米国SHOWTIMEでの放送開始までもはや秒読み段階となったデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』新シーズンだが、今夏に日本独占放送を予定しているWOWOWからは、現時点でも放送日に関する発表はまだ行われていないようである。

本作品に関しては、主にYouTubeの公式チャンネルにてティザー映像によるプロモーションが行われているが、基本的には旧シーズンの映像を使用した“焦らし感”満載のものに留まっており、新シーズンの本編および物語に関する事柄には一切触れられていない。以前の記事でも触れた通り、放送開始まで謎のベールを剥がすつもりはないように思われる。

しかし、ここにきてついに本編の映像を使用しているであろうティザー映像が公開されだしている。

街の風景、人の顔

まずその第一弾として公開されたのが、「The Town of Twin Peaks」というタイトルのティザー映像である。これは過去に放送された物語で印象的な街の風景の現在の姿、つまり新シーズンの本編に登場するツイン・ピークスの街の景色だと考えられる。その映像がこちらである。

ツイン・ピークス愛好家にとってはどれも見慣れた近所のような場所ばかりである。

物語中で最重要とも言える赤い部屋、かなり頻繁に出てくるイメージが強いツイン・ピークス保安官事務所の正面、“バンバンバー”という名のロードハウスにいつもある水たまり、おなじみ街の大衆食堂ダブルRダイナー、やけに多用される森のカット、テレサ・バンクスが暮らしていたファット・トラウト・トレーラー・パーク、昔は“NEW”なんて付いていなかったと思うけれど……、そして車の中から覗き込むような視点のパーマー家。

ほぼ静止画的な景色がスライドのように流されるだけで、誰一人として登場人物は出てこない上に、果たして本編での映像なのかも定かではないが、やけにそそられてしまう。

そしてこれを踏まえてご覧いただきたいのが、最新のティザー映像となる「Some Familiar Faces 25 Years Later」というものである。この映像では、ついに初となる、おそらく本編で“動いている登場人物”が映し出されている。これまでがあまりにも禁欲的な映像ばかりだったために、またしても物語についてはまったく触れられていないにも関わらず、個人的にはとんでもない衝撃を受けてしまった。これが本作品のプロモーションにおける狙いなのだと、改めて感じさせるものである。では、ご覧いただきたい。

タイトルの通り、すべてかつての旧シーズンに登場していた人物ばかりである。そしてなかなかレアなキャラクターも含まれている。

“ビッグ・エドのガソリンスタンド”を経営するエド・ハーリー。演じているのはリンチ作品にも頻繁に顔を出すエヴェレット・マッギル。ファット・トラウト・トレーラー・パークの管理人カール・ロッド。演じているハリー・ディーン・スタントンは現在90歳になるが、ある時期からヴィジュアルが変化していない気がする。彼もまたリンチ作品によく顔を出す俳優である。ローラの母親で叫び声が恐いセーラ・パーマー。新シーズンでは、父親リーランド役のレイ・ワイズやローラ兼マデリーン・ファーガソン役のシェリル・リーも再登場を果たしているので、パーマー家は完璧だ。ツイン・ピークス保安官事務所の保安官補アンディ・ブレナンと、同じく保安官補でネイティブ・アメリカンのトミー・“ホーク”・ヒル。このティザー映像の中では唯一ホークだけが喋っている。そして最後に登場するのが、カイル・マクラクラン演じる本作品の主人公、FBI特別捜査官のデイル・バーソロミュー・クーパーである。普通に考えれば最後にクーパーが一言重要な台詞を放って幕を下ろすだろうと考えるが、何故か途中でホークが無駄に喋ってしまう。リンチ自身がこのティザーを監修しているのではないかと匂わせる一面である。

そして驚くことに、たった49秒しか無いこの尺で、後半の19秒はティザー映像以外の“お知らせ”に使われている。流石である。

これ以降、放送開始の2017年5月21日までに新たなティザー映像あるいは予告編映像が公開されるかどうかは定かではない。しかし筆者は、当初から言い続けているように、絶対に何も明かさないまま放送へ突入することに清き一票を投じたい。さて、皆さんはどう思われるだろうか？

Eyecatch Image: https://www.youtube.com/watch?v=LB2naaQZbfI
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