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ドラマ「ウォッチメン」いきなり観てもOK、ブルーレイ&DVDの映像特典は頼もしいぞ

ウォッチメン
WATCHMEN and all related characters and elements are trademarks of and © DC. © 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. © 2020 Home Box Office, Inc.

ドラマ版の『ウォッチメン』、気にはなっているんだけど、ハードルが高そうで……」という方へ。原作コミックや実写版もあるみたいだから、いきなりドラマ版を観始めても良いのか分からない?大丈夫。この記事の解説を読めば、きっとブルーレイ・DVDに手を伸ばしてみたくなるだろう。

ドラマ「ウォッチメン」は、「ゲーム・オブ・スローンズ」「ウエストワールド」など、最上級のドラマ作品を次々と送り出す米HBO®製作の注目作。海外ドラマファン、アメコミファンの間でも大きな話題となっている1作だ。2020年6月3日(水)、待望のブルーレイ・DVDがリリースされた。全9話のほか、約100分にも及ぶ映像特典をたっぷり収録した大満足のセットだ。

本作は「歴史の裏にはヒーロー(ヴィジランテ)の存在があった」とする、もうひとつのアメリカが舞台の歴史改変SFアクション。かつての米ソ冷戦時、核戦争による地球滅亡の危機をDr.マンハッタンのおかげで脱した2019年のアメリカでは、いまやヴィジランテは無法者となり、黒人を擁護する政権に反発して白人至上主義のテロが横行している。謎が渦巻き見え隠れする巨大な陰謀に、黒衣を身に纏った女性ヒーロー“シスター・ナイト”が戦いに身を投じていく……。米初回放送では150万人が視聴し、メディアやファンの間でも高い評価を得た。

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ドラマ版から観ても大丈夫、映像特典で最短予習

「何だか予習が難しそうで、手が出せていない」という方、そう思われるのも無理はない。このドラマ「ウォッチメン」は、アラン・ムーアとデイブ・ギボンズが生み出した1980年代後半の伝説的コミック(厳密にはグラフィック・ノベルと呼ばれるが、本記事では便宜上コミックとする)の続編という位置づけだし、これを原作とする実写映画版も、2009年にザック・スナイダー監督によって製作されている。

ドラマ「ウォッチメン」を観るには、原作コミックや実写映画を先に観ておく必要があるの?といったトピックは海外ファンの間でも同様に語られている。心配は無用だ。製作総指揮を務めたデイモン・リンデロフは、「もし『ゴッド・ファーザー』1作目の存在を知らずに、いきなり『ゴッド・ファーザー2』から観始めたとしても、ちゃんと理解できるでしょう。基本的に、ドン・コルレオーネの話はデニーロのフラッシュバックとして出てくるから」と例えている。「(原作の)グラフィック・ノベルを読む前から、この『ウォッチメン』を先に観て頂いても大丈夫です。ただ、原作に戻って読み直すのも良いですね。そうすれば、何がどう繋がるのか、より深くて豊かな理解が得られるでしょう。でも、必須というわけではありませんよ。」もちろん製作のHBO®だって、視聴者の間口を狭めるようなことはしたくないはずだ。

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ちなみに2009年の実写映画版は、物語の本筋やビジュアルこそ原作コミックを忠実に再現しているが、重要な結末部分がアレンジされている。このドラマでは、映画ではなく原作コミックのラストから34年後の現在(のパラレルワールド)が舞台になるので、映画版に関しては未見でも全く問題ないので、安心してほしい。

もっとも、先述のデイモンが言うように、原作コミックを把握しておけば更に楽しめるというのはその通り。コンプリート・ボックスでは、映像特典で原作コミックの復習が出来るから有り難い。オススメは、DISC1に収録されている『「ウォッチメン」:世界観と視覚効果』を、第1話より先に観てしまうこと。その名の通り、「ウォッチメン」の世界観を簡潔にまとめた、ドラマ世界のトーンが分かりやすく伝わる映像だ。これを観ておけば、作品にスムーズに飛び込むことができるはず。

基本的にDISC1に収録されている映像にはネタバレが無いので、全て第1話視聴前に予習として観ておくのも良い。『キャラクター紹介』では、中心人物となるシスター・ナイト、オジマンディアス、ルッキングラスをおさえることができる。シスター・ナイトもルッキングラスもこのドラマから登場するキャラクターで、オジマンディアスは原作コミックからの再登場。いずれも曲者だから、予めどんなキャラクターであるかを把握しておけるのはありがたい。

ちなみにオジマンディアスは、原作コミックでは世界一の頭脳を持つヒーローとして登場した。ニューヨークで悲惨な大虐殺を起こすことで、核戦争が勃発する寸前だった米ソの対立を捨てさせ、(見方によっては)世界を救った男だ。ドラマでは歳を重ねた姿で登場、ジェレミー・アイアンズがトリッキーに演じる。

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それから、『イカ雨の舞台裏』も先に観てしまってオーケー。この「ウォッチメン」の世界では時折小さなイカが雨のように降ってくる謎の現象が起こるのだが、これは先述のオジマンディアスによる大虐殺と繋がっている。映像特典では、原作コミックからの流れを踏まえて紹介してくれるから、原作未読でもキャッチアップできる。

ところで、イカ雨は本作の奇妙な象徴となっていて、米HBO®はこんなユーモア溢れる「注意喚起」風の画像も公開している。車の運転中にイカ雨が降ったら、安全な路肩に停車して車内に留まろうということだ。イカを素手で触ったり、食べたりしてはいけないらしい。(ちなみに、降ってきたイカは30秒ほどで溶ける。)

「ウォッチメン」イカ雨に気をつけよう

ニューヨーク・コミコン2019のパネルトークの様子を収めた映像特典『コミコン2019』は、36分もあるからじっくり楽しもう。製作総指揮のデイモン・リンデロフとニコール・カッセルをはじめ、シスター・ナイト/アンジェラ・エイバー役のレジーナ・キングやオジマンディアス/エイドリアン・ヴェイド役のジェレミー・アイアンズらキャストが勢揃いしてたっぷりと語る。

どうやらこのトークは第1話のプレミア上映直後に開催されたようだから、これにならって第1話視聴後に再生するのも良いだろう。カルヴィン役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が『アクアマン』出演(ブラックマンタ役)をきっかけにアメコミを読むようになったというエピソードなど、コミコンならではのトークが楽しめる。「原作コミックは文字が小さくて読むのが大変だった」など、お茶目に語るジェレミー・アイアンズの尊い姿も堪能できるぞ。

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DISC2に収録の『ウォッチメンの正体』は、ドラマのテーマに迫る重要な解説。人はマスクをかぶることで「普段とは違う振る舞いができる」「抑圧された感情が解き放たれる」などの考察が繰り広げられるものだ。マスクといえばスーパーヒーローに欠かせないアイテムだが、このドラマでは過激派集団も警察もみなマスクを被って活動する。「匿名性を持ち暴力的に活動する集団は、顔を隠すことで正体がバレない。隣人かもしれないし、 街にいる誰かかもしれない」と語られるが、これは我々の世界におけるSNSの黒い面とも通じるではないか。本シリーズが「ウォッチメン」という題材を通じて、いかなる風刺に挑んでいるのか、理解が深まる。

フーデッド・ジャスティス登場エピソードは原作ファンも必見

「ウォッチメン」コンプリート・ボックスにはオリジナル・エピソードガイドも封入されているので、エピソードごとに復習しながら、ストーリーを見失わずに見進めることができる。(各エピソードの説明にはネタバレも含まれるので、視聴前に読み進めないようにしよう。)

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筆者のお気に入りエピソードは第6話「この尋常ならぬ存在」。原作コミックでもほとんど語られなかった「フーデッド・ジャスティス」の驚くべきオリジンが語られる。このエピソードだけは、『ウォッチメン』原作コミックの見事な前日譚となっているのだ。その知られざる物語を、我々が現実世界で直面している問題と絡めて描いているから、ただただ脱帽である。フーデッド・ジャスティスは、なぜ頭巾を被っているのか?なぜ首から縄をぶら下げているのか?とにかくこのエピソードを観てほしいというだけでも、原作コミックファンに本シリーズを勧めたい。

ラストの2エピソードでは、これまでの謎を次々と解き明かし、原作コミックに匹敵するダイナミックな結末を迎える。DISC3に収録の映像特典は基本的に最終話のネタバレが含まれるので、全て観終わった後のお楽しみに取っておこう。『フーデッド・ジャスティス:不滅の覆面ヒーロー』というコンテンツでは、第6話で何故フーデッド・ジャスティスが着目されたのか、バットマンとの比較など興味深い考察も交えながら解説される。

それから、『エイドリアン・ヴェイト:「世界一賢い男」の影響』も完走後にオススメ。序盤では全く謎だったヴェイトに隠されていた行動理念が明らかになる、「答え合わせ」のような内容だ。『フーデッド・ジャスティス』と『エイドリアン・ヴェイト』の2つの映像を観ると、もう一度第1話から見直したくなるだろう。1シーズン限りのドラマであるにも関わらず、世間で「『ゲーム・オブ・スローンズ』の次はコレ」と言われる深奥さがひしひしと感じられるはず。豊富な映像特典と行き来しながら、作品の真髄にアクセスできるのは、コンプリート・ボックスならではの贅沢な喜びだ。

ドラマ「ウォッチメン」ブルーレイ・DVDは発売中。デジタル版も配信中だ。細かなところまで緻密に作り込まれた作品だから、何度も観てじっくり味わってほしい。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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