『ARGYLLE/アーガイル』監督、批評家からの酷評に落ち込んだ ─ シリーズ継続には前向き

米Apple渾身のスパイスペクタクル超大作『ARGYLLE/アーガイル』(2024)は、ヘンリー・カヴィルをはじめとする豪華キャスト陣や『キングスマン』シリーズのマシュー・ヴォーン監督による最新作という圧倒的な信頼感から大きな期待と共に封切られたが、蓋を開けてみると思いがけない結果になった。2億ドルの製作費に対し、世界興収は9,600万ドル(本記事掲載時点)。批評家からも手厳しいレビューが寄せられ、米Rotten Tomatoesでは批評家スコア33%という低記録となった。
「そんなに(作品が)侮辱的なものだったでしょうか」。批評家たちからの辛辣な評価に驚きを隠せないでいるのは、マシュー・ヴォーン監督だ。作品に寄せられたネガティブな意見に目を通したというヴォーン監督は、その内容に落ち込んだと英Empireに明かしている。
映画公開前までは良い気分で過ごしていたそうだ。「試写も最高に上手くいきましたし、プレミアもすごく楽しい夜になりました。『スナッチ』の時のワクワクが蘇ったようでした」とヴォーン監督。『スナッチ』とは“映画プロデューサー”マシュー・ヴォーンの出世作として知られる犯罪コメディ。『ARGYLLE/アーガイル』は若かりし頃の興奮を思い起こさせるほどの作品だったのだろう。
「“楽しそうで、いい感じの映画”になると思っていたんです」と語るヴォーン監督だが、批評家からのレビューが解禁されると状況が一変。作品を酷評されたことについて、ヴォーン監督は当時の心境をこう振り返る。
「僕たちは『市民ケーン』を作ったわけではありません。それなのに“なんてこった”ですよ。レビューが公開された時は“ちょっと待て、僕はそんなに彼らの気分を害するようなことをしたか?”って感じでした。彼らは辛辣だった。この映画が完璧だと言っているわけではありません。でも、そんなに侮辱的なものだったでしょうか。驚きましたよ。」
たしかに『ARGYLLE/アーガイル』には、公開前のプロモーションから“楽しそうな”映画感があった。本作のために書き下ろされた劇中歌『Electric Energy』にあわせて主要キャストたちが歌とダンスに興じるノリノリなミュージックビデオも公開され、胸を高鳴らせたファンもいたことだろう。
批評家からの酷評に自信をなくしたというヴォーン監督。「話を脱線させてしまったのかもしれない。不安になりましたよ」と振り返る。「頭を掻きむしりましたよ。だって無視は出来ないじゃないですか。酷評が少しだけ、という状況ではなかったですから」。予想に反する結果を受け止めるためか、ヴォーン監督は自ら映画館に出向く時もあったとか。
一方、批評家からの意見が全てというわけではない。『ARGYLLE/アーガイル』にはポジティブな反応も見られており、Rotten Tomatoesの観客スコアでは72%を記録。ひとまず娯楽作品としては、好意的に受け止められているのではないだろうか。ヴォーン監督によれば、Apple TV+でのストリーミング配信は「非常に好調」だという。
『ARGYLLE/アーガイル』といえば、企画当初からシリーズ化を前提に製作された作品だ。劇中でも続編を示唆するような展開が描かれた。ヴォーン監督は現在も「さらに作ることができるなら、これより嬉しいことはないですね」とシリーズ継続に前向きでいる。「もっとたくさんの人が観れば、作れる可能性が増えます。計画通り、もっと作りたいですよ」。
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Source:Empire,Rotten Tomatoes