【インタビュー】ジョン・キューザックが深夜まで脚本イッキ読みでドハマリした「ユートピア」は最終話までスゴいらしい

ビジネスの面では、別のウイルスに関する特許を持っている者や、純粋な資本主義に基づいてこういう事象をコントロールしようとする者、こういったものについてはリサーチしました。
様々なワクチンについて特許を持つ者が様々います。それから「我々の慈善活動は…」という財団。慈善活動なら税金がかからないからですね。こうした活動には疑念がつきまとってもおかしくない。だから陰謀論も、とりたててヒステリックなわけでもないと思います。
でも現実のパンデミックに関する科学は、恐ろしい。マスクをして安全対策を取る。これは過去や科学からしか学べません。
──このドラマや役に共感できたテーマはなんですか?
ユートピア思想そのものが、そもそも何よりも危険な思想だとさえ思います。完璧な社会を作ろうとすると、たいていは社会進化論に陥る。私はユートピア思想には関心しませんが、我々を取り巻くディストピアは間違いなく現実なんです。(ドラマにあるのは)ボトムアップだろうがトップダウンだろうがなんだろうが、変化は起こるのかというテーマ。献身的のように見える億万長者たちの本当の真価というテーマです。
陰謀論を扱う映画の多くは政府とか大企業というものが出てきて、裏で何かやっていたり、産業スパイとか告発者とかが出てくる。小規模の人々が、巨大で強力な勢力に立ち向かったりする。こういう作品は既に多いですね。
しかし今作は、ユーモア、ブラックユーモアがあって、スリラーとしてうまくハマっている。脚本の構造も……。このキャラクターはこうだろうなという想像がひっくり返される、ショックとサプライズがたくさんあるんです。そういうところが楽しいし、脚本の妙技を楽しませてもらいました。
8話分の脚本を貰って、午後3時くらいに読み始めて、イッキに読み終えたと思ったら深夜2時でした。それくらいよく出来た脚本。よく考えられています。このキャラクターは善の側、悪の側と考えていたものが、最終話までにひっくり返されるんです。だから「ユートピア」のキャラクターに、決めつけは通用しない。全8話観るまでわかりません。
──このドラマで観客はどんな体験ができますか?どんな展開が待っていますか?
おそらく最初の2〜3話まではショックやサプライズがあるでしょう。脚本もすごく複雑で、第1〜7話までに観てきたものが、最終話になると……床が抜け落ちて、ウサギの穴に落ちるような感じ。
脚本家にとって、そんな展開を書き上げるのは非常に難しい。でもギリアンには小説家としての才能や技術があって、それが存分に活かされていると思います。非常に洗練された脚本です。ひとつの筋がほかの筋に連なって、別々の流れが交わる。そこにサプライズやショックがあって、でも見返すと必然的に見える。
私も長いことやっているので、良い脚本も悪い脚本も色々と読んできましたが、今作は展開が本当に全く読めなかった。観客は常にハラハラですよ。いつ、どんなサプライズが起こっても、おかしくない。それが最終話までずっと続くんです。
ドラマ「ユートピア~悪のウイルス~」はAmazon Prime Videoにて2020年10月30日(金)配信開始。