『バービー』批判について「女性も男性もフェミニズムの入門講座が必要な人々はたくさんいる」とアメリカ・フェレーラ

2023年の全世界興行収入1位に輝いた『バービー』において、アメリカ・フェレーラが演じたグロリアは、女性をエンパワーするとともに等身大の女性像を見事に体現した。フェレーラはThe New York Timesのインタビューにて、グロリアによる名シーンへの批判や、それらに対する持論を述べている。
すべてが完璧な世界バービーランドでハッピーに過ごしていたバービー(マーゴット・ロビー)が、突然体に異変を感じ、人間世界へ旅する『バービー』。グロリアは人間世界でバービーを創造するマテル社のデザイナーで、バービーの異変は、グロリアの精神的ストレスによるものだった。
作品終盤で、グロリアはあらゆるバービーたちに向けて、性差による不均衡やプレッシャー、スティグマを訴える。それまで抑圧されていたものを2分強にもわたって放出するシークエンスは世界中の観客を揺さぶったが、一方で「フェミニズムを単純化しすぎている」という声もあった。しかしフェレーラはこれらの批判に対し「それでも大きな声で聞かせる必要があるんです。それはカタルシスにもなり得るから」と主張している。
「フェミニズムの入門講座が必要な人々がたくさんいるんです。ちょうど今成長の過程にいて、自分が育っているカルチャーに対する言葉を持たない世代すべての少女たちが。また、フェミニストの理論について考える時間を費やしてこなかったかもしれない少年たちや男性たちも然りです。もしあなたがフェミニズムに精通しているのなら、過度な単純化に見えるかもしれません。だけど、何らかの事情でこの作品を禁止する国々だってあるんですよ。」
事実、『バービー』は公開を目前に控えていたものの、ベトナムでは上映禁止となった。クウェートやレバノンといった中東諸国でも道徳上の理由といった名目で上映を禁止する動きがあった(のちにレバノンは上映を承認している)。世界的な大ヒットを博しても、リーチできない部分があることをフェレーラは承知しているのだろう。
「多分基礎的なものだろうとか、ある人の視点で、基本のフェミニズムなんて求められていないと言うことが、単純化しすぎているってことです。女性であるという経験を誰もが同じレベルで知って、理解していると想定することが、あまりにも単純化しているってことなんです。」
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Source:The New York Times