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『007』原作者による幻の映画脚本が見つかる、詳細も判明 ─ M&マネーペニー不在、内容は「ずっとシリアス」

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
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スパイアクションの金字塔『007』の原作者として知られるイアン・フレミングは、6人によって演じられてきた今に知られる映画シリーズが誕生する前、自ら執筆した脚本と共に『007』が映画化されることを夢に見た。それから約70年の時を超えて、フレミングが当時執筆した150ページに渡る映画脚本が発見されたことがわかった。あわせて、その内容も判明している。

フレミングが執筆したのは、1955年に発表された小説シリーズ第3作『007 ムーンレイカー』を脚色した映画脚本。1979年には3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーアの主演で映画『007/ムーンレイカー』が公開されているが、フレミングが執筆したバージョンは、「ずっとシリアスな」内容だったという。発見に貢献した『007』文学に詳しいジョン・ギルバート氏は、英Observerに「これはフレミングが『007』を映画として思い描いて執筆したごく初期の脚本です」と証言している。「彼が唯一試みた映画脚本であり、非常に貴重なものです。権力者が英国を陥れようとする、とてもボンドらしいシナリオです」。

『ムーンレイカー』映画脚本の存在が最初に明るみになったのは、2015年に開催されたイギリスのオークションにて。物語の詳細が分からないまま個人収集家によって落札されると、再びフレミングの脚本は姿を消した。しかしこのたび、イギリスで古書店を営むピーター・ハリントンとエイドリアン・ハリントンによって収集された『007』シリーズの資料がコレクションとして公開され、そこには消えたフレミングの映画脚本もラインナップされた。

脚本が執筆された1950年代に『007』の映像化作品は存在せず、フレミングは自分の想像力のみを駆使して映画としての『007』を創り上げた。ギルバート氏によると、今に知られるジェームズ・ボンドのビジュアル像は、すでに当時からフレミングが定義していたことだといい、黒のタキシードやライトブルーの水泳パンツといったファッションも『ムーンレイカー』の脚本に含まれていたのだとか。ギルバート氏は、「後の脚本家ではなく、おそらく起源はフレミングのこれ(脚本)だったと考えられます」と分析。「とても重要なことで、(プロデューサーの)ブロッコリとサルツマンと話し合う前から、彼は考えていたのではないでしょうか」と述べている。

気になるのは、その内容について。ギルバート氏によると、脚本は「記述的すぎる」仕上がりで150ページに渡ったのもこれが理由とのこと。「通常『007』の映画は100ページほどです」と続けるギルバート氏だが、「よく書けている」と好評価も与えている。映画『ムーンレイカー』では、『スター・ウォーズ』に始まる70年代のSFブームを踏襲した演出・内容に脚色されたが、フレミング版は上述の通りシリアス路線で、焦点は「冷戦と核の脅威」に当てられていたという。

また原作・映画ともに、『ムーンレイカー』ではヒューゴ・ドラックス卿という富豪がヴィランとして立ちはだかるが、フレミング版では同キャラクターは存在せず。ドラックス卿の代わりに描かれたヴィランの一人が、「トッシュ」という名の潜入捜査官だった。トッシュには、コックニー訛りの英語話者、いかさまトランプ師という肩書も与えられていたそうだ。さらに『007』シリーズではお馴染み、ボンドの上司MとMの秘書マネーペニーが物語から省かれたこともフレミングの脚本の特徴である。自ら創り上げたキャラクターを除く決断をしたフレミングだが、その意図は明かされていない。

結局フレミングの脚本が日の目を見ることは無かったものの、仮にそうなっていたとしたら記念すべき映画シリーズ第1作が『ドクター・ノオ』ではなく『ムーンレイカー』だったかもしれず、さらにはショーン・コネリーからダニエル・クレイグまでのボンド俳優たちが存在していなかった可能性もある。今となってはこう考えるしかないが、違う『007』の未来も存在していたかもしれないと思うと興味深い。

Source: Observer(参照:The Guardian

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SAWADA
SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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