懐かしい!廃れゆくビデオテープをポップに蘇らせた”VHSアート”で、映画の記憶も巻き戻そう!

かつて映像ソフトのメディアとして全盛を誇ったVHS(Video Home System:ビデオ・ホーム・システム)だが、次いで登場したDVDおよびBlu-ray Disc(ブルーレイディスク)の存在に圧倒的にその座を奪われ、現在では衰退の一途を辿っている。
米国における“VHS”への愛
米国などでは、70年代80年代の映画作品にインスパイアされた最新映画をソフト化する際に、DVDやBlu-rayに加えてあえてVHSでもリリースするという流行も一部では巻き起こっているが、それに食いつくのは一部のマニアに限られており、一般的に言えばもはや風前の灯火と言っても過言ではない。しかし、コアなホラー作品やSF作品に関しては、いまだにVHSでしか存在しないものも多く、またクラシカルなジャケット・デザインの魅力を求めてのコレクション要素もあるなどして、米国でのVHS愛好家は非常に多いようである。
2008年公開のミシェル・ゴンドリー監督による『僕らのミライへ逆回転』という作品では、米国ニュージャージー州パセーイクにある寂れたレンタルビデオ店での物語が描かれていたが、あれこそはまさに米国における「VHS愛」の形のひとつであろう。ちなみに同作品の原題『Be Kind Rewind』とは、かつての日本のレンタルビデオ店ではお馴染みの呪文、「巻き戻してご返却下さい。」という意味である。
廃れゆく“VHS”を駆使したアート作品
というわけで今回は、多くの人々にとっては必要とされなくなり、半ば死にゆくVHSを素敵に蘇らせた、リサイクル的ポップカルチャー・アートをご紹介したい。
モナコに在住する夫婦ユニットのアーティスト、「NMPM」ことナン&パトリック・マソブリオが制作しているVHSアートの数々である。2人は自分たちが子供時代に影響を受けた様々なポップカルチャー・シーンのキャラクターたちをテーマに、VHSを駆使したアート作品を生み出しているのである。
ではその作品をご覧いただきたい。
ジョージ・ミラー監督の『マッドマックス』から、メル・ギブソン演じるマックス・ロカタンスキー。中身のテープを髪の毛として利用しているところが、本アート作品の特徴である。
ロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から、マイケル・J・フォックス演じるマーティ・マクフライと、クリストファー・ロイド演じるドクことエメット・ブラウン博士。
ティム・バートン監督の『シザーハンズ』から、ジョニー・デップ演じるエドワード・シザーハンズ。
デヴィッド・クローネンバーグ監督の『スキャナーズ』から、マイケル・アイアンサイド演じるダリル・レボックと、頭吹っ飛んでるのはステファン・ラック演じるキャメロン・ベイルかな。
アイヴァン・ライトマン監督の『ゴーストバスターズ』からお馴染みの4人、ビル・マーレイ演じるピーター・ヴェンクマン博士、ダン・エイクロイド演じるレイモンド・スタンツ博士、ハロルド・ライミス演じるイゴン・スペングラー博士、そして補充要員、アーニー・ハドソン演じるウィンストン・ゼドモア。
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』からはテープをフル活用した、ワーウィック・デイヴィス演じるウィケット・ウィストリ・ウォリック。
ウィケットの制作工程はこんな感じ。
ハッピー・ハロウィンなホラー映画6人衆、ウェス・クレイブン監督『エルム街の悪夢』のロバート・イングランド演じるフレディ・クルーガー、ウィリアム・フリードキン監督『エクソシスト』のリンダ・ブレア演じるリーガン・マクニール、つい先日2017年4月26日にこの世を去ってしまったジョナサン・デミ監督『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクター、テレビシリーズ化が噂されている『13日の金曜日』のジェイソン・ボーヒーズ、『ハロウィン』のブギーマンことマイケル・マイヤーズ、そしてトビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスことババ・ソーヤー。
かつて映画を詰め込んでたくさんの楽しみを運んでくれたVHSを、再びこうして、いつか観た映画の思い出をまさに巻き戻してくれるようなアートに生まれ変わらせるという活動は、実に意味のあることだと感じる。
もしまだ現役のVHSビデオデッキと懐かしい映画のVHSをお持ちの方は、再び彼らを活躍させてみてはいかがだろうか。
というわけで、NMPMの公式ウェブサイトやインスタグラムでは、この他にもたくさんのVHSアートを楽しむことが出来るので、興味のある方はぜひ訪れて頂きたい。
Eyecatch Image:https://www.instagram.com/p/8oD7yUF40Y/?taken-by=patrick_nmpm