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「ベター・コール・ソウル」最終シーズン、最大のチャレンジとは何だったのか?

ベター・コール・ソウル
Better Call Saul Season 3 Episode 303

「ブレイキング・バッド」(2008-2013)の弁護士ソウル・グッドマン(ボブ・オデンカーク)を主役とした、ドラマ「ベター・コール・ソウル」(2015-2022)。全6シーズンの幕を閉じた今、最終シーズンの制作でチャレンジとなった点について、共同クリエイターのピーター・グールドが語った。

「ベター・コール・ソウル」では、公選弁護人として奔走するジミー・マッギルが、「ブレイキング・バッド」の悪徳弁護士ソウルになるまでの経緯が描かれる。オリジナルファンはお馴染みキャラの知られざる過去を見られるわけだが、一方でその先にある未来については、すでに「ブレイキング・バッド」を観て知っている。

視聴者が主人公の向かう先を分かっていることは、とりわけ最終シーズンの制作でチャレンジとなったのではないだろうか?グールドは米Hollywood Reporterの質問に対し、このチャレンジへの前向きな姿勢を明かした。

「(クリエイティブ・チャレンジは)たくさんあります。我々が始めたセオリーは、『何が起こるかよりも、どのように起こるかが重要だ』というものでした。誰の人生も『生まれてきてやがて死ぬ』ということだけで要約できますが、その間にあるものこそ、我々にとってエキサイティングなのです。さらに2つ目は、これを思いつくほど賢かったことに驚きますが、我々がこの作品を単なる前日譚ではなく後日譚としても作ったことです。シリーズの1番最初に、ソウル・グッドマンでジミー・マッギルだった男が、今はネブラスカ州オマハでシナボンを経営するジーン・タカヴィクとして、新たな逃亡生活を送る姿が描かれています。これは『ブレイキング・バッド』後に起こる出来事です。物語が未知の領域に踏み込める小さな仕掛けがあるわけで、これがすごくワクワクさせるのです。」

さらにグールドは、同シリーズ独自のストーリーテリングに貢献した要素として2人のキャラクターを挙げた。「最も重要な点であり、私たちを支えてくれたのは、『ブレイキング・バッド』に登場しなかった新しいキャラクターたちです。レイ・シーホーン演じるキム・ウェクスラーと、マイケル・マッキーン演じるチャック・マッギルです。この2人のキャラクターは、番組にとって極めて重要な存在になりました」。

また最終シ―ズンでは、ついに「ブレイキング・バッド」のウォルター(ブライアン・クランストン)&ジェシー(アーロン・ポール)の再登場が実現。シリーズ初期からカムバックを期待されていた人気キャラだけに、2人を登場させることにリスクを感じていたのだろうか?グールドは次のように明らかにしている。

「リスクは、我々が最終兵器を出したことになってしまう点ですね。もし人々が前作の再現を見るためだけにこの番組を見ているとしたら、自分たちの仕事をしているとは思えません。当初は、この世界が確立されるまで『ブレイキング・バッド』のキャラクターはあまり登場させないということを、かなり厳格に守っていました。我々を導くものは常にジミー・マッギル、キム・ウェクスラー、マイク・エルマントラウトの物語です。キャラクターや場所、小道具など『ブレイキング・バッド』の要素を持ち込むことで物語を伝えられるのなら、その時点で持ち込むことにしています。ブライアン(・クランストン)とアーロン(・ポール)のキャラクターが大好きなので、欲を言えば、番組の最初から全エピソードに登場させたかった。でも、『ベター・コール・ソウル』の世界観を確立する必要があり、それを達成できたと思います。」

グールドが述べた通り、ジミーがソウルになるまでの経緯、キムやチャックとの関係性、ソウル逃亡後のストーリーは、視聴者の興味を大いにかき立ててくれた。そして「ブレイキング・バッド」を知っていようとも予測できない形で展開し、完璧なラストへと導いたのだ。

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    Source:Hollywood Reporter

    Writer

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    KyokoKyoko Okajima

    アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。