「ベター・コール・ソウル」主要キャスト7人が語る「最もお気に入りのシーン」とは?

「ベター・コール・ソウル」(2015-2022)が完結して1か月余り。米Entertainment Weeklyでは、ボブ・オデンカークら7人のキャストがそれぞれお気に入りシーンを語っている。数々の名場面を生み出した全6シーズンを、主要キャストが選んだシーンと共に振り返ってみよう。
レイ・シーホーン(キム役)
キム役のレイ・シーホーンは、シーズン5第10話『よほどの悪事』でラロから逃れるため、ホテルに避難しているキムとジミー(ボブ・オデンカーク)のシーンを選択。「ジミーとキムが別れるかどうかの瀬戸際で、お互いに説得し合い、お互いを感じ取り、そして(キムが)指鉄砲を撃つという流れです」と説明するシーホーンは、言葉を交わさずとも通じ合う2人の場面に魅了されたという。
「言葉にしていないことや暗号で話すことから生まれたシーンで、これが成立するには素晴らしい脚本、お互いのキャラクターを知り尽くした2人の俳優、その関係を注意深く見てきた視聴者、という3点が必要となります。シーン全体が暗号になっているんです。」
ジャンカルロ・エスポジート(ガス役)
ガス役のジャンカルロ・エスポジートが選んだのは、シーズン6第8話『狙って撃つ』でガスとラロが対決するシーンだ。エスポジートは「ラロが彼のもつすべてを発揮し、ついにガスが捕まる機会が訪れます。大きな弱みとなる瞬間です」と説明。ガスは本家「ブレイキング・バッド」のキャラクターなので当然生き延びるわけだが、エスポジートはラロに銃弾を撃ち込まれて死ぬかと思ったそうだ。
「あの瞬間は衝撃的でした。“ガスは死ぬんだ!”と思いましたよ。僕が彼(ガス)なので、本当に“このまま沈んで死んでしまうんじゃないか”と思いました。すると彼はラロの行為に怒り狂い、復活してきました。そして2人の最後の瞬間! あの瞬間が1番好きですね。彼は自分のゲームから離れ、調子が出ないんです。普段のように混乱をコントロールすることができないのです。」
ボブ・オデンカーク(ジミー/ソウル/ジーン役)
ジミー/ソウル/ジーン役のボブ・オデンカークが選んだのはシーズン1第9話『ピメント』で、意外にもキムではなく、兄チャックとの(マイケル・マッキーン)とのシーンだ。ジミーは法律事務所HHMで働くチャンスをチャックに妨害されたことに気付き、兄の家に乗り込み問い詰める。この場面のジミーを演じた時、オデンカークは「別の誰かになりきるために、最も自分とかけ離れたところまで行った」と話し、こう振り返る。
「とても本物に感じました。これほど一生懸命になり、他人に扮したままこれほど夢中になるというのは、非常にやりがいのあることでした。そしてもちろん、その反対側にはマイケル(・マッキーン)がいます。そこで初めて、“演技というのは、難しい時ほどクールなものなんだ”と思いました」。

マイケル・マッキーン(チャック役)
対するチャック役のマッキーンが選んだのは、ジミー、キム、チャックの3人が、チャックの家で言い争うシーン(エピソード名の言及はないが、シーズン2第9話『大成功』だと考えられる)。マッキーンは、「僕たち3人が集まったのは、このシーンだけでした。キムは事態の成り行きに不安を抱いていたのにジミーを擁護しなければならず、チャックをいくつかの点で非難しました」と説明し、同シーンを選んだ理由を次のように述べている。
「彼(チャック)は独善的な手段を使い果たしましたが、とても曖昧で、このシーンの最後までに何も変わりません。皆の立場はほとんど変わらないのですが、あるレベルでチャックは自分がやられたと理解しています。彼は自分が、“正しいことだからやっているんじゃない。ジミーとの間に問題があるからやっているんだ”と暴かれたことを分かってるんです。あれは本当にいいシーンだと思いました。」
マイケル・マンド(ナチョ役)
ナチョ役のマイケル・マンドは、シーズン6第3話『暗礁と難所』で父親に電話をかけるシーンを選択。ナチョが父親を守るため、自ら犠牲になる覚悟を決めた名場面だ。マンドはこのシーンを「彼が誰でどんな人物なのかを要約している」と言い、以下のように解説する。
「この独白は、彼が学んだことや経験したことなど、全てを集約したものです。このキャラクターが自らの意思で死へと向かい、一片の恐れもなく父親への愛に全身全霊を傾ける姿は、まさに超越的です。まるでイモムシがチョウになるのを見るような感じですね。そして彼は、その瞬間に自分が望んでいた通りの人間になれたと悟るのです。」
パトリック・ファビアン(ハワード役)
ハワード役のパトリック・ファビアンはシーズン4第2話『息の根』のキムとのシーンを挙げ、「チャックからの小切手を渡して、キム・ウェクスラーにこてんぱんにやられる」と説明。このシーンを選んだ理由として、ユーモアあふれるファビアンらしいエピソードを明かしている。
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