ディズニー実写版『アラジン』、アニメ版脚本家には報酬ゼロ ─ 1992年当時の契約「将来リメイクされるなんて…」

ディズニー・アニメ不朽の名作を実写で蘇らせる『アラジン(原題:Aladdin)』の米ティザー映像が公開された

おなじみの楽曲「アラビアン・ナイト」と「フレンド・ライク・ミー」の雄大なアレンジが流れる中、砂漠の王国アグラバーを悠々と羽ばたく一羽の鳥(イアーゴと思われる)の影、アグラバーの街並が映し出されると、夜の砂漠では魔法の洞窟が神秘の光を込めながらこう伝える。「この中に入れるのはただ1人、貧しくとも清い心を持つダイヤの原石のみ Only one may enter here. One whose worth lies far within. A diamond in the rough.)」

往年のファンにとっては懐かしい『アラジン』の世界が実写で蘇るとあって、この映像は各所で話題に。メナ・マスードが演じる主人公アラジンの姿も初めてお披露目された。

アニメ版脚本家「我々にはビタ一文払われていない」

ところが、この実写リメイクに意義を唱える者もいる。1992年のオリジナル版『アラジン』で脚本執筆にあたったテリー・ロッシオだ。テリーが自身のTwitterで明かしたところによれば、アニメ版の脚本家陣はこの度の実写版から一切の報酬を得られないのだという。

「変な話だ。新しい『アラジン』の予告編で唯一使われている言葉は、私と私のライティング・パートナーが書いたもの。それなのにディズニーは(この実写リメイクについて、アニメ版脚本家陣の)我々にビタ一文払っていない。Tシャツの1枚やディズニー・パークへのパスすらくれちゃいない。」

確かに倫理上は奇妙な話だが、論点は『アラジン』の作品権利をどちらが握っているのかということ。作家仲間が「全コンテンツの権利を有するのはスタジオなんですか?」と尋ねると、テリーは次のように答える。

「アニメ版の権利を持ってるのはスタジオですよ。アニメ版が制作された当時、将来実写版でリメイクされるなんて誰も考えていなかったから、そういった契約は結んでいませんでした。ディズニーからは報酬関連の話題で何度もアプローチがあったけど(ディズニー・パークのパスについても聞いた)、答えはノー、ゼロ、無でした。」

テリーがディズニー・リゾートへの執着心を見せているところもポイントだ。なにせテリーは『アラジン』だけでなく、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの脚本も執筆。言わば、パークにおけるいちライド・アトラクション『カリブの海賊』から、ジャック・スパロウやウィル・ターナー、デイヴィ・ジョーンズといったキャラクターたちを創り出した生みの親の一人なのである。Twitter上で「ディズニーランドの生涯パスくらい、くれても良さそうなのにね。あなたにジーニーやジャック・スパロウと一緒に写真を撮ってもらって、プロモーションに使えばいいのに。ウィン・ウィンになりそうなんですけどね」との意見が挙げられると、テリーは意外な過去を明かす。

「皮肉なんですけど、ディズニーは僕や他のライターたちに生涯パスを“くれていた”んですよ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』に注力した上海ディズニーランドがオープンした時(この時も報酬はなかった)、生涯パスは廃止になってしまったんです。」

ガイ・リッチー監督による実写映画版『アラジン(邦題未定、原題:Aladdin)』は2019年5月24日に米国公開予定。今後、あらゆるアニメ作品が制作される事前には、クリエーターは将来的な実写リメイクの可能性を考慮した包括的な契約条件を検討すべきだろう。

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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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