『ブレードランナー 2049』米国で予想外の低調スタート、その理由とは?現地メディアが複数推測

2017年10月6日(現地時間)、映画『ブレードランナー 2049』が米国にて劇場公開された。
リドリー・スコット監督による傑作『ブレードランナー』(1982)の35年ぶりの続編、今をときめくライアン・ゴズリングの主演、前作に主演したハリソン・フォードの復帰、そして監督は『ボーダーライン』(2015)や『メッセージ』(2016)で抜群の力量を評価されたドゥニ・ヴィルヌーヴ。盤石な布陣を揃えての企画……なのだが、そのスタートは予想外の結果となっている。

バラエティ誌は、『ブレードランナー 2049』の劇場公開後3日間(オープニング)の北米興行収入が3,150万ドルを記録したことを報じた。ところが当初、本作のオープニング興収は4,500万~5,000万ドルが見込まれていたという。その背景には前売りチケットの売れ行きが好調だったこと、また批評家から高評価を受けていたことがある。また劇場公開前日の5日(木曜日)に開かれたプレビュー上映では、非常にすぐれた成績を記録していたのだ。

それでは、なぜ『ブレードランナー 2049』は予想外の低調スタートとなってしまったのだろうか?

『ブレードランナー 2049』思わぬ初動の理由

ColliderScreenRantなど複数のメディアが、すでに『ブレードランナー 2049』の予想外のスタートについてそれぞれの視点から分析している。すると本作の背景には、低調の理由と推測される複数の要因が浮かびあがってきたのである。

ひとつはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が望んだゆえ、そのストーリーが必要以上に明かされなかったこと。いわゆる「あらすじ」として観客が期待するようなものがほとんど提示されなかったために、一般層の観客を掴むことができなかったのではないか、どのような映画なのか想像させる余地が減ってしまったのではないか、というのだ。しかしColliderは、本作ではあらすじそのものがネタバレになる可能性があり、しかも伏せられた部分が見事な内容なのだと記している。そのことが伝わらなかったということか……。

ふたつめは公開以前から話題になった、2時間43分といういささか長い上映時間だ。映画館で1日に上映される回数に限界があるほか、軽い気持ちで劇場に足を運べる長さでないことは事実だろう。

ブレードランナー 2049

そして複数のメディアが声を揃えるのは、そもそも『ブレードランナー』という作品にそこまで大きなファン層が存在しなかったという説だ。35年前に製作された前作は、劇場公開当時から大ヒットしたわけではなく、長い月日をかけて“傑作SF映画”として受容されていった作品なのである。しかし、それでも老若男女の誰もが知る作品になったとは言いがたい。「前作を観ていない若い映画ファンは、『ブレードランナー 2049』を自分たち向けの作品ではないと考えたのではないか」という推測もあるほどだ。あくまで続編なのだと強調したプロモーションが、そうした傾向をより強めたのではないかとも考えられている。

なぜ『ブレードランナー 2049』が予想外の低調となったのか、その明確な理由はわからない。しかしあえて言い直すなら“市民権を獲得していない傑作映画の35年ぶりの続編、上映時間は2時間43分、しかも内容はほとんどわからない”という状況下でオープニング興収3,150万ドルを記録したのは非常に稀有なこととも言えるだろう。もっともワーナー・ブラザース社幹部のジェフ・ゴールドスタイン氏は「想定より観客層が狭かった」という声明を発表しているわけだが……。

『ブレードランナー』を観ていない人のために

こうした状況下で、米Colliderは『ブレードランナー 2049』を映画館で観ること、前作に馴染みのない映画ファンに映画館へ足を運んでもらうことを薦めている。本編のネタバレとして捉えられる情報をあえて厭わずに本作を紹介しているわけだが、それほどまでに同サイトは『ブレードランナー 2049』を高く評価しているのだろう。本記事ではその一部をお伝えすることにしたい。

注意

以下の内容には、映画『ブレードランナー 2049』のネタバレが含まれています。

ブレードランナー 2049

Colliderが強調するのは、前作『ブレードランナー』を観ておくのが良いのは当然として、しかし「前作を観ておくことが必須事項ではない」とする姿勢だ。プロモーションで押し出されているのは新主人公の捜査官K(ライアン・ゴズリング)と前作の主人公リック・デッカード(ハリソン・フォード)だが、映画の中心を担うのはあくまでKをはじめとした新キャラクターだというのだ。前作を基にした新しいストーリーとなっており、意外なまでにデッカードの出番は限られているとか。つまり、もちろん世界観やストーリーは引き継がれているものの、独立した映画としても楽しめるというわけである。

また同サイトは、『ブレードランナー 2049』こそ大スクリーンで観る必要がある映画だとも記している。ライアン・ゴズリングが驚愕したという美術や、事前のレビューでも高く評価されたロジャー・ディーキンスによる撮影、ハンス・ジマー&ベンジャミン・ウォルフィッシュの音楽などは劇場でこそ最高の形で楽しめるというのだ。

劇場公開の初動興収は予想に届かなかったものの、かねてよりの高評価や映画ファンの口コミ、また全世界での興行収入がどんな結果を示すのかは興味深い。また仮に興行収入面が想定通りの結果にならなかったとして、この続編が映画史にどのように残るのかということも……。

映画『ブレードランナー 2049』は2017年10月27日より全国ロードショー

Sources: http://variety.com/2017/film/news/box-office-blade-runner-2049-opening-weekend-1202583660/
http://collider.com/weekend-box-office-blade-runner-2049/
http://screenrant.com/blade-runner-2049-box-office-opening-disappointment/
http://screenrant.com/blade-runner-2049-box-office-failure-explained/

About the author

1989年生まれ。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはわかりづらいまま、少しだけわかりやすくしてお届けできればと思っております。

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