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やっぱり怖い!どうしても好きになれない?ヴォルデモート卿の哀しき素顔【ハリー・ポッター】

ファンタジー、アクション、SF映画。ヒーローの主人公がいるとなればヴィランがつきものですよね。『バットマン』のジョーカーに『スターウォーズ』のダース・ベイダー、名だたるキャラクターたちは悪役として描かれていてもみなファンがいると思うんです。陶酔している、思いれがある、「悪役なんだけどいいんだよなあ〜、極悪非道なんだけどなあ〜、かっこいいんだいなあ〜」と思う人が多いはずです。

そんなヴィランでもいるんです。超有名キャラクターなのにあまり「○○が好き」と言うのを聞いたことがない哀しきヴィランが。
そんな本気で(!?)嫌われキャラクター・・・彼の名前はヴォルデモート卿。

『ハリー・ポッター』シリーズに登場するハリーの最大の敵、闇の魔法使いとして君臨するヴォルデモート卿。”名前を呼んではいけないあの人”として恐れられ、冷酷無慈悲なそのキャラクターは悪役としては完璧!なのになんだかあんまりマグル界にはファンが少ないような、「ハリーよりヴォルデモート!死喰い人になりたい!」という”ヴォルデモートオタク”という人はいないような。(ヴォルデモートファンのみなさん、ごめんなさい)

『ハリー・ポッター』シリーズにおいて、ヴォルデモートは絶対的な悪として描かれていました。嫌われキャラであったセブルス・スネイプも、最後の最後には真の正体が明かされたり いじめっ子マルフォイもどこか憎めないキャラであったり。

今回はヴォルデモート卿、トム・マールヴォロ=リドルとはどういう人物だったのか、ちょっと真面目に考えていきたいと思います。

とりあえず”ルックス”が恐い

悪役でもルックスってけっこうかっこいいじゃないですか。ヴォルデモートって・・・真面目にちょっと気持ち悪いですよね。スキンヘッドだし青白いし指も長すぎだし、鼻も蛇みたいだし唇もあるんだかないんだか分からないし。人間というかもう蛇人間というような、怪物に近い風貌です。

image
http://indianexpress.com/article/entertainment/hollywood/voldemort-more-popular-than-most-presidential-candidates/

これはヴォルデモート卿が自身の魂を分裂させ、”分霊箱”を作る際にこのように外見も変化してしまったようです。トム・マールヴォロ=リドルの時、ホグワーツに在籍していた時はそうとうな美青年でした。彼はその美貌を武器にして教授たちにもうまくとりいり、”若く洗練された悪のカリスマ”として初期の死喰い人たちを陶酔させていったようですが・・・ハンサムで冷酷狡猾な魔法使いだったらマグルの女性ファンが増えていたりして。

とにかく”こじらせてる”性格

ヴォルデモート卿に友達はいません。家族もいません。恋人もいません。ヴォルデモートを信奉する死喰い人たちは、ヴォルデモートにとってはしょせん取り巻きで、誰にも信頼を寄せていないでしょう。” 主従関係”でしかなく、情や仲間意識は存在していません。

https://sites.google.com/site/lakdjgohgorihe/characters/death-eaters
https://sites.google.com/site/lakdjgohgorihe/characters/death-eaters

 

子供の頃からヴォルデモートは”ひんまがった”性格でした。孤児院時代、まだ自分が魔法を使えると理解していない頃でも 自身の不思議な力で周りの子供たちを怖がらせたり、物を巻き上げたり。”恐怖”や”力”で相手を支配することが生まれながらにして染みついているのです。

ヴォルデモート卿に恋人がいるだとか、ホグワーツ時代に忘れられない人がいるだとか、そうゆう恋愛関係の描写は「ハリー・ポッター」 シリーズではいっさいありませんよね。

人間は生きていく上で様々な人々と人間関係を構築したいと思うはずです。家族がほしい、守るべきものがほしいとも思うはず。ダース・ベイダー卿だってパドメのことを深く愛していましたし、ジョーカーだって(ジョーカーはどこまで好きか分かりませんけれど)ハーレイ・クインという恋人がいました。彼らは”愛”について知っているかもしれませんけれど、ヴォルデモートは”愛”を全く知らないでしょうし、その概念も無いのでしょう。


ヴォルデモートには”支配欲”以外に欲が無いのかもしれません。なぜこんなにこじらせてしまったのか、ひんまがってしまったのか?次に彼の生い立ちについて考えてみたいと思います。

”母”の存在

映画ではあまり多く描写されていませんが、小説ではヴォルデモートの生い立ちについて語られています。

ヴォルデモートの父親、トム・リドルはマグル。そして母親のメローピー・ゴーントは魔女。ハンサムなトム・リドルに恋をしたメローピーは、惚れ薬を使って彼と結婚し、ヴォルデモートを妊娠しました。しかし愛する人に惚れ薬を盛り続けることが苦痛となったメローピーは使うことをやめ、我に返ったトム・リドルに捨てられてしまいます。そしてヴォルデモートを出産した後、彼女は死んでしまうのです。

母親に捨てられたと思っていたヴォルデモートは母のことを恨んでいたようですし、そして子供時代はやはり寂しかったに違いありません。きっと母に対する憧れや恋しさはあったはずです。しかし誰からの愛を受けることなく育ったヴォルデモートは、どんどんと闇を抱えた少年になってしまったわけです。

でもハリーだって、ダーズリー一家にひどい扱いを受けながら育ちましたよね。それでもこじらせた性格にはなりませんでした。
ヴォルデモートは”惚れ薬”によって生まれた、人と人の愛ではなく薬によって生まれた子供。自身が愛を知る以前に、生まれる前から両親の間にも愛は存在していないのです。

http://harrypotter.wikia.com/wiki/Armando_Dippet
http://harrypotter.wikia.com/wiki/Armando_Dippet

ハリーはリリーとジェームズという両親の元に生まれ、リリーからの強い愛によって守られてきました。”愛”が存在していたか、していなかったか、2人の決定的な違いはそこにあると思います。
“偽り” や”虚しさ”からは何も良いものは生まれない。ヴォルデモートはその象徴的存在なのかもしれません。

ヴォルデモートが恐れているもの

そんな闇の帝王にも恐れているものがあります。それは意外にも”死”。
自身の肉体がなくなり、魂が無くなることを恐れているヴォルデモートは分霊箱を作り、魂を分裂させて閉じ込め、全てを壊さないと死なない体に改造しました。

何も怖いものなんてないような悪の化身が死ぬことを恐れている・・・それは彼が”目に見えるもの”しか信頼していないからです。目に見えないもの”友情”や”信頼”、”愛”を彼は信じていません。だから”肉体”という物体が無くなる死を、心から恐れれているのです。そこが彼の最も弱いところであり、歪んでいるところです。

それでもそんな肉体改造を続け、魂を分裂させたヴォルデモートの芯の部分はどうでしょうか。『死の秘宝 part2』で、ハリーがダンブルドアと見た 血まみれの赤ん坊のようなもの。あれはヴォルデモートの欠片です。ひどく不気味で、弱々しい。老人にも見える顔つきなのに、体は小さく赤ん坊のようなまま。まっとうな感情に向き合わず、闇の力をふりかざしてきた人間の真の姿はここまで醜いもの、ということです。

『ハリー・ポッター』シリーズのヴィラン、ヴォルデモート卿。生い立ちを考えると少しかわいそうな気がしてきますが…いや、それでもやっぱり同情の余地がないくらいの残酷な彼。

子供も大人にも親しまれているファンタジー作品の『ハリー・ポッター』の中で ”愛”など目に見えないものを信用しない心、独裁者の恐ろしさ、人を力でねじ伏せようとする恐ろしさ、そんな闇の部分を具現化して描かれたものがが”ヴォルデモート卿”なんですね。

とことん悪い!とことんひどい!やっぱり愛せないヴォルデモート卿!彼が去ったあと、魔法界にまた闇に魔法使いが現れないことを願うばかりです。

Eyecatch Image:http://www.desktopwallpaperhd.net/harry-potter-widescreen-wallpapers-movie-image-hallows-movies-voldemort-profile-pixels-deathly-151790.html

Writer

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Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)

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