「ウォーキング・デッド疲れ」は存在する?製作者が言及 ─ マーベル同様に製作ペースをダウン、お馴染みキャラを「新しい文脈に置き換えることが重要」

同じ世界観(ユニバース)を共有する作品が増えるほど、視聴者の興味が失われていく現象を指す「ユニバース疲れ」。近年、“マーベル疲れ”や“スーパーヒーロー疲れ”という言葉をよく耳にするが、海外ドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズも同じ現象に直面しているようだ。これについて、同ユニバースのチーフ・コンテンツ・オフィサーを務めるスコット・M・ギンプルが、米Los Angeles Timesに見解を述べている。
「ウォーキング・デッド」(2010-2022)は、ロバート・カークマンのコミックを原作としたサバイバル・ヒューマンドラマ。全世界で熱烈なファンを獲得し、11シーズンにわたる放送中に3作のスピンオフを生み出した。2022年のメインシリーズ完結後は、人気キャラに焦点を当てた新たなスピンオフ3作が続々と公開されている。
一方で、「ウォーキング・デッド」後半シーズンでは人気が低迷していたのは事実。特にシーズン9で主人公リック役のアンドリュー・リンカーン、シーズン10でミショーン役のダナイ・グリラが降板したことで、多くの視聴者が離れていった。そんな中でユニバースを拡大しても、視聴者の“疲れ”が増すだけでは……?そう思った人は少なくないはずだ。

しかしギンプルには、“ウォーキング・デッド疲れ”に対する戦略があるようだ。その1つは、マーベルのアプローチと同様、「作品製作のペースを落とす」こと。2019年から2020年にかけては、スピンオフ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」や「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」などの派生作品を合わせて、42時間に相当するエピソードが製作されていたそう。しかし現在、米AMCで製作される新エピソードは、年間12話に絞られているという。
そしてもう1つは、今までの「ウォーキング・デッド」の枠にとらわれないこと。ギンプルは、こう説明している。
「新たなスピンオフでは、従来のキャラクターを新しい文脈に置き換えることが重要。私たちは、より実験的なことをしています。ロバート(・カークマン)がコミックで確立した基礎的なストーリーの価値観、つまり普通の人たちの隣にいる伝説的なキャラクターを、リアルな感情を伴う大きなシチュエーションに登場させるのです。
これは単なるゾンビの話でも、大勢のウォーカーが登場するだけの話でもない。ゾンビ・ストーリーテリングのブランドなのです。それこそが、私たちが物語を続ける方法を与えてくれます。」
実際に新スピンオフ3作では、お馴染みのキャラクターたちが新たな舞台で、新たな試練に立ち向かう姿が描かれている。例えば、「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」はフランスに漂着したダリル、「ウォーキング・デッド:デッド・シティ」はニューヨークで手を組むことになったマギー&ニーガンに焦点を当てた物語。2024年2月26日に日本配信となった「ウォーキング・デッド:ザ・ワンズ・フー・リブ」では、ファン待望となるリック&ミショーンが再会し、2人の「壮大なラブストーリー」が描かれている。

今のところ3作品とも高い視聴率・評価を獲得しているが、ファンの“ウォーキング・デッド疲れ”を吹っ飛ばし、ユニバースに全盛期のような活気を再びもたらすことはできるだろうか?期待したいところだ。
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Source:Los Angeles Times