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【インタビュー】『ゾンビランド:ダブルタップ』監督「みんな、無名だったあの頃のままだった」

ゾンビランド:ダブルタップ
(C) 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. and 2.0 Entertainment Borrower, LLC. All Rights Reserved.

ここは、人類がゾンビ化してしまった世界。10年前の映画『ゾンビランド』(2009)で、数少ない生存者のコロンバスは、ゾンビ社会を生き延びるためのルールを作り、なんとか日々を過ごしていた。

そこで出会ったタラハシー、ウィチタ、リトルロックとは、支え合ったり、裏切ったり、恋をしたり。あれから10年、なんだかんだでファミリーの4人が『ゾンビランド:ダブルタップ』で再集結だ。

10年の間に役者としても大成長を遂げたウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリンの4人がカムバック。特にエマ・ストーンと言えば『ラ・ラ・ランド』(2017)で爆発的にブレイクし、今やアカデミー賞常連女優となった。

前作の時点では無名の映画監督だったルーベン・フライシャーも、『ヴェノム』(2018)を世界的成長に導くキャリアアップ。それぞれが飛躍的成長を遂げた中、『ゾンビランド:ダブルタップ』にもう一度戻ってくるって、どんな感覚だったのだろう。THE RIVERは、ルーベン・フライシャー監督に直接電話で話を聞いてみた。

ゾンビランド:ダブルタップ
『ゾンビランド:ダブルタップ』ルーベン・フライシャー監督

「ウディはウディだ」変わらない仲間たち

──『ゾンビランド』のメンバーが10年ぶりに再集結ですね。中でも、特にウディ・ハレルソンやエマ・ストーン、ジェシー・アイゼンバーグは、役者として大きくなって帰ってきたのではないでしょうか。

ウディは、前作の頃から軸が全くブレないですね。そもそも1作目の当時から、確立した映画スターでしたけど。彼には素晴らしいところが沢山ありますが、何というか、あの人は何があってもウディって感じですね。そこが凄い。ロックで。ウディはウディだぞって感じで、頼れる。

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953624 – ZOMBIELAND: DOUBLE TAP

エマは、セリフがない瞬間でも、セリフを話している時くらい目が離せない存在感があって、そういう女優さんはちょっと他に見たことがないですね。どんな瞬間でも存在感があって、リアルで、自然。僕は編集作業でこの映画を何千回と見るわけですが、編集が終わっても彼女に釘付けで、新たな発見や新たな楽しみがありました。だって、この映画の彼女は全ての瞬間が素晴らしいんですよ。

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953624 – ZOMBIELAND: DOUBLE TAP

ジェシーは脚本家もやっていて、オフブロードウェイの舞台脚本も書いています。本も書いているし。だから、シーンを書き直したい時とか、新しいジョークが思いついた時に、彼の真価が発揮される。色々なアイデアを出してくれるんですよ。創作面においても良きパートナーでした。もちろん、演技力も凄まじいわけですが、彼がキャラクターやストーリー、ジョークやあれこれ考えてくれたのは良かったですね。すごく協力的でした。

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953624 – ZOMBIELAND: DOUBLE TAP

──それに、リトルロック役のアビゲイル・ブレスリンもカムバックです。みんなと再び過ごして、「あの頃と変わらないな」と思ったことはありますか?

お互いのフィーリングは1作目の時と変わっていませんでしたね。当時の楽しかった感覚。そのためにこの続編に戻ってきたようなものです。とにかく楽しかったんですよね。今回は、家族の再会のようでした。

他に変わらないことと言えば、特にエマとジェシーはあれから成功して新たな名声を手に入れたにも関わらず、エゴがなかったこと。全く変わっていなかったんです。10年前の、無名だった頃と全くの同一人物でした。謙虚で、親切で、素晴らしい人のままでした。

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Los Angeles, CA – October 10, 2019: Woody Harrelson, Emma Stone, Abigail Breslin and Jesse Eisenberg during the Red Carpet at the World Premiere of Columbia Pictures’ ZOMBIELAND: DOUBLE TAP at the Regency Village Theatre in Westwood.

「ウォーキング・デッド」カメオ登場の案あった

──新キャラクターも最高に良かったです。特に、マディソン。ショッピングモールの冷凍庫にずっと隠れていた彼女は、2009年から文化が止まってる。だから、未だに当時のリンジー・ローハンやパリス・ヒルトン、ブリトニー・スピアーズみたいな、ちょっと懐かしい感じなんですよね。

その通りです。当時から時が止まっている。だから、パリス・ヒルトンやリンジー・ローハンを至高の存在だと思っているんですよ。脚本の時点で既に面白いキャラクターでしたが、ゾーイ・ドゥイッチをキャスティングできて、もっと面白くなりましたね。ぶっ飛ばされるくらい笑えたんです。彼女は面白いことがポンポンと浮かんでくるようで、アドリブもやってくれました。実は彼女のそういった所が、個人的には一番笑えるポイントでした。

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953624 – ZOMBIELAND 2: DOUBLE TAP

──『ゾンビランド』は、人類滅亡後の危機的な状況で、クセの強いメンバーがファミリーとして団結するドラマが見どころです。この映画は基本的にコメディ映画なので深読みしすぎかもしれませんが、今の時代に「互いに手を取り合って協力する」ことを描く意義は何ですか?

ポストアポカリプティス(人類滅亡後)の世界では、誰もが自分のために生きています。1作目で良かったところは、それでも彼らが団結してファミリーのようになったこと。人の心にある優しさを描いたから、特別な映画になったんだと思っています。

今作でも、それと同じフィーリングやスピリットを維持しました。つまるところ、この映画はまず第一に「ファミリー・コメディ」なんです。『お!バカんす家族(原題:Vacation)』(2015)や、1980年代のファミリー・コメディをお手本にしています。ゾンビ映画よりも。

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953624 – ZOMBIELAND: DOUBLE TAP

──聞いた話なのですが、実現しなかった小ネタとして「ウォーキング・デッド」のメンバーとすれ違うという案があったそうですね。本当ですか?

はい。エマ・ストーンが提案してくれたんです。『ゾンビランド』のメンバーが歩いていて、「ウォーキング・デッド」の何人かに会うなんて、絶対に面白いでしょう。でも、それをやるのはちょっと……、何というか、ちょっとやりすぎな気がしたので、実際には試しませんでした。でも、エマのアイデアはすごく面白かったと思います。

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所定のインタビュー時間が終わり、「今日はありがとうございました」と電話口を離れようとしたところ、監督から「One more question!(もう一問)」との逆リクエストが。そこで、監督が成功に導いた『ヴェノム』を話題にあげて「もしもヴェノムがゾンビランドに出現したら、どうなっちゃいますか?」と尋ねてみた。監督は「えーっ、ヴェノムがゾンビランドに?(笑)」と、楽しそうに答えてくれた。

「きっと、ヴェノムは腹パンパンになるんじゃないかな。ゾンビを食い荒らして。気が済むまで、奴らの頭にかぶりつけるんですから!」

映画『ゾンビランド:ダブルタップ』は2019年11月22日(金)全国ロードショー。ヴェノムでなくとも、笑いと興奮と感動で腹パンパンになれる一作だ。

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Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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