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ダニエル・クレイグ後の『007』はどう進む? ─ ヒントは製作者が明かす2つのルールに

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
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2022年で60周年を迎える映画『007』シリーズには、新作を企画する上で必ず検討することがあるという。プロデューサーのバーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンが明かしている。それでは、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に続くこれからの『007』はどう進んでいくのだろう。

1962年に始まった『007』シリーズは、6代目のダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンド作品『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で25作目となった。各作品で、ボンドは荒唐無稽なビジョンを持ったヴィランたちの悪事を打ち砕いてきたが、そこで描き出される世界の多くが、現代とリンクした問題を抱えていた。このたび米CNNの取材に応じたブロッコリとウィルソンによれば、『007』のそうしたストーリーテリングは、2つのルールに基づいていたという。

1つ目は、映画が公開される2〜3年後に、世界にとって恐ろしいものは何かという疑問を持つこと。そして2つ目は、ボンドが直面する個人的な困難は何か?を考えることです。この2つの組み合わせを考えることは、それぞれの時代で新しい何かに挑戦していくという意味でもあります。」

ブロッコリは1995年公開の『007 ゴールデンアイ』に始まる5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン時代から製作として携わってきた。一方、ウィルソンはロジャー・ムーア版やティモシー・ダルトン版シリーズで脚本も手がけており、共に『007』を一番良く知るベテランだ。変わりゆく時代で『007』と歩んできた2人は、“同時代性”と、ジェームズ・ボンドという架空のキャラクターのパーソナルな部分を織り交ぜながら、シリーズを先に進めてきたのだ。

現代で最も親しまれているダニエル版シリーズは、まさに上述の2つのルールが顕著に意識されたストーリーに仕上がっている。『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)に始まるダニエル・ボンドの物語は、最愛の恋人ヴェスパーを失うというどん底からスタート。その後も、ジュディ・デンチのMとの関係性や、過去に葬ったはずだった“兄弟”ブロフェルドとの再会など、ボンドにとっての困難が各作品で訪れた。

そんなボンドが生きる世界にも変化が現れ、とりわけ第4作『007 スペクター』では、テクノロジーが高度に発達した現代における“危機”が物語の焦点となった。続く『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では同作から5年が主な舞台となるが、そこは善悪の区別が曖昧となった複雑な世界。そのカオスさが、『スペクター』からさらに進んでいることは一目瞭然である。

それでは、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でシリーズを卒業したダニエルの後を継ぐ、新時代の『007』はどう進んでいくのか。ウィルソンは、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』も大きく左右されたパンデミックの世界への影響を踏まえた上で、「自分にとっての水晶玉を見つけて、挑戦していかなければいけません」と、これからの時代に対する先見の明の重要性を語っている。

次なる『007』シリーズは、少なくとも2022年以降に製作が開始されることが判明済み。26作目で描かれるテーマこそ、これから検討されることになりそうだが、世界は今もパンデミックに苦しめられている。そんな不安定な世界で出現する悪に対峙していくボンドも見てみたい。

Source: CNN

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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