『ミッドサマー』アリ・アスター監督、新作は「10歳児に抗うつ薬を飲ませて買い物に行かせたような映画」 ─ メイキング映像が米公開

『ヘレディタリー/継承』(2018)『ミッドサマー』(2019)の鬼才アリ・アスター最新作、ホアキン・フェニックス主演『Beau Is Afraid(原題)』のメイキング映像が米国で公開された。
作品の全容は依然としてベールに包まれたままだが、今回の映像では劇中シーンや撮影風景のほか、アスターが本作について語る様子も収められている。本企画を10年ほどにわたって温め続けていたというアスターは、「この映画を作っているのが信じられない自分がいます」と話した。
「壮大でデカくて、あらゆる細部の中にディテールがあります。10歳の子どもにゾロフト(抗うつ薬)をたっぷり飲ませて買い物に行かせたような映画。観客が、ひとつの人生、ひとりの人間を体験しているように感じられる映画を作りたかったんです。素晴らしいものを届けることに大きな責任を感じています。
まるで、ユダヤ人版『ロード・オブ・ザ・リング』のよう。とはいえ、彼(ボー)は母親の家に行くだけなんですけどね。観客には“ルーザー(loser)”になる体験をしてほしいんです(笑)。」
A24製作による本作は、ホアキン演じる“史上最も成功した起業家・ボー”の数十年間を描くストーリー。予告編では、母親の家を訪れると約束したボーが道中、夢とも現実とも区別がつかない世界で体験する不可思議な出来事や子ども時代のフラッシュバックなど、狂気をはらんだシーンの数々が切り取られている。
アスターは「ルーザー(loser)」という言葉を使っているが、主人公のボーは“史上最も成功した起業家”という設定だから、“loser”を文字通りの「負け犬」として解釈すべきか、それとも「どんくさい人」として解釈すべきか。あるいは、「とんでもないヤツ」というスラングで受け止めるべきなのかもしれない。
とはいえ、『ロード・オブ・ザ・リング』を引き合いに出しているからには、ボーはさまざまな試練を体験するに違いない。アスターの念願叶って実現した本作では、『ヘレディタリー』『ミッドサマー』を超えた、そして前2作にはなかった映像表現を含む、新たな世界観を存分に体感できそうだ。
主演ホアキン・フェニックスのほか、出演者には「マーダーズ・イン・ビルディング」(2021)のネイサン・レインとエイミー・ライアン、『DUNE/デューン 砂の惑星』(2020)のスティーヴン・ヘンダーソン、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016)のヘイリー・スクワイアーズ、『ザ・ビースト 』(2022)のドゥニ・メノーシェほか。アリ・アスターは監督・脚本・製作を兼任する。
映画『Beau Is Afraid(原題)』は2023年4月21日に米国公開。
Source: A24