ダニエル・クレイグが『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)をもって6代目ジェームズ・ボンドを卒業してから2年が経った。製作された5作品の中で、名場面は数知れず。タフで寡黙、それでいて時に感情をむき出しにするジェームズ・ボンドの内面を深く掘り下げていった。
現在はクレイグを継ぐ7代目『007』シリーズが開発中だが、その方向性は定まっていない。一方、新たなボンド像を確立したクレイグ・ボンドへの圧倒的支持の声は絶えず、今後のシリーズ展開には期待と不安が入り混じるというのが正直なところ。
このたびTHE RIVERでは、「ダニエル・クレイグ版『007』ベスト作品決めよう」と銘打ったアンケートを実施した。ご協力いただいた114人の回答を基に、クレイグ版『007』シリーズをランキング形式でご紹介。熱いコメントと共に、ダニエル・クレイグの功績を振り返る。
5位『007/慰めの報酬』(2008)
シリーズ2作目。生涯の伴侶に決めたはずだったヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)に裏切られたボンドは、再び殺しのライセンスを背負うことになる。敵は、フランス人実業家を装い、利権のために元ボリビア軍事政権トップの男のクーデターを後援していた組織の幹部、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)。ボンドは、任務の途中で出会った女性カミーユ(オルガ・キュリレンコ)と共に、陰謀の阻止に立ち向かっていった。
冒頭のカーチェイスやクレーンを用いたスリリングなバトル展開、クライマックスの手に汗握る脱出シーンなど、アクションには定評がある。シリーズ恒例、「Bond, James Bond」の決め台詞が登場しないことも、作品としてのユニークさを確立させている。
『007/慰めの報酬』への評価コメント
アクションがすごい(くれーぐ さん 男性 20代)
アクションのテンポが良くてかっこいい、シリーズの中で一番短くて地味だけど何度も見てしまう。(てるさん 40代)
アクションやそのアングルなどが好きです。(まよぴざ さん 男性 30代)
これまでにない前作直後からのスタート。カーチェイスシーン。オペラのところの静かだけどオペラ的な銃撃シーン。ドッグファイトなど、アクションシーンの演出が大変素晴らしかったです。また、ダニエル・ボンドが感情に任せた行動を見せる面と、ガジェットより身体をはった路線をしっかり決定づけた作品としてベスト作品だと思いました。(はっくん さん 男性 40代)
4位『007 スペクター』(2015)
シリーズ4作目。『007』シリーズ屈指の人気ヴィラン、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドや、のちに重要な役割を担うことになるマドレーヌの初登場作品だ。『007 スカイフォール』で出自に向き合い、気持ち新たに任務へ乗り出したボンドの前に、巨大組織スペクターが立ちはだかる。
監督は『スカイフォール』からサム・メンデスが続投。当初、クレイグは『スペクター』をもって引退を決意していたこともあり、物語は一つの完成形を見せている。テクノロジーの発達など、時代性を反映した物語はMI6の必要性を問い、ジェームズ・ボンドというキャラクターの存在意義を際立たせた。
『007 スペクター』への評価コメント
一番王道の『007』だった。他は色々変化球過ぎる。(ダメガネ さん 男性 30代)
冒頭の長回し、OMEGAの爆弾代用のクールさ(キメコメ さん 男性 40代)
映像としての美しさ、美術的な完成度。スケール。ロマン(あっぱらぱー さん 男性 30代)
Aston Martin DB10に乗るクレイグ・ボンドがカッコ良すぎた。(TOM さん 男性 10代)
レア・セドゥとモニカ・ベルッチとのセクシーな共演が良かったのと、敵との攻防戦も良かった。とにかくダニエルのボンドがかっこよくて痺れました。(maco さん 女性 50代)
スペクターが復活するし、今までの決着もついて見応えがある、ヒロインのレア・セドゥが美しくて、素晴らしかった。(マツモックリ さん 男性 30代)
シリーズ中で一番スタイリッシュなかっこ良さがある作品だ。(しとりんさん 20代)
義兄弟との関係、敵の娘に恋をする等々、ボンドの人間味がギュッと詰まってる。 (ちく さん 女性 20代)
完結作として最高。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』も面白かったけど蛇足感は否めない。(フォーク さん 男性 20代)
3位『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)
シリーズ最終作。『スペクター』を経て、007を引退したボンドはマドレーヌとバカンスを満喫していた。しかし、亡霊はついてまわり、ボンドは葬り去ったはずの自分の過去と向き合うことになった。
本作では、歴代シリーズでも描かれてこなかった衝撃の展開が訪れる。1人の男としての決断を、生々しくかつダイナミックに切り取った堂々のラストを評価する声は多い。ビリー・アイリッシュによる主題歌「No Time To Die」が第94回アカデミー賞で歌曲賞を受賞したことも話題となった。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』への評価コメント
圧倒的ボンド。(かずき さん 男性 10代)
全てがエモーショナル!(アラバマ さん 男性 20代)
クレイグ・ボンドの壮絶な旅路の結末として、まぁこれしかないだろという感じの終着点。007が◯◯のは許容できないという意見もわかるけど、クレイグボンドの旅は、辛いけれどこうしないと終わらない…というのがヒシヒシ伝わって、最後泣いた。(豪 さん 男性 40代)
敵が魅力的でハラハラな展開が常に続き、Billie Eilishの曲もよく、最終章として1番ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドを感じれた。(ハント さん 男性 10代)
綺麗なダニエル・ボンドの終わりだった、ラストは号泣必須。(モネ さん 女性 10代)
まさかのエンディング!泣きました。(きんこん吉田 さん 男性 50代)
ジェームズ・ボンドが007としてのみならず、1人の男としての物語の完璧な完結編であった。(倉光勇人(くらみゆうと) さん 男性 20代)
ダニエルクレイグ版『007』の集大成で、これまでの作品に繋がっている。(たくま さん 男性 20代)
自らを犠牲に犠牲にして任務を遂行する姿に胸を打たれた。ジェームズ・ボンドシリーズはダニエル・クレイグ版しか見ていなかったから、ボンドが死ぬ結末になるとは思いもしなかった。(タイラーダーデン さん 男性 10代)
男としてだけでなく父として描かれた唯一無二の007。(じぇーむす主水 さん 男性 40代)
クレイグ・ボンドの最後の姿がずっと記憶に残っています!(ゆう さん 男性 20代)
2位『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)
シリーズ第1作。“007”になりたてのジェームズ・ボンドの荒々しくも勇猛果敢な姿が描かれる。本作では、向かう所敵なしだったボンドの弱みをさらけ出し、のちに苦められることになる“トラウマ”を植え付けた。
前半のパルクールチェイスシーンやシャワーに打たれながらヴェスパーに寄り添うシーン、マッツ・ミケルセン演じる悪役ル・シッフルとのポーカー対決と痛々しいクライマックスバトルなど、名場面をあげ出したらキリが無い。
『007/カジノ・ロワイヤル』への評価コメント
ピアース・ブロスナンの作り出した、シャープでニヒルなボンド像から一変して武骨でリアルで傷つきながらも任務を遂行していくダニエル・クレイグボンドがとてもカッコよく、一瞬で引き込まれる。特に電車の中でヴェスパーと話すシーンが大好き。あのシーンだけでご飯3杯いけます。(カノープス さん 男性 30代)
ダニエル・クレイグに代わって最初の作品。ブロスナンのボンドが好きだったのでかなり不信感をもって見始めましたが、最初の数分で虜になりました。ストーリーも良かったし映像も良かった。そしてクレイグのボンドが最高だった。(ひで さん 男性 50代)
初の金髪となった新ジェームズ・ボンドの初登場作品ながら、周囲に一気にクレイグ・ボンドを認めさせるほど魅力があり、映画自体も歴代作品の中でもかなり面白い一作。(ユラ さん 男性 30代)
第一作ということで、作り手の気合いを感じます。初めて『007』シリーズを観るという人でも楽しめると思いますし、おすすめしたい作品です。(ソバ さん 女性 30代)
シリーズを一から作り直すという作り手の本気が伝わってくる。また、未熟なボンドと、ダニエル・クレイグの荒々しさがちょうど良かった。あと、『007 スカイフォール』を1位にするわけにはいかない。(ヨス さん 男性 40代)
新生『007』のファーストタイトル。全てが新しいジェームズ・ボンド像のインパクトはシリーズの中でも1番でした。(ボビー さん 男性 30代)
ダニエル・クレイグ初登板にして原作第1作の映像化ということもあり、ジェームズ・ボンドの始まりとも言える物語で、これまでのシリーズのお約束である要素を数多く廃しながらも、最後に流れるボンドのテーマ曲でシリーズの新生を印象づけられた。(24K さん 男性 20代)
それまでのイメージを一掃したインパクトがとにかく強かった。水色の海パン一丁、忘れられない…。(アンディ さん 女性 40代)
曲のかっこよさ。エヴァ・グリーンとのロマンスが素敵。最後にあの名セリフを入れる演出が好き。カジノ店員にオーダーする時に分量を指定する所が好き。(わたり さん 男性 30代)
まず主題歌が最高!ガンバレルシーンからの「ユー・ノー・マイ・ネーム」が鳥肌モノ!手に汗握る展開が続き、謎が残ったまま終わる。ダニエル・クレイグ初ボンド作品にして最高傑作だと思う!(btt さん 男性 20代)
あのガンバレルシークエンスからのカッコいいオープニングに痺れる。荒々しいアクションと演出のキレが素晴らしい。ストーリーとドラマの深みも『007』の中で随一。(おがちゃん さん 男性 30代)
ダニエル・ボンドがただスマートなだけではないけれど格好いいボンドを見せてくれる最初の作品。ヴィランのマッツ・ミケルセンが素敵。(nori さん 女性 40代)
後にも先にもクレイグボンドの一作目なので!マッツ様も素晴らしいし、拷問シーンもいいし、ラストの名乗りも最高でした…。(ヌルむ さん 男性 30代)
拷問シーンが好き。(トリーさん 20代)
まだスマートとは言えない粗暴なボンド。壁をぶち破り、パルクールで建物を横断して、ポーカーで勝って玉を殴られる…こんなボンドは他にいません。(スジャータ さん 男性 30代)
選ばれた時は半信半疑だったけど見終わった瞬間ベストな『007』だと感じた。(kirintodon さん 男性 30代)
ダニエル・クレイグ時代はシリーズ60年の歴史の中でも“異端”な時代だと思う。その“新しいものを作る”という意気込みを見せつけてくれた。久々の原作を元にした硬派なストーリー。妥協なきアクション。残酷な結末。ボンドの“青二歳”具合。ヴェスパー。『007』の基本構成要素(車や酒)が出てくる瞬間。全て好き。ダニエル・クレイグの『007』はどれも好きだが、1番はやはり『007/カジノ・ロワイヤル』一択です!(カメサビアン さん 男性 20代)
1位『007 スカイフォール』(2012)
シリーズ第3作。『007』映画シリーズ誕生50周年記念作品として製作され、歴代最高傑作との呼び声も高い。ミッション中、仲間のエージェントに胸を撃たれ死んだと思われていたボンドは、MI6への復讐を誓うかつての同志を阻止すべく、隠居生活から再び立ち上がる。
本作では、謎の多かったボンドの出自が明らかとなった。物語は進むにつれてボンドの過去に迫っていき、“故郷”を舞台に繰り広げられた籠城戦と、それに続く静かな最期は作品の哀愁を生み出した。ベン・ウィショー演じるQやナオミ・ハリス演じるマネーペニーなど、シリーズの人気キャラクターも初登場を飾っている。シルヴァ役のハビエル・バルデムの怪演も見どころだ。
『007 スカイフォール』への評価コメント
初めて見た『007』で、衝撃を受けた。音楽がすごくよかった。(きょん さん 女性 20代)
奥深いストーリー、洗練された演技、迫力あるアクション、鮮烈な主題歌。むしろ選ばない理由がありません。(ニコ・パンケーキマン さん 男性 30代)
ボンドの出自、懐かしの車、ヴィランの気持ち悪さ、Mの最後、ダニクレボンドというより、『007』映画で一番好き。(りくやま さん 女性 60代)
序盤から切羽詰まるアクションと前二作ではあまり取り上げられなかったMI6内部の話、そしてボンドの昔の話。敵であるシルヴァのキャラクターも良く目が離せなかったです!(キャップさん 10代)
特に冒頭からAdeleの「Skyfall」が流れるOPシークエンスまでの掴みが完璧。そしてボンドの過去や宿命をしっかり描いているのと僕の大好きなQが登場した事がとても印象的です。それにクレイグのボンドのキャラクターや完全に過去のボンドとは違うぞ!と確信ができたというのも理由です。(スミス さん 男性 20代)
冷酷で完璧であることを求められるスパイという職業だけれど、それでもやはり人間なんだということを感じさせられます。故郷があって、親もいた。思い出したくないことも、辛いこともある。そんなボンドの人間性を感じることが出来るので、個人的にはベスト作品です。(shige.N さん 女性 10代)
歴代『007』のオマージュの数々。ボンドの過去にスポットを当てた点は斬新。その後の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』にも繋がるようなクレイグ版ボンドの人間像を作り上げた1作。(チャック井上 さん 男性 30代)
シリーズを通して絶対的安心感を持つ存在として印象付けられてきたMにも、諜報組織の一員として冷酷な決断を下した過去があった。という衝撃のプロットはもちろん。ボンドが誰よりも詳しい生家を最終決戦の要塞として活用してしまうアツい展開が堪らない。また、Mと工作員の関係性をボンドとシルヴァで対比的に描くことで、ボンドの忠誠心を強く印象付けつつ、シルヴァの悲嘆なMへの想いとその最期を演出している。監督がサム・メンデスということもあって、バイオレンスの渦中にある人間ドラマが色鮮やかに描かれている点も高く評価したい。(映画狂老人卍 さん 男性 20代)
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のどちらかと悩むが、ダニエルボンドの中でも特に内面を描いているところ。愛憎入り交じった、放蕩息子と母の様な関係のMとの別れ。Mの死別や実家など初めて描かれるもの多く映像も美しい。(こあらってぃ さん 男性 50代)
映画全体を通して悲壮感とMの死…明るく軽快な『007』も大好きですがこう言った重めのストーリーも引き込まれる様な魅力があります(ぴこ さん 男性 20代)
傷つき老いたボンドの身体に鞭打つ決死の戦い。Mの覚悟とボンドへの信頼。シルヴァの狂気とMへの愛憎入り混じった思い。あまりにも尊くダニエル・クレイグ版『007』を越えて全『007』で見てもマイベスト。(NAO さん 男性 30代)
歴代最高(齢)のボンドガールとの物語が良い(タナヨシ さん 男性 10代)
先代Mとの別れ、これまでの歩み、過去との決別、そして新たなQとの新しい時代の始まり。『007 スペクター』や『007/カジノ・ロワイヤル』も素晴らしいですが、ベストは『007 スカイフォール』かなと思って選びました。(T1000 さん 男性 20代)
Мとの繋がりというか絆、そして別れという流れが切なくて良かった。ハビエル・バルデムのヴィランぶりも、シリーズの中で一番だと思う。(とかげわに さん 女性 50代)
ストーリーが一番面白かった。ベン・ウィショーのQが初めて出て来たのがよかった。(Rio さん 女性 20代)
ダニエル・クレイグ版の『007』は今までの『007』とは独立した独自のストーリーを持っていて好きなのですがナショナルギャラリーのシーンでQが初登場してきた辺りで悶えました。ただでさえ映像が美しいのに加えて『007』に新しい風を吹かせる魅力的なキャラクターが登場するボリューム満点のボンド映画の中で私のベスト作品です。(美麗 さん 女性 10代)