『ブレードランナー 2049』監督、内容を明かさない方針に理解求める「先入観なく体験できるのが最高」

映画『ブレードランナー 2049』の米国における興行収入の話題が、公開を控えた日本でも先日大きな注目を集めていた。リドリー・スコット監督による傑作映画『ブレードランナー』(1982)の35年ぶりの続編とあって、鳴り物入りで公開されたものの、公開直後の成績が当初の想定を下回る結果となったのである(記事)。

こうした動きを受けて、米国はもちろん日本でもネガティブな報道がしばしばみられた。「大コケ」「失敗」「爆死」といった文字が見出しに踊る事態は、映画ファンにとって必ずしも好意的に受け取られるものではなかっただろう。興行収入についての分析には、作品内容をプロモーションでほとんど明かさなかったことが原因ではないかという予想もあった。

しかし「事前に多くを語らない」という方針は、本作を手がけたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が望んだものだった。カナダの日刊紙トロント・スターによると、試写会に参加した批評家たちには鑑賞前に「観客の体験を守ってほしい」というメッセージが、また鑑賞後には“明かしてはならないポイント”が読み上げられたという。

『ブレードランナー 2049』の米国興収に関する話題を受けて、ヴィルヌーブ監督はこうしたプロモーションの方針に改めて理解を求めている。その根底にあったのは、監督が考える「鑑賞体験へのこだわり」だった。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ

Photo by Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35397143143/ )

監督としての意志、観客としての原体験

海外メディアのインタビューにて、ヴィルヌーブ監督は本作の興行収入についてわずかに言及している。

「映画監督として、思い上がらないようにと考えています。『ブレードランナー 2049』のような映画を私に作らせるため、人々がものすごい金額を出資している。みんなが私を信頼して、(創作上)多くの自由を与えてくれて、友人でいてくれる。ですから、もちろん映画は成功してほしいんです。長い時間がかかっていますし、損をしてほしくはありません。」(米Vulture

しかし、それでも観客の体験にこだわりたいという監督の姿勢は変わらない。自分自身が観客として経験したこと、自分自身が求めるものが『ブレードランナー 2049』のプロモーションには注ぎ込まれているのである。

観客が(批評家と同じように)先入観なく映画を体験できるのが最高だと思います。私はシネフィルとして、できるかぎり何も知らないまま、ほとんどまっさらの状態で映画を受けとめるのが大好きなんですよ。」(トロント・スター紙)

ヴィルヌーブ監督の考えには、かつて自身が映画祭の審査員を務めていたことも影響しているようだ。ジャンルや製作国すら知らされないまま20本の映画を観なければならなかったことが「最高の体験だった」と彼は語っているのである。

現在、雑誌や新聞、ウェブをはじめとしたあらゆるメディアには、劇場公開前から映画に関する情報がたくさん出回る状況だ。なかでもオンラインで作品の全貌が早々に明かされてしまう事態について、監督は「観客の喜びを減らしてしまうもの。ちょっと悲しいです」述べている

「映画についての話ができるのはほっとしますよ。(多くを語らないよう)回りくどい話し方を1年も続けてきたわけですからね。でも皆さんには事前に多くを知ってほしくない。映画の内容については、観る前ではなく観てから読むべきなんです。」(米Vulture)

映画『ブレードランナー 2049』は2017年10月27日より全国ロードショー。あれこれ知りたい気もするが、もうしばらく耐えることが求められている……!

Sources: http://www.vulture.com/2017/10/blade-runner-2049-threesome-sex-scene-how-did-they-make-it.html
https://www.thestar.com/entertainment/movies/2017/10/04/blade-runner-2049-director-denis-villeneuve-says-film-felt-like-coming-home-howell.html

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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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