ドラマ「アレックス・ライダー」高校生スパイが挑む巨悪と陰謀 ─ アメコミ映画ファンもハマる、予測不能アクション

高校生のアレックス・ライダーは、とても穏やかな──けれど少し退屈な──毎日を送っていた。家では堅苦しい性格の叔父と過ごし、学校に行けば親友のトムや気になる女の子がいる日常。しかし、彼の平和な生活は突然覆される。銀行員だと聞いていた叔父の正体は、イギリス政府に仕えるスパイだったのだ。
『カササギ殺人事件』の人気推理作家アンソニー・ホロヴィッツが放つ「アレックス・ライダー」は、2020年に海外で配信されるや、目利きの批評家やドラマファンの熱い支持を受ける本格スパイ・アクション。やがて敏腕スパイとして覚醒するアレックスの冒険は、『007』『ミッション:インポッシブル』を思わせるスリルと緻密な謎解きに、青春のほろ苦さが融合して見応え抜群だ。このたび、待望のシーズン2がAXNにて日本初放送、それに伴いシーズン1も再び放送される。
ミステリーの名手が仕掛ける青春スパイ・ストーリー

本作の原作・製作総指揮を務めるアンソニー・ホロヴィッツは、日本でも「このミステリーがすごい!」など人気ミステリー作品ランキングにて4年連続No.1を射止める、当代きってのストーリーテラー。代表作『カササギ殺人事件』『メインテーマは死』をはじめ、かの『007』『シャーロック・ホームズ』シリーズの続編小説を任されたり、ドラマ「名探偵ポワロ」の脚本を執筆したりと、その類まれなる実力はジャンル・メディアを問わずお墨付きだ。
「アレックス・ライダー」は、そんなホロヴィッツが2000年代に執筆し、全世界で2,000万部以上を売り上げた大ヒットシリーズのドラマ版。すべての始まりとなるシーズン1は、普通の男子高校生だったアレックスが、やがてスパイとなって世界を揺るがす陰謀に対峙するオリジン・ストーリーとなっている。細部まで作り込まれたスタイリッシュな世界観、謎が謎を呼ぶストーリー、魅力的なキャラクター、大胆でド派手なアクションが見どころだ。

主人公のアレックスは早くに両親を亡くしており、叔父のイアンと、家事を手伝うジャックとともに暮らしていた。ある日、イアンが交通事故で突然この世を去る。ところがアレックスには、まさかイアンが乱暴な運転で事故を起こすとは思えなかった。「なぜ叔父は死んだのか?」その理由を探るうちに、アレックスはイアンの正体がスパイだったことを知る。
アレックスがたどり着いたのは、イギリス秘密情報部(MI6)から派生した組織「秘密工作局」だった。局長アラン・グラントが率いる工作局の面々は、所属エージェントだったイアンの死と、時を同じくして発生した大富豪2人の死亡事故の接点を探るべく、とある任務をアレックスに依頼する。それはフランスの雪山に建つ“問題児だけの全寮制学校”、ポイントブランクへの潜入捜査だった。別人になりすまして入学したアレックスは、校長のグライフ博士が企む、世界を揺るがすほどの恐ろしい計画を目の当たりにする……。

「少年版007」か、それとも「スパイ版スパイダーマン」か
本作のポイントは、これがアレックスの成長を描く青春物語であり、骨太のスパイ・スリラーであり、張り巡らされた陰謀の真相を探るミステリーであることだ。アレックスにとって真の味方と言えるのは、親友のトムと、叔父の死後も面倒を見てくれるジャックだけ。秘密工作局の全貌は謎に包まれているし、しかも彼らは目的のためなら手段を選ばない。果たして本当に信頼できるのは誰なのか、そしてアレックスは叔父殺しの犯人を捕まえられるのか?
原作者のホロヴィッツが「少年版ジェームズ・ボンドを作りたい」と考えて小説を執筆しただけあって、「アレックス・ライダー」の作風は『007』さながらのシリアスさ。事件をめぐる状況が二転三転し、ついには思わぬ真実が明かされるプロットは、まさしくミステリー&サスペンスの名手たるホロヴィッツの面目躍如だ。そのかたわら、アレックスの高校生活や、潜入先であるポイントブランクでの人間模様には、時にコミカル、時に切ない青春の甘酸っぱさがにじむ。

さらに物語を彩るのは、本格スパイ・アクションの風格を漂わせる謎解きとアクションだ。アレックスたちが新旧のガジェットを駆使しながら真相に近づく小気味よさはもちろん、繰り広げられるパルクールやエクストリーム・スポーツの爽快感もシーズン1の醍醐味。自転車に乗ってのチェイスシーン、身体を張っての格闘といった肉体派アクションも堪能できる。
本作はアメコミ映画やスーパーヒーロー作品に通じるところも大きく、特に『スパイダーマン』シリーズとの共通点はかなり多い。両親不在の主人公が叔父の死をきっかけに使命に目覚めること、しかし自らの正体を周囲に明かせないこと、それゆえにお気楽な日常生活とシリアスな陰謀が裏表になる構造はそっくり同じだ。少年の無邪気さに対し、怖い大人たちが容赦なく詰め寄ってくるところもよく似ている。ギークな親友のトムが、『X-MEN』『スパイダーマン』に言及するのは一種のオマージュだろう。

主演から脇役まで、実力確かな出演者たち
主人公のアレックス役は、イギリスの注目若手俳優オット・ファラント。子役時代から活躍し、映画『砂漠でサーモン・フィッシング』(2011)やドラマ「女刑事マーチェラ」「戦争と平和」、舞台『欲望という名の電車』など幅広い作品に出演してきたファラントは、若さとまっすぐな魅力を存分に発揮しつつ、強い意志を抱えながらも葛藤する少年の心理を細やかに表現。主演俳優としてシリーズを牽引し、批評家からも高い評価を得ている。
そのほか、親友のトム役を演じる「ゲーム・オブ・スローンズ」のブレノック・オコナー、アラン局長役の名優スティーヴン・ディレインのほか、ヴィッキー・マクルア、アンドリュー・バカンら実力確かな英国俳優が集結。シーズン2には「ブリジャートン家」の新鋭チャリスラ・チャンドラン、『007 ダイ・アナザー・デイ』(2002)のトビー・スティーブンスらも新たに加わった。吹替版ではアレックス役を花江夏樹、トム役を下野紘という「鬼滅の刃」コンビが担当したほか、子安武人、大塚芳忠、日笠陽子ら豪華声優陣の演技にも注目だ。

シーズン2、さらに巨大な陰謀へ
シーズン1でスパイとして覚醒したアレックスは、シーズン2で複雑な状況に立たされ、さらに難解な陰謀に挑むことになる。なにしろアレックスは「叔父殺しの犯人が近くにいる」という悪夢に苛まれており、精神的には最悪の状態。リフレッシュのために訪れた旅先で少女・サビーナに出会うが、ジャーナリストである彼女の父親が命を狙われてしまう。

サビーナの父が取材していたのは、世界的人気ゲームの開発者である大富豪ダミアン・クレイだった。事件の7日後には、クレイの手がける“世界を変えるビデオゲーム”こと「フェザード・サーパント2」の発売が迫っている。陰謀の気配を察知したアレックスはクレイを怪しみ、捜査のため秘密工作局を頼るが、いまやグラント局長らはアレックスを相手にしていない。アレックスはひとり、孤独な戦いを強いられるのだ。
「アレックス・ライダー」シーズン1 予告編映像
アレックスがシーズン1で挑んだのは“叔父殺し”とポイントブランクに渦巻く陰謀だったが、シーズン2で彼の前に立ちはだかる陰謀は、もはや実体がつかめないほど巨大なもの。彼は自らの経験と直感、そしてトラウマを頼りに、目の前に転がる謎を解きながら、国家を超えた世界の脅威を阻止すべく動き始める。散りばめられた要素が少しずつ収斂していく予測不能なストーリーや、さらにバリエーション豊富となったアクションに注目だ。

まずはシーズン1で少年アレックスの“覚醒”を見届けるもよし、あえてシーズン2から見ることでアレックスの現在地を入り口にするのもよし。どちらが先でも振り落とされずに楽しめるのは、まだ年月の浅いシリーズならではの特徴であり、サービス精神あふれる作り手たちによる優れた仕事の賜物でもある。ぜひお好きなスタイルで、緻密に設計された「アレックス・ライダー」の世界に足を踏み入れてほしい。
「アレックス・ライダー」シーズン2 予告編映像
ドラマ「アレックス・ライダー」シーズン2は、AXNにて2022年11月10日より日本初放送。これに先駆けて、シーズン1も10月27日~31日に再放送される。
Supported by AXN