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『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ディカプリオには「バカ者ではなく警官を演じてほしかった」とスコセッシ盟友

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

『タクシードライバー』(1976)『レイジング・ブル』(1980)でマーティン・スコセッシとタッグを組んだ巨匠脚本家ポール・シュレイダーが、スコセッシの最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の感想を語った。

Le Mondeのインタビューに応じたシュレイダーは、長年にわたる関係性のスコセッシと自身について、「マーティ(マーティン)は私をフランドル期のミニチュアリスト(細密画家)にたとえる。彼はルネサンス期のフレスコ画を描くタイプに近いけれど」と話した。お互いの違いをじゅうぶん認識したうえで、彼は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に思うところがあったようだ。

「2億ドル渡せば、彼(マーティン)が良い映画をつくるのは当然のこと。とはいえ、私は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で、レオナルド・ディカプリオにはバカ者ではなく警官の役を演じてほしかった。バカと一緒に過ごす3時間半は長いから。」

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
画像提供 Apple

本作でディカプリオが演じたのは、叔父のウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼ってオクラホマ州のオセージに入植してきた白人のアーネスト・バークハート役。裕福なオセージ族のモーリー(リリー・グラッドストーン)と結婚したアーネストだが、現地で起こるオセージ族の怪死事件と叔父の陰謀に巻き込まれていく。

シュレイダーのコメントはまさに“歯に衣着せぬ”ものだが、スコセッシとディカプリオは、もともと捜査官のトム・ホワイトを主人公とした物語として映画化を企画していた。当初はディカプリオがホワイト役を演じる予定で脚本が執筆されていたが、2年にわたる作業を経て、“オセージ族の物語にすべきだ、主人公は外部の人間ではなく内部の人間がいい”という方向性に落ち着き、全面的に改稿がおこなわれている。ディカプリオの役柄も変更され、ホワイト役にはジェシー・プレモンスが起用された。

本作についての両者の考えは異なったようだが、シュレイダーの「2億ドル渡せば、彼が良い映画をつくるのは当然のこと」という言葉には、盟友に対する大きな信頼がうかがえる。これはあくまでも推測だが、シュレイダーの目には、“スコセッシが撮るのならトム・ホワイトを主人公にしたほうがよりよい映画になった”と映ったのかもしれない。

Source: Le Monde, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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