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『1917 命をかけた伝令』究極の没入体験、圧倒的な緊張感と美しさ ─ 「自分が戦場を駆ける映画」「歯を食いしばりすぎて奥歯が痛い」

1917 命をかけた伝令
(C) 2019 Storyteller Distribution Co., LLC and NR 1917 Film Holdings LLC. All Rights Reserved.

戦場に密着する、異次元の映画没入体験。第77回ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)・監督賞に輝き、第92回アカデミー賞でも撮影賞・録音賞・視覚効果賞を受賞した『1917 命をかけた伝令』が2020年2月14日(金)に公開される。『アメリカン・ビューティー』(1999)『007 スカイフォール』(2012)の名匠サム・メンデス監督が試みたのは、衝撃のワンシーン・ワンカット映像により、観客を過酷な戦場の最前線に放り込むという大技だ。

映画ファン待望の日本上陸に先がけて、THE RIVERでは本作の独占試写会を実施。およそ2時間の“戦場体験”をくぐり抜けてきた読者たちによる、興奮と恐怖、感動の声をお伝えしたい。

『1917 命をかけた伝令』究極の没入体験

1917年4月、フランス。第一次世界大戦が始まってから3年が経ち、西部戦線ではドイツ軍と連合国軍が大きな犠牲を払いながら消耗戦を続けていた。この日、イギリス軍の若き兵士であるスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追う仲間の部隊に重大なメッセージを届ける任務を与えられる。ドイツ軍の撤退は罠であり、このまま追跡を続ければ部隊は全滅、1,600人が命を落とすことになるのだ。この事実を伝え、翌朝に実行される作戦を中止せねばならない。しかしメッセージを届けるためには、敵の塹壕や占領地を抜ける必要があった。慎重なスコフィールドに対し、部隊に兄がいるブレイクに精神的余裕はない。刻々とタイムリミットが迫る中、2人は決死の覚悟で塹壕を這い出る……。

メンデス監督は「第一次世界大戦は現代の戦争」だといい、制作にあたっては物語をリアルタイムで描くこと、そして「主人公の息遣いのような詳細まで描くため」全編を“ワンカット映像”で作り上げることがベストだと考えたという。衝撃の映像体験を生み出しながら、同時に観客を物語に没入させるという難題に挑んだのは、本作で2度目のアカデミー賞撮影賞に輝いた撮影監督ロジャー・ディーキンス。目指されたのは、「観客が主人公の道のりすべて、一歩ずつを一緒に歩み、呼吸するように」感じられるストーリーテリングだった。

1917 命をかけた伝令
©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

「これは戦場を駆ける二人を“観る”映画ではなく、自分が戦場を“駆ける”映画だ!」。圧倒的な没入感と映画体験をこう語ったのは、”ザッキー92″さんだ。上映後のアンケートには、戦場さながらの体験を味わってきた読者の、興奮さめやらぬ言葉が多数寄せられている。「温度や匂いまで感じられるような初めて体験する映像だった。これが”ワンカット映像”なんだとただただ圧倒された」(”マロコ”さん)「一緒に戦場にいる感覚だったので、エンドロールが流れ始めたときに“私は映画を観てたんだっけ?”と変な気持ちになりました」(”さんぴん茶”さん)。

印象的なのは、『1917』を観た人々が、もはや身体面の変化を感じていることだ。「歯を食いしばりすぎて奥歯が痛い」とは”clerks00″さんの談だが、その他にも「2時間走り続けた感覚」(”ずんこ”さん)「(良い意味で)疲労感がすごかった」(”ベル”さん)「見ている私たちの消費カロリーもかなり高い」(”みうたろす”さん)など、ほとんど映画の感想とは思えないほどのコメントが並んでいる。「初めての感覚で、今はまだこの感情を文字にできません」とは”萩”さんの言葉だ。

1917 命をかけた伝令
©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

ワンカット映像ゆえの恐ろしさ、美しさ

『1917 命をかけた伝令』は、戦場の最前線を観客に文字通り体感させてしまう“ライド・アトラクション映画”だ。しかしメンデス監督は、決して第一次世界大戦をハラハラ、ドキドキするサスペンスやスリラーの舞台としてのみ扱っているわけではない。ライド・アトラクションのような効果を通じて、シンプルな物語をできるだけ効果的に語ることこそが作り手たちの狙いなのである。2人の友情と任務について「戦争映画でありながらも感動する映画」と記したのは”Reina”さん。ワンカット映像であることすら忘れて引き込まれるストーリー展開だ、と熱弁をふるったのは”がっきー”さんだ。

“究極の没入体験”は、2人の兵士の物語をリアルに味わえる以上の鑑賞体験にも繋がっている。”上田玲於”さんは「この目線で描かれていたことにより、戦争の悲惨さを痛感しました」、”佐藤康大”さんは「戦争を体験したようだとは軽々しく言えないが、ストーリーというよりも現実に直面したよう」「映画をつくってくれた方に感謝したい」という。同じく、”YyY”さんも「想像をはるかに超えていた。改めて戦争のむごさを肌身で感じることができた」と記した。

特筆しておきたいのは、サム・メンデスとロジャー・ディーキンスが切り取る戦争の“恐ろしさ”が、時として異様に美しい形で現れることだ。兵士が最前線で目の当たりにする光景の美しさは、生死のあわいを走り回っているからこそ見える煌めきであるかのよう。”ショートカット”さんは「あまりに圧倒されて涙が溢れてしまった」「あるシーンではレンブラントの絵画のように、光と影の生み出す風景が鮮やかな悪夢のように美しく、心震えた」と書き、”烏山祥宏”さんは「口ポカーン、鳥肌ゾワーでした」と、その衝撃に言葉を失ったという。

1917 命をかけた伝令
©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

迫力と臨場感にあふれた没入体験、しばしば顔を覗かせる恐怖と美しさ、そしてシンプルではあるが確かに胸を打つストーリーは、観る者の心をしっかりとつかんで離さない。「ワンカットなのもめちゃくちゃすごいけど、そうじゃなかったとしても大傑作なのでは」(”eak”さん)との言葉さえあるほどだ。もちろん、ベネディクト・カンバーバッチやマーク・ストロング、コリン・ファース、リチャード・マッデンという英国の人気俳優たちが華を添えているところも注目ポイント。全編緊張感たっぷりの本作だが、彼らの登場で「気分転換できて面白かった」とは”やぬ”さん、「戦場の中にも癒しがあった。眼福」とは”ずんこ”さんの談だ。

本作の威力を前にして、来場者からは早くもリピート宣言が続出。多くの観客から「次はIMAXで観たい」との声が寄せられた。なるべく大きな画面と大きな音量で、『1917』の戦場を全身で体感してほしい。

1917 命をかけた伝令
(c)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

映画『1917 命をかけた伝令』は2020年2月14日(金)全国ロードショー

 

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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