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【解説】実写版『アラジン』監督にガイ・リッチーが異例の抜擢?スタイリッシュ・アクションの名手、ディズニー映画に挑戦か

かねてから報じられていた、ディズニーの名作アニメ『アラジン』の実写化プロジェクトが進んでいる。

ハリウッド・レポーター誌によると、現在ウォルト・ディズニーは実写版『アラジン』の監督としてガイ・リッチーと交渉段階にあるという。脚本は『ビッグ・フィッシュ』や『チャーリーとチョコレート工場』を執筆したジョン・オーガストが担当するようだ。

http://www.glamour.com/story/25-secrets-about-the-making-of
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1992年のアニメ『アラジン』は、『アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)』の「アラジンと魔法のランプ」をもとにウォルト・ディズニーが製作した作品だ。ロビン・ウィリアムズが演じたランプの魔人ジーニーは言わずと知れた人気キャラクターとなり、主題歌の“A Whole New World”は第65回アカデミー賞で歌曲賞を受賞している。

報じられた実写版『アラジン』は、ディズニーによる名作アニメ実写化プロジェクトのひとつだ。今年は『ジャングル・ブック』が話題となったが、現在は『美女と野獣』の製作が進んでいるほか、すでに『ライオン・キング』や『ムーラン』の実写化企画も始動している

ディズニーによる一連の実写化作品は、原作であるアニメの世界観を丁寧に再現しつつ、実写ならではのアレンジやアイデアを盛り込んだアプローチが特徴だ。たとえばケネス・ブラナー監督の『シンデレラ』では、中盤から登場する魔法のきらめきと同じくらいに、(ブラナー得意のシェイクスピア劇をも思わせる)地に足の着いた演出が印象深かった。実写版『アラジン』にはアニメの劇中歌がそのまま登場するという。

しかしそう考えてみると、実写版『アラジン』の監督にガイ・リッチーを起用しようというのは異例の判断ではないか。

ガイ・リッチーにディズニーは似合わない?

そもそも、ガイ・リッチーという人物はとても奇妙なキャリアの映画監督である。長編デビュー作『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)、第2作『スナッチ』(2000年)では、緻密な脚本とクールな映像感覚による犯罪群像劇で注目を集めた。いわば「天才若手映画作家」として華々しいデビューを飾っているのだ。

『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』 http://www.heyuguys.com/top-10-movies-to-introduce-to-your-kids-over-the-summer-holiday/lock-stock-and-two-smoking-barrels/
『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』
http://www.heyuguys.com/top-10-movies-to-introduce-to-your-kids-over-the-summer-holiday/lock-stock-and-two-smoking-barrels/

しかし2000年にマドンナと結婚して以降、リッチーのフィルモグラフィーは迷走をみせている。妻マドンナが主演の『スウェプト・アウェイ』(2002年)は散々な評判で、夫婦揃ってゴールデンラズベリー賞を受賞する結果となった。『リボルバー』(2005年)や『ロックンローラ』(2008年)は得意の犯罪群像劇ながら、評価は今ひとつふるっていない。

そんな彼を復活に導いたのは、自身初のブロックバスター(高予算)映画となった『シャーロック・ホームズ』(2009年)だ。有名小説をスピード感あふれるアクション・ミステリーに仕立て、戦うホームズ&ワトソンというキャラクター像を提案した本作は高い人気を獲得。続編『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(2011年)も製作されている。最新作『コードネームU.N.C.L.E.』(2015年)は、以前の作風をアップデート&アレンジしたかのような、“ポップでスタイリッシュ”なアクション映画だった。

『コードネームU.N.C.L.E.』 http://henrycavill.org/en/media-gallery/images/films/man-from-uncle/item/1094-the-man-from-u-n-c-l-e-movie-stills
『コードネームU.N.C.L.E.』
http://henrycavill.org/en/media-gallery/images/films/man-from-uncle/item/1094-the-man-from-u-n-c-l-e-movie-stills

これまでリッチーが監督してきた作品におおよそ一貫するのは、「ポップ」「クール」「スタイリッシュ」「アクション」「犯罪」といったキーワードだ。しかしいずれも、とてもディズニー映画には似合わない言葉である。では、なぜ実写版『アラジン』にガイ・リッチーという人選なのだろうか?

ポイントは「リバイバル」&「音楽」

『アラジン』にガイ・リッチー、という人選を考える上で注目したいのは、彼が2009年以降に手がけた映画が、すべてある種の“リバイバル作品”だったことである。『シャーロック・ホームズ』シリーズはご存知コナン・ドイルの推理小説が原作だし、『コードネームU.N.C.L.E.』は1960年代のテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイクだった。来年公開の新作『キング・アーサー/レジェンド・オブ・ソード(原題)』はタイトルの通りアーサー王の伝説を下敷きとしたストーリーだ。

そしてリッチーは、これらの作品で見事な成果を収めてきた。原作を活かしながら、自身のセンスや得意分野であるスタイリッシュ・アクションの要素を巧みに取り込み、しかもファミリー層にも訴求しうる間口の広さを兼ね備えることに成功しているのだ。新作『キング・アーサー』は自身初の史劇だが、予告編でもその映像感覚は冴え渡っている。またストーリーの性質上、『キング・アーサー』は、リッチーの作品で最も『アラジン』に近い作風だろう。ディズニーは『キング・アーサー』を踏まえてリッチーとの交渉に臨んでいるに違いない。

そしてもう一点気をつけたいのは、リッチーの音楽を扱う手さばきだ。もともとミュージック・ビデオを製作していたためか、『ロック・ストック~』から現在に至るまで、リッチーは劇中歌や音楽の扱いにきわめて長けている。そしてそのセンスこそが、彼の作品を「ポップ」「クール」「スタイリッシュ」と呼ばせてきた大きな理由だろう。『アラジン』というミュージカル要素を強くもつ作品だからこそ、リッチーの音楽センスが求められた可能性は高い

こうしてみると、一見「異例」に思われるリッチーの抜擢は、じつは非常に真っ当なのかもしれない。もしリッチーが『アラジン』を監督すれば、きっとアニメの世界観を活かしながらも、スピード感あふれるスタイリッシュな冒険劇に仕上げてくれるのではないだろうか。強い作家性を持つガイ・リッチーによる実写版『アラジン』、ぜひとも実現してほしいものである。

source: http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/disneys-live-action-aladdin-enlists-936881

©Disney

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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