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【インタビュー】「ユートピア」レイン・ウィルソン、「ザ・ボーイズ」と「同じレベルの作品」を目標に

ユートピア~悪のウイルス~

『ゴーン・ガール』(2014)「シャープ・オブジェクツ」(2018)などで知られるスリラー作家ギリアン・フリンによる新ドラマ・シリーズ「ユートピア~悪のウイルス~」が、Amazon Primeにて配信開始となった。ホラー小説界の巨匠スティーブン・キングも「ゾッとして暴力的、時に大笑いするくらい面白い」と大絶賛の1作だ。

英BBC製作のイギリス版「Utopia(原題)」(2013-2014)から着想を得た本シリーズは、若者たちが自分の居場所を見つけようとしながら、世界の終わりから人類を救おうとする姿を描くスリラードラマ。“ユートピア”というフィクションコミックのファンである若者たちのグループが、コミックの中に隠された意味を明らかにし、人類への脅威を予言する。彼らは、それがただの陰謀ではなく、今世界が実際に直面している危機だと気付くことになる。

陰謀説の他にも、グロテスクな描写やコミック・ヒーローなど、様々なジャンル要素を巻き込んで展開される本シリーズでは、個性の強い1人ひとりのキャラクターが見どころの1つ。今回THE RIVERでは、本シリーズのバーチャル取材で主要キャラクターの1人、マイケル・スターンズ博士を演じるレイン・ウィルソンにインタビューした。

「ザ・オフィス」(2005-2013)ドワイト役でエミー賞に3度ノミネート歴のある実力派俳優として知られるウィルソン。「スタートレック:ディスカバリー」(2017-)や『MEG ザ・モンスター』(2018)など、話題作やハリウッド大作にも出演を重ねている。

ウィルソンが演じるスターンズ博士は、地下室にこもるウイルス学者。数年前に発見した致死性のインフルエンザ・ウイルスに関連するパンデミックを食い止めようとする。そんなウィルソンは、新型コロナウイルスの脅威がなお続く現在と本シリーズが描く物語の関連性などについて言及。全世界で人気を獲得したAmazon Original作品「ザ・ボーイズ」(2019−)と「同じレベル」を目指すウィルソンの意気込みもチェックして頂きたい。

ユートピア~悪のウイルス~

レイン・ウィルソンが語る「ユートピア~悪のウイルス~」

── まずは、この作品について教えて頂けますか?

この作品は「負け犬たち」の物語です。力を持たない人たちが、何が真実で何がそうでないのかを知る為に戦うんです。そして、とてつもなく強大な力に抗う冒険に出ていくんですよ。実世界に生きる人々の状況と似たような作品になっています。

── オリジナル作品はご存知でしたか?この作品が持つ世界のどんな所に惹かれたのでしょうか?

オリジナルのBBCドラマ版はあまりよく知りませんでした。役を演じる為に特に(オリジナル版を)観ていたわけでもありません。影響を受けたくなかったというのもありまして。自分だけの道を探したかったんです。

ギリアン・フリンが役をオファーしてくれて、最初6話分の脚本をもらいました。私は、“じゃあ脚本を確認してみてますね”って返事をして、とりあえずページをめくって読み進めました。そしたらすっかり夢中になってしまって。マイケル・スターンズ博士役の進む道がとても大好きで、この作品に参加できると思うとすごくワクワクしました。スターンズ博士のような真っ直ぐで誠実なキャラクターを以前は演じたことがありませんでしたから。彼は面白い人物でもあるんです。共感してもらえたら嬉しいですね。

── 「ユートピア」は複数のジャンルが混ざりあった作品のように感じられます。そんな本作で一番の見どころは何でしょう?

素晴らしい質問ですね。「ユートピア」では、たくさんのジャンルが扱われていて、ギリアン・フリンはいろんなモノに挑戦しているんです。スリラーやサイエンス・フィクションの要素もありますし、ホラーでもある。陰謀モノでもありますし、ブラックユーモアもコメディ要素も含まれています。

こういうジャンルをミックスして1つにしたような作品が、エンターテインメントの未来だと思うんです。若い人たちもこういうのが観たいんじゃないでしょうか。自分の若い知り合いで、“スリラーだけ”とか“コメディだけが観たい”って言ってる人はほとんどいませんね。この作品も同じように楽しんでもらえればいいなって思ってます。

例えば「ザ・ボーイズ」とかは、社会的な主張を織り交ぜながら、スリラーとかコメディ要素を同時に取り入れたスーパーヒーロー・ジャンルとして上手くいってると思います。私たちの作品も同じようなレベルで成功すれば良いですね。

ユートピア~悪のウイルス~

── 「ザ・ボーイズ」みたいに、負け組が陰謀に立ち向かっていく物語が本シリーズでも描かれていると思います。このような「弱者対陰謀」という構図の作品が制作される傾向をどう捉えていますか?

この作品では、(相手の)立場を奪うというような事は描かれていないんです。「陰謀なんてくだらない」「陰謀なんて存在しないんだ」とかそういうことでもなく、ごく普通の人たちが世界にまたがる巨大な勢力に立ち向かっていく物語なんです。

多くの人の関心が陰謀論だけに向けられているというわけではないじゃないですか。これまでの繁栄や平和、良い生活がいろんな意味で崩れ去ってしまう。こういうことが、一部の人にとっては厄介なことで。人々の関心は日々目にする、たびたび明るみになる馬鹿げた陰謀とかにも向けられるようになっているんです。陰謀を“すごく楽しんだ”作品になっていますよ。

ユートピア~悪のウイルス~

── あなたにとっての「ユートピア」とは何でしょう?

人類、そして多様性のすべて。地球の問題を解決するために皆一緒になって取り組むことでしょうか。環境問題やパンデミック、人種間の不平等や社会的、経済的な不公平などの問題です。多様性のある人間たちが集まって一緒にこういうことに取り組むことが“ユートピア”なんだと思います。まだまだ先は長いでしょうけど。

── この作品は、道徳や倫理の枠組みを超えた作品だと思います。“目的の為なら手段は選ばず”というような。あなたが先に挙げた問題を解決するためには、何を進んで行動していくべきなのでしょう?

哲学的な深い質問をしますね。この作品は、例えば“警察が麻薬組織を崩壊させる”ような物語だけではないんです。外界で起きていることが反映されていて、ユートピアの中心にはもっと大きな問題がたくさんあるんです。“この惑星で生きる1つの種として、私たちは誰なのか”みたいなジョン・キューザックが演じるキャラクター(ケビン・クリスティー博士)は、良い結果を得るためなら人類に苦しみを与えても良いんだ、という哲学を持っていますけど。私が信じるのは、愛です。愛が全てにおける答えなんです。


「ユートピア~悪のウイルス~」は全8エピソード構成。2020年10月30日(金)配信開始。

ジョン・キューザックへもインタビュー

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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