『アクアマン』ジェイソン・モモア、撮影現場で「泣く・怒る・はしゃぐ・謝る」の大忙しだった

いま、ハリウッドで最も豪快なスターといえば『アクアマン』のジェイソン・モモアだろう。「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-)のカール・ドロゴ役で見せたワイルドなイメージは、実は本人がそのまま持っているもの。SNSではその豪快なプライベートな様子も伝わってくるのだが、それは映画の撮影現場でも同じだったようだ。
モモア本人や『アクアマン』関係者による証言からは、モモアがいかに感情の赴くままに、奔放に日々の撮影を過ごしていたかが伝わってくる。とにかく泣いたり、怒ったり、謝ったり、子どものように大忙しなのだ。

「しょっちゅう泣いてました」
『アクアマン』米国公開当時のインタビューで、モモアは「現場で一番大騒ぎしてたのは僕です」と認めている。なにしろエモーショナルなシーンを撮っていると、感情がたかぶって泣いてしまっていたというのだ。
「しょっちゅう泣いてました。僕は母親一人に育てられたんで、自分の感情が入りすぎちゃって。」
モモアの父親はハワイ原住民の家系で、母親はアイルランド・ドイツ・アメリカの血統だという。モモア少年は幼いころ、ハワイを離れ、母親と二人でアメリカ・アイオワ州に移り住んだ。こうした過去も、モモアが主人公アーサー・カリーの境遇に自分を重ねる大きな理由となったようだ。アーサーの父親は人間、母親はアトランティスの女王なのである。

「アーサーが(人間とアトランティス人の)ハーフなのがすごくいいですよね。すごく共感します。僕はハワイで生まれて、アイオワで育ったので。彼もアトランティスとハワイの両方にルーツがあるけど、どちらにもきちんと認めてもらえてないって感じてるんです。」
ちなみにモモアは「これからもこんなふうに演じていくわけじゃないですよ!ちゃんとやれますから」と弁明している。「(今回は)デカくてどうしようもないヤツになっちゃったってだけで!」。
ワイヤー相手に怒り、演技の中でも怒る
モモアを苦しめ、そして今度は怒らせたのが、水中シーンのワイヤーを用いた撮影だった。海の中を登場人物が泳いでいるシーンの撮影では、俳優たちがワイヤーで宙吊りにされ、空中で泳いでいる演技をしていたのだ。もちろん背景はすべてブルースクリーンで、映画に登場する海底の風景はCGで描かれたものとなっている。
ジェームズ・ワン監督によれば、スムーズな演技を実現するために技術チームが開発した装置は、俳優の股の間に装置を通すことで、腰の位置から俳優を吊り上げるというもの。「映画に欠かせないものだった」というが、股の部分に圧力がかかるために「出演者にとって快適とはいえない」構造だったという。
特に、モモアはこの装置があまり好きではなかったそう。モモア本人は撮影当時、スタッフ相手に空中から不満をぶちまけていたことを明かしている。「僕は240ポンド(約108キロ)あるんですよ。“タマの感覚がない!降ろしてくれ!外してくれ!”って」。ちなみにワン監督によれば、撮影中、モモアは監督に「しばらく子どもが作れなくなっちゃうよ…」としばしば漏らしていたという。なんというエピソードか。

なお、モモアは演技の中でもついつい怒りすぎてしまい、「ゲーム・オブ・スローンズ」カール・ドロゴ役を彷彿とさせる芝居になってしまったことがあったそう。これに対してワン監督が「ちょっと怒りを出しすぎだよ…」とたしなめることもあったそうだが、それはまた別のお話。こちらの記事をお確かめいただければ幸いである。
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