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巡り逢う想いの素晴らしさを描く、映画『 アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』レビュー

映画『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』評価・感想

今年79歳を迎えるフランスの巨匠 クロード・ルルーシュの新作(傑作)だ。
映画音楽作曲家として成功し 自由気ままな生活を送るアントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、新たに手がける映画音楽のため 恋人をパリに残しインドを訪れる。
フランス大使主催の晩餐会に招かれたアントワーヌは、隣の席になった大使の妻 アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と出会い意気投合する。
インド到着前後から治らない頭痛に悩まされ病院へと足を運ぶアントワーヌであったが、医師の言葉に不安を感じ 精密検査を受けることなく病院を立ち去ってしまう。
不妊に悩むアンナは、霊的指導者 アンマに会うための巡礼の旅に出ようとする。
そして、列車に乗ろうとするアンナの前に アントワーヌが現れるのであった。
巡り逢う男女の恋模様を 想いのままに生きられない人生を 想いが繋がり合うことの素晴らしさを描いた作品だ。

心に従って生きる
誰だってそうありたい
そう生きられたらいいなと思っている。

しかし、そんな風に生きていられる人など ほんの一握りしかいないのではないだろうか。

道行く異性に心惹かれようとも、容易に声などかけられない
間違ったことや理不尽なことを言う上司や教師などには反論し辛い
ムカつく奴がいようとも、その都度その都度殴ることなどできやしない

例えそれが運命的な出逢いであったとしても 互いにそれを確信していたとしても、あらゆる状況が しがらみが 己の意気地の無さが妨げる。

アンナとアントワーヌの出逢い ふたりの巡礼の旅もそうだ。

互いに分かっていたはずなのに、そのキッカケを そうなっても許される状況を 誰も傷つかなくて済む道を探し続けていた。

どうか勘違いしないで欲しい。
この作品が描いているモノは「禁断の愛」だとか「不倫」だとか、そんなチープな領域にあるモノでは決してない。

心の救済
魂の解放

こう言ったら大袈裟過ぎるかもしれないが、2人が求めていたモノはそういった類いのモノであったのだと思う。

ただ、ありのままに生きること
何事にも囚われることなく、想いのままに愛を伝えること
好きな人に大好きだと伝えること

とてもカンタンなことのようで、とても難しい。

互いに恋人がいる
想いを押し通した結果、どうなるのかは目に見えている
想いを押し通さないことで得られる幸せがあることも心得ている

何が正しくて 何が間違っているのか

人生において
こと恋愛において
その答えはきっとない

理性と本能
どちらに心を委ねるのか

いつか自らにも訪れるかもしれないその出逢いに
迫られるかもしれないその選択に
心悩ませられる。

ふたりが辿る道
それがどうか幸せなモノであって欲しいと、そう願いながらスクリーンを眺めていた。

そのラスト
それは喜劇か悲劇か
それを決めるのはあなたの心次第なのかもしれない。

いや、決めることなどそもそも筋違いな話なのかもしれない。

あなたの恋にぼくが口出しできないように、あなたもぼくの恋に口出しはできない
つまり、あなたもぼくも彼らの恋に口出しなどできないのだから。

アンマに出逢ったふたりの姿に自然と涙が溢れた。
この作品にて唯一答えがあるのだとしたら、あのシーンこそ答えであったのかもしれない。

ぜひ劇場でご覧ください。
とても素敵な大人のラブストーリーです。

Eyecatch Image:https://www.youtube.com/watch?v=A_ZdytEf6D8

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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