしイタチのウィーゼルは、ヘリから海面に降下するも、泳げなかったためにあっさりと溺れてしまった。サヴァントに救出されて海岸まで連れてこられるも、すでに息はない状態だったのだ。「泳げないって確認しなかったのか?」とはフラッグの怒りの質問だが、ウォーラー側もまさかの事態に困惑である。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
© 2021 WBEI TM & © DC

もっとも、ウィーゼルはこれで終わりではなかった。ポストクレジットシーンでは、海岸で安らかな眠りについていたはずのウィーゼルが突如目覚め、あわてて駆け出していくのである。逆に死んだと思われていたために、冒頭で起きた悲劇に巻き込まれずに済んだわけで、彼にとっては結果オーライだったと言うほかないだろう。しかし、そもそもウィーゼルはいったいコルト・マルテーゼに何をしに来たのか? なぜ任務を引き受けてしまったのか?

IndieWireにて、ガン監督はこの問いに対し「刑務所には、やってもいない罪で投獄された人もたくさんいますからね」と笑いながら答えている。「子どもが27人殺されたとして、近所にウィーゼルが住んでいたら、彼のせいだと思ってしまいませんか? でも、彼は本当に有罪なのかどうか。これは、ウィーゼルにとっての冤罪証明のようなものだと思います」。ウィーゼルには、彼にふさわしいだけの弁護士がつかなかったのではないかというのである。だとすれば、最後に駆け出したウィーゼルは、コルト・マルテーゼにて事実上釈放されたということになるのだろうか……?

②そして物語はつづく

ふたつめのポストクレジットシーンは、もうひとりのヴィランの“復活”だ。その人物とは、平和のためなら女子供も平気で殺す、“平和主義者”のピースメーカー(ジョン・シナ)である。ヨトゥンヘイムに潜入したのち、米政府がひた隠しにしてきた秘密を知るや、ピースメーカーはこれを世間に明かすまいとしてスーサイド・スクワッドのメンバーを手にかける。激闘の末、フラッグはピースメーカーに殺されてしまった。しかし、秘密の入ったディスクを拾って逃げ出したラットキャッチャー2を追い詰めたピースメーカーは、あれこれあって目の前に現れたブラッドスポートの銃弾に倒れる。

エンドクレジットの後には、ピースメーカー/本名:クリストファー・スミスが、病院のベッドにて横たわっている姿が映し出される。間一髪のところで、ピースメーカーは命をとりとめていたのである。彼の面倒を見る役割を命じられたのは、ウォーラーの部下であるジョン・エコノモス(スティーブ・エイジー)、エミリア・ハーコート(ジェニファー・ホランド)だった。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
(c)2021 WBEI TM&(c)DC

Colliderによれば、もともとガンはピースメーカーを劇中で死なせる計画だったという。しかし、スピンオフドラマ「ピースメーカー(原題:Piecemaker)」の製作が決まったことから計画を変更し、急遽このポストクレジットシーンを追加。ガンがスタジオ側に「ピースメーカー」のアイデアを提案したのは、『ザ・スーサイド・スクワッド』がほぼ完成した後のことだった。病室のシーンは、ドラマの撮影が始まってから追加撮影されたものである。

「この映画ではいろんなキャラクターに多くの変化があるけれど、ピースメーカーは変わらない。むしろ、悪い方に変わっている」とは、自らピースメーカーの物語を作り上げたガンの言葉だ。ドラマ「ピースメーカー」では、ピースメーカー/クリストファー・スミスが抱える“真の問題”が描かれる。また、病室を訪れたジョンやエミリアをはじめとする、周囲の人々との関係性を描く群像劇でもあるということだ。カギを握るのは、ロバート・パトリック演じるピースメーカーの父親、オーギー・スミス。米Varietyにて、ガンはこのようも語っている。

「(『ザ・スーサイド・スクワッド』には)ブラッドスポートが父親について語る場面がありますが、その時にピースメーカーにカットが切り替わると、ピースメーカーが頷いている。それがこのシリーズの出発点です。ピースメーカーの父親が登場するし、彼の出自や過去の行動、それが彼にもたらした意味、そして映画の後、彼がどこに向かっていくのかがわかります。彼は邪悪な人間ではなく、ただの悪い奴。映画では救いようがないように見えたかもしれませんが、まだ彼にやれることはあると思います。」

ちなみにガンは当初、エンドクレジット後に、ピースメーカーの復活ではなく別のシーンを用意するつもりだったことを明かしている。ウィーゼルの復活は「ある意味で物語の一部」であるため、ひとつめのポストクレジットシーンでなければならなかったというのだ。これは「エンドクレジット後のポストクレジットシーンは(物語から)独立した、なにかを準備するシーンに」というガンの強いこだわりによるもの。すなわちガンは、ピースメーカー以外の人物についても“その後”を思い描いていたことになる。

映画『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』は全国公開中。

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Sources: IndieWire, Collider, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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