「ベター・コール・ソウル」飲尿シーンは現実的か?ソウル&マイク砂漠サバイバル、本物のサバイバル専門家が分析

映画やドラマの様々なシーンを、“その道のプロ”が考証する米Insiderの人気企画「How Real Is It」に、サバイバル専門家のレス・ストラウドが登場した。ストラウドは9作品を取り上げ、砂漠でのサバイバルシーンがいかにリアルに表現されているかを分析・評価。その中で、「ベター・コール・ソウル」シーズン5でのソウル&マイクのサバイバルシーンについて、自身の見解を語っている。
分析の対象となった「ベター・コール・ソウル」シーズン5第8話『運び屋』では、ラロの仕事を引き受けたジミーが荒野で銃撃を受け、彼を助けたマイクと共に砂漠を延々と進む過酷な長旅を強いられる。
ストラウドはまず、マイクが太陽蒸留器を作ろうとしているシーンをさして「本当にひどい仕事をしている」と厳しくコメント。そもそもの太陽蒸留器のコンセプトを次のように説明した。「太陽光の下で、植物や海水といった素材を(シートなどで)覆い、その下にカップを置く。シートの真ん中に重りを乗せると、その下側で結露が発生し、それが中央を伝ってカップに滴り落ちるのです」。
ストラウドは「これはとても難しいし、とても時間がかかる」とした上で、劇中ではマイクが「日暮れの直前にやっている」ことを指摘。「夜には機能しない。日中、太陽の下でやるもの」と述べ、この描写は不正確であるとした。
続いて、ボトルから水を口にしたソウルに対し、マイクが「大事に飲め」と声をかけるシーン。ストラウドいわく、水の量が限られているのであれば、その水を大事にとっておくよりも、むしろ飲んでしまうのが得策だそう。「もし限られた量しかないのなら、ほんのわずかな量の水を割り当てるよりも、摂取して膀胱に運ぶのが一番です」。また、食料の場合と水の場合では「まったく異なる」と述べ、「食料がなくても10日間くらいは持ちこたえることができる。でも、水の場合は3日間ぐらい。 3日後には機能しなくなります」と補足した。
とうとう水が尽きてしまい、ジミーが覚悟を決めて尿を飲むシーンについては、「尿が有効」とする説があることは知っているが、「主に心理的なもの。液体を口に入れるという面で機能している」とコメント。さらに、「体の毒素は、尿を通して出ることが多い」点から、尿を飲むことは「自分自身に毒素を与えていることになる」と指摘した。また、ほかのドラマや映画でもサバイバル中に「尿を飲む」描写は多いが、そこで「彼らが採取した尿を見ると、(その色は)競走馬のよう」と尿の色が実際よりも薄いことを指摘。本来、「脱水状態になると、茶褐色の尿」になるという。
最後に、夜になり急激に冷え込む砂漠で、マイクがソウルにスペースブランケットで暖を取るよう勧めるシーン。ストラウドは「スペースブランケットの価値を過小評価したくはありません。文字通り、命を救うことができるし、暖かくすることもできる」とした上で、さらに効果的に使う方法を紹介する。「シェルターを作って、その中に潜り込んで使うのがいい。シワシワの状態で体に巻きつけようとするよりも効果的なんです」。また、もし使うなら「破れないタイプがよい」とし、「マイクやソウルが使っているものは、間違って踏んだだけで裂けてしまう可能性がある」と見解を述べた。
最後にストラウドは、「ベター・コール・ソウル」の砂漠でのサバイバル描写について、10点満点中「5点」とそのリアリティを評価。太陽蒸留器の誤った使い方と尿を飲む描写が、減点の対象となったようだ。
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Source:Insider