【インタビュー】ジョン・キューザックが深夜まで脚本イッキ読みでドハマリした「ユートピア」は最終話までスゴいらしい

あのジョン・キューザックがドラマに出演。Amazonオリジナルシリーズ「ユートピア~悪のウイルス~」が、2020年10月30日(金)よりAmazon Prime Videoで独占配信となった。未知のウイルスや、コミックに隠された人類滅亡の陰謀を描く作品で、キューザックは巨大企業の科学者ケビン・クリスティー博士を演じている。
THE RIVERはジョン・キューザックへ話を聞くべく、バーチャル開催された取材に参加。アルゼンチン、ブラジル、パリなどから集まった各国の記者と共に、キューザックへのインタビューを行った。
ジョン・キューザックといえば『セイ・エニシング』(1989)や『マルコヴィッチの穴』(1999)などの有名映画でお馴染みだが、TVドラマに本格出演するのはこれが初めてだ。なぜ出演を決めたのか?どうやらキューザックは、今作の脚本に心底惚れ込んだらしい。それもそのはず、今作は同名のイギリス版ドラマをベースにこそしているが、脚本を手掛けたのはギリアン・フリン。映画化・ドラマ化もされた『ゴーン・ガール』『シャープ・オブジェクツ』ほか『冥闇(めいあん)』など、主に暴力と家庭崩壊をテーマに先の読めないスリラーを描く実力作家だ。
本作「ユートピア~悪のウイルス~」は、「ユートピア」と呼ばれる架空の有名コミックに人類滅亡の陰謀のメッセージが隠されていることに気付いたコミック・オタクの若者たちが、ネットを越えてリアルで集まり、世界を救うため闘っていく姿を描くスリラー。邦題「悪のウイルス」からも想像できるように、ちょうど新型コロナにあえぐ現実の我々同様、未知のウイルスの驚異が描かれていく。
全8話のこのドラマは、一体何がどう革新的で、なぜ視聴者はぐいぐいハマってしまうのか?キューザックの話を聞くと、「これは必ず最終話まで観なくては」という気持ちがふつふつと湧いてくる。
ジョン・キューザックが語る「ユートピア~悪のウイルス~」
──キューザックさんは今作で、巨大バイオテック企業のケビン・クリスティー博士を演じていますね。脚本のギリアン・フリンとの間で、役柄の話し合いは?
もしかしたら彼女がウンザリしているんじゃないかというくらい話し合いました。仕事から帰った夜にも電話をかけていましたからね。私はやりたいことを見つけたら、とことんこだわってやるタイプなんです。
──役作りでは、どんなことを参考にしましたか?
様々な要素が混じっています。アメリカの産業は、かつてはロックフェラーやビル・ゲイツ、石油会社や鉄道会社が名を馳せたものですが、今ではテック、バイオテック、インターネット、サイエンス業界が台頭しました。
億万長者は自己PRに長けている者が多いでしょう。でも、時に本当の動機を明らかにしないときもあります。別の目的のための隠れ蓑なのかもしれない。
ドラマを観て驚いてほしいので、ここではあまり詳しくお話できませんが……、クリスティーは毎日、地球の未来のためにグリーンサスティナブルに100%尽くそうと邁進している人です。もちろん、世界を変えるのは自分たち少数だ、自分たちの企業なのだと考えるのは傲慢です。しかし彼は、エネルギー危機、食糧不足、地球温暖化、絶え間ない戦争といった問題に取り組もうとしています。取り憑かれたように、スターリン主義的にね。
──このドラマが、奇しくもパンデミックの最中にリリースされることについては?
このドラマのテーマはディストピアということで、それ自体は特段新しいものではないですよね。フィクション、ドラマ、音楽、舞台、テレビ、映画の世界では、このテーマはずっとあったものです。
今やテレビの世界も、現実の世界も、地球温暖化の現実からは逃れられません。カリフォルニアでも大火災が起こっています。つまり、こういった題材は、このドラマ以前から現実として起こっていたものです。
しかし、いま起こっているパンデミックは、恐ろしい現実です。だから、パンデミックやウイルスといったテーマについて、自分たちで“現実問題の最先端を描いているぞ”というふうには考えられません。そこを喜ぶようなことはありません。こんなことは起こってほしくなかったですが、どうやらこのドラマは(今起こっている現実問題に対して)直球だったようです。
──撮影はパンデミック前に行われたわけですが、このドラマから「パンデミックを生き抜く術」を学ぶことはありましたか?
いや、そういうものはありません。感染症や防護スーツ、こういったものは、科学者や専門家が学んで、我々に解説してくれるものです。私なんかが学べるようなことはありません。
- <
- 1
- 2