落ちゆく彼らを狩る者、短編映画『As They Continue to Fall 』と、映画鑑賞における信仰の壁
ぼくはキリスト教を信仰しているわけではないので、神や悪魔、あるいは天使という存在を知っているかと問われれば、厳密には知らないと答えるしかない。
もちろんその単語としての言葉の意味は曖昧には理解しているつもりだが、おそらくぼくが知っていると自覚しているのその部分は、その概念の一端、あるいは片鱗のようなほんの小さな欠片にしか過ぎないはずである。
だから例えば主にアメリカ映画などにおいての、神や悪魔や天使を題材にした映画を鑑賞したとして、たしかに映画芸術としての完成度や、あるいはエンターテインメントとしての娯楽性という側面においては、その映画を評価し楽しみ、時には恐れることは可能である。ただその先のもっと奥深き場所におけるその表現の核ともなる部分に触れられているのかという話になれば、おそらくは現時点ではNOと答えざるを得ないだろう。
というわけで、今回は天使を題材にした短編映画をご紹介したい。タイトルは『As They Continue to Fall』、余計な説明は必要ないと思うので、まずは本編を御覧いただきたい。約6分程度の短い作品である。ひとつだけ老婆心ながら先に付け加えさせていただくと、光のあまり届かない暗い空間で、ひとりで静かに鑑賞していただきたい。出来れば深夜、もしくはまだ夜も開けきらぬ早朝がいいかもしれない。
では、どうぞ。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=hhLJKCPpj28&w=560&h=315]
この作品の監督はニキル・バガト(Nikhil Bhagat)、脚本は、現在話題となっている『ドクター・ストレンジ』(Doctor Strange)や、イーサン・ホーク主演の『フッテージ』(Sinister)などで知られる、C・ロバート・カーギル(C. Robert Cargill)、そして主人公を演じるのは、レイ・リオッタ主演の『フェニックス』(Phoenix)に出演していたジョン・ヘンリー・ウィテカー(John Henry Whitaker)である。
ちなみに少年時代の主人公を演じているのはジョシュア・マティーニ(Joshua Martini)というあまり知られていない子役の俳優であるが、アメリカの典型的なオールドファッション的いじめられっ子感がなかなか印象深い。
ぼく個人の感想を手短に述べさせていただくと、冒頭のハンバーガー(あるいは何かのサンド的なもの)を貪るシーンがとても良いと感じる。食事シーンに、それがどんな形にせよ、大いにそそられる映画はたいてい優れた映画である場合が多いというのが持論である。例えば「天使映画」の括りで言うならば、ちなみに天使を題材にした映画を勝手に天使映画というジャンルにまとめているが、あの『レギオン』(Legion)におけるブラッディーなビーフステーキのシーンなどは、まさにそれであり、あの映画のクオリティーの象徴ともなるべきものだと感じる。
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