『ジェームズ・ボンド』原作小説、再出版にあたり人種差別的表現を排除 ─「現在受け入れられる表現」にアップデート

世界中で何十年もの人気を誇るスパイ映画『007』シリーズの原作小説第1作目「カジノ・ロワイヤル」が出版されて、2023年で70年を迎える。この度、原作小説の再出版にあたり、人種差別的な表現が削除されたことが英The Telegraghの報道にて明らかになった。
作家イアン・フレミングによる『ジェームズ・ボンド』シリーズは架空の英国秘密情報部のエージェントを主人公ジェームズ・ボンドとする小説群であり、ボンドは12の小説と2つの短編小説集に登場している。1964年にフレミングが亡くなった以降も、数多くの作家によりボンドの小説やノベライズが誕生しており、映画シリーズではショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで6人の俳優が演じてきた。
この度の編集が加えられたのは長編小説「カジノ・ロワイヤル」「 死ぬのは奴らだ」「サンダーボール作戦」「ゴールドフィンガー」と短編の「ナッソーの夜」。編集に加えて、刷り直された作品には「この作品は近年の読者に不快だと見なされる言葉や行動のあり方が一般的であった時代に書かれたものです。原文とその舞台となる時代に極力近づけつつも、今回の版では数々のアップデートがなされています」と免責事項が記される。
報じられているところによると、人種差別にまつわる表現が全面的に削除されたほか、「 死ぬのは奴らだ」作中のナイトクラブで客が集う様子を「pigs at the trough(餌入れに集う豚)」と表現した描写など、いくつかの箇所に変更が設けられている。
版元であるイアン・フレミング・パブリケーションズは「私どもはボンドシリーズのオリジナル作品を再度レビューし、最善の行動はイアンの先導に従うことであると決定しました。彼自身が公認した『死ぬのは奴らだ』については変更を加えてきました」とコメントしている。さらに「イアンのアプローチに沿いつつ、作中に見られるいくつかな人種差別的言葉の例を考査し、個々の言葉を取り除く、もしくは今日、より受け入れられながらも本が書かれた当時にも一致する言葉に置き換えました。新しく改定された版が刊行される4月に、これらの作品をぜひお読みください」と加えている。
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Source:The Telegragh