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ウィル・スミス、アカデミー賞ビンタ騒動の謝罪動画を公開

ウィル・スミス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28316676010/

俳優のウィル・スミスが、2022年3月27日(米国時間)の第94回アカデミー賞授賞式でクリス・ロックを平手打ちした問題について、自身のYouTubeチャンネルにて謝罪動画を公開した。

騒動の発端は、プレゼンターのクリスが、ウィルの妻であるジェイダ・ピンケット・スミスに「『G.I.ジェーン2』で見られるのが楽しみ」とジョークを述べたこと。これはジェイダが脱毛症のため頭髪を刈っていることと、坊主頭の女性が戦う『G.I.ジェーン』を重ね合わせたジョークだったが、ウィルはこれを妻への侮辱と捉えて激昂、ステージに上がりクリスを平手打ちした。この騒動は世界的に物議を醸し、ウィルは自主的に謝罪文を発表したのちに映画芸術科学アカデミーからも退会。理事会側はこれを受け入れ、10年間の賞への出入りや参加資格を剥奪する処分を下した

今回の映像の冒頭には、ウィルが授賞式からの数ヶ月間「あらゆることを考え、個人的な取り組みをしていた」こと、寄せられた質問に答えるには時間が必要だったことがキャプションで表示される。ウィルの謝罪は質問への回答という形で行われており、まずは『ドリームプラン』(2021)での受賞スピーチでクリスに謝罪しなかった理由から語られている。

「あのときは混乱していました。クリスには連絡し、メッセージも返ってきたのですが、彼はまだ話す準備ができていないとのことです。準備ができたら、彼の方から連絡をくれると。クリスには謝らなくてはいけません。僕の行動は受け入れられるものではなかったし、君にその準備ができたらいつでも。

クリスのお母様にも謝りたいと思います。(彼女の)インタビューを見ました。僕はまったく考えていませんでしたが、あのときにどれだけ多くの人たちを傷つけてしまったか。お母様に謝りたいし、クリスのご家族にも謝りたいと思います。特に(弟の)トニー・ロックに。僕たちの間には素晴らしい関係があったし、トニー・ロックは僕の親友だった。取り返しのつかないことをしたと思います。

この3ヶ月間、あのとき起きたことを何度も思い出し、その繊細さと複雑さを理解してきました。そのすべてを今お話しすることはしませんが、みなさんに言えるのは、あの行動が正しかったとは一切思わないということ。無礼や侮辱を受けたという感情をコントロールするためにふさわしい方法だったとも一切思っていません。」

授賞式ではクリスのジョークのあと、ウィルは一瞬笑顔を浮かべたが、ジェイダと目が合ったあと、ステージに上がってクリスを平手打ちしている。「あのときジェイダから何かしてほしいと言われたんですか?」との質問に、ウィルは「いいえ、僕自身の判断です。自分自身の経験と、クリスとの過去から判断しました。ジェイダはまったく関係ありません」と答えた。問題に巻き込んだ家族のほか、授賞式に参加した候補者にもウィルは謝罪の言葉を述べている。

また映像の最後には、騒動まで自分を尊敬していたファンや、自分の行動で失望させてしまった人々へのメッセージも語られている。

「みなさんを失望させたことに深く傷ついています。自分がみなさんを失望させたことを憎みますし、精神的に、また感情的に傷ついています。みなさんのイメージや印象に応えられなかった。今は深く後悔していますし、我が身を恥じることなく後悔するための取り組みをしているところです。僕も人間だし、失敗は犯す。けれども自分のことを人間のクズだとは思わないようにしたい。(自分の行動が)混乱を招き、衝撃を与えてしまったことは理解しています。けれども、この世界に光と愛を、喜びをもたらせるよう力を尽くすとお約束します。みなさんが見放さないでいてくれるかぎり、また友人になれるとお約束します。」

ウィルの行動には賛否が分かれたものの、本国ではウィルの暴力を許さない見方が強く、アカデミー側も騒動直後に「いかなる暴力も容認しない」「スミス氏の行動を強く非難する」との声明を発表。『ドリームプラン』でウィルが演じたリチャード・ウィリアムズ氏本人も「他人を殴るという行為は容認できない」と述べた。騒動を受けてウィルのプロジェクトが撤回・保留される動きもあったが、米ソニー・ピクチャーズが『バッドボーイズ』第4作の企画が存在することを認めるなど、業界としては状況を注視しているようだ。

なお、ウィルの出演作品としては、アントワーン・フークア監督とタッグを組んだアクション映画『Emancipation(原題)』が待機中。Apple TV+オリジナル映画となる本作は、いまだ配信日こそ発表されていないが、米Deadlineによると作品は完成済みとのこと。内部試写での評判も良く、2022年内、あるいは2023年前半に配信されるのではないかとみられている。

Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。