J・J・エイブラムス率いるバッド・ロボット、人種差別撤廃の取り組みに10億円を寄付 ─ 米国での抗議活動拡大を受けて

『スター・ウォーズ』『スター・トレック』シリーズなどのJ・J・エイブラムス率いる製作会社Bad Robot Productions(バッド・ロボット・プロダクションズ)が、人種差別の撤廃に取り組む組織や取り組みに対し、今後5年間で計1,000万ドル(約10億8,000万円)を寄付することを明らかにした。
2020年5月25日、米ミネソタ州ミネアポリスにて、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官の暴力行為によって死亡する事件が発生。これを受けて、米国をはじめとする世界各国では、大規模なデモ活動をはじめ、黒人差別の撤廃を訴える「Black Lives Matter」運動が活発化している。Bad Robotによる寄付活動は、こうした状況を受けて決定されたもので、同社のInstagramではステートメントが公開されている。
「もうたくさんだ。警察による暴力は、過剰な特権は、社交辞令みたいな議論は、白人だけの快適さは、不均衡な権利は、友人や仲間たちを疲弊させるものは、無関心は、無自覚は、不正は、死は、もうたくさんだ。」
このたびBad Robotは、アメリカに蔓延する不平等を是正すべく最前線で活動している学者や運動家、組織の運営者などに対して敬意を示し、「この不安定な状況においては、言葉が大切であり、耳を傾けることが不可欠であり、そして投資が必要である」と記した。長年にわたる黒人の軽視や虐待に対し、巨額の投資による取り組みが行われてこなかったとして、「これまでの企業や個人による慈善活動は、全体の不平等に対処する上で必要なインパクトを与えられていなかった」「実現可能な企業や個人は、政治のリーダーが動くまで、自分たちができることをやらなければならない」とのメッセージを発したのである。
Bad Robotは、今後5年間にわたり、1年あたり200万ドル、5年間で計1,000万ドルを「反人種差別を掲げて、断絶を埋め、格差を縮め、全員のためのアメリカを作ろうとする」組織や取り組みに寄付する方針で、まずは5団体に各20万ドルずつが寄付される。最初の対象として告知されたのは、不当な投獄・獄中での虐待に対して法的サービスを無償提供する「Equal Justice Initiative」、ブラック・コミュニティに有益な政策を支援する「Black Futures Lab」、人権や法を若者が学べる機会を提供する「Know Your Rights Camp」、同運動を率いる主力団体である「Black Lives Matter L.A.」、南ロサンゼルスで政策改善のための住民参加を模索する「Community Coalition」だ。
現在、大企業の多くが人種差別への抗議を訴え、また「Black Lives Matter」への賛同を明言しているが、人々からは“メッセージよりも寄付活動を”との声も少なからず寄せられている。Bad Robotのほかにも寄付活動を開始する企業が出てきているだけに、今後、各社の取り組みにはさらなる注目が集まることになりそうだ。
Source: The Hollywood Reporter