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【解説付】世界の映画評論家が選ぶ『21世紀の傑作映画ベスト100』【80位~61位】

お薦めの映画を知人に尋ねたところ、『2001年宇宙の旅』や『地獄の黙示録』、『サウンド・オブ・ミュージック』に『風と共に去りぬ』などと答えられて「その手のヤツは聞き飽きたよ!」「っていうかとっくに観てるよ!」とお怒りのみなさま、お待たせいたしました。再びの登場でございます。

イギリスBBC発表、世界中の映画評論家177人(ライター、学者など含む)に聞いた「21世紀の傑作映画ベスト100」、今回は80位~61位をご紹介しましょう。ちなみに100位~81位はこちらをご覧ください

80位~71位

80位 『父、帰る』(2003年/ロシア/アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)
家を出ていた父が12年ぶりに戻ってくるというシンプルな筋立てながら、非常にヘビーな味わいの一作。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得した。

79位 『あの頃ペニー・レインと』(2000年/アメリカ/キャメロン・クロウ監督)
かつて「ローリング・ストーン」誌の記者を務めていたキャメロン・クロウ監督が、自身の経験をもとに生み出した、青春音楽映画のマスターピース。サントラも必聴!

78位 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年/アメリカ/マーティン・スコセッシ監督)
実話ドラマかと思いきや、約3時間の長尺で振り切ったブラックコメディぶりが魅力。主演のレオナルド・ディカプリオがヤバい。『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン役で大ブレイク、マーゴット・ロビーも出ている(脱いでる)。

77位 『潜水服は蝶の夢を見る』(2007年/フランス/ ジュリアン・シュナーベル監督)
突然の脳溢血のため、左目以外を動かせなくなってしまった男性は自伝をいかに執筆したのか? 主人公の左目からの視点など、息苦しくも美しい映像が見どころ。

76位 『ドッグヴィル』(2003年/デンマーク/ラース・フォン・トリアー監督)
床に白線を引き、簡易的なセットを立てただけの空間で物語が展開するという実験的趣向で、ある集団の正気と狂気を真正面から抉り出す。「機会の土地アメリカ三部作」の1作目。

75位 『インヒアレント・ヴァイス』(2014年/アメリカ/ポール・トーマス・アンダーソン監督)
ときに難解で思索的、しかし滅法面白い作家トマス・ピンチョンの原作を鮮やかに映画化。70年代ポップ・カルチャーが全編を彩る痛快な探偵物語となった。

74位 『スプリング・ブレイカーズ』(2013年/アメリカ/ハーモニー・コリン監督)
強盗計画を発端に崩壊していく女子4人の青春悲喜劇を、どうしてもアッパーになりきれないビターなトーンで描いた異色の一品。ジェームズ・フランコが怪演。

73位 『ビフォア・サンセット』(2004年/アメリカ/リチャード・リンクレイター監督)
1995年の作品『恋人までの距離』の続編。9年ぶりに再会した男女がふたたび別れるまでの約80分間をリアルタイムで描いた、「あまりに長すぎて、そして短すぎる」ラブストーリー。

72位 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年/アメリカ/ジム・ジャームッシュ監督)
巨匠ジム・ジャームッシュ監督による、映像・音楽とユーモアにこだわりの詰まったヴァンパイア・ラブストーリー。トム・ヒドルストン主演、先日急逝したアントン・イェルチンも出演。

71位 『熱波』(2012年/ポルトガル・ドイツ・ブラジル・フランス/ミゲル・ゴメス監督)
全編モノクロかつ凝りまくった映像が特徴の、2部構成からなる濃厚なメロドラマ。ミゲル・ゴメス監督はポルトガルで最も注目されている俊英。

『熱波』 https://jcplikesfilms.wordpress.com/2014/01/28/7-tabu-miguel-gomes/
『熱波』
https://jcplikesfilms.wordpress.com/2014/01/28/7-tabu-miguel-gomes/

70位~61位

70位 『物語る私たち』(2012年/カナダ/サラ・ポーリー監督)
サラ・ポーリー監督が、11歳の時に死別した母親について自身の出生の秘密を追うドキュメンタリーだが、タダでは終わらない仕掛けがある。ドキュメンタリーとはいったい?

69位 『キャロル』(2015年/アメリカ/トッド・ヘインズ監督)
86位『エデンより彼方に』のトッド・ヘインズ監督が、やはり1950年代への執念とともに、当時タブーだった同性愛を描き切った一作。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラのコンビは絶品だ。

68位 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年/アメリカ/ウェス・アンダーソン監督)
崩壊してしまった「天才一家」が、父親の余命をきっかけに再集合する。豪華アンサンブル・キャストが絶妙な演技で紡ぐ、ウェス・アンダーソン監督流のシュールなヒューマンドラマ。

67位 『ハート・ロッカー』(2008年/アメリカ/キャスリン・ビグロー監督)
2004年のバグダッドを舞台に米軍爆弾処理班の任務を描いた、おそるべき緊迫感で一気に見せる戦争ドラマ。ジェレミー・レナーとアンソニー・マッキーが共演しており、マーベル・ファンも要チェック。

66位 『春夏秋冬そして春』(2003年/韓国/キム・ギドク監督)
韓国から初のランクインは鬼才キム・ギドクの監督作品。幻想的で美しい映像ながら、人間の欲望や罪を観客に突きつける作風は本作にも一貫。日本ではソフト廃盤の模様。

65位 『フィッシュ・タンク』(2009年/イギリス/アンドレア・アーノルド監督)
15歳の少女ミアの苦く切ない青春を描き、第63回英国アカデミー賞で英国映画賞を受賞した。初めて演技に挑戦したというミア役ケイティ・ジャーヴィスの瑞々しさに注目!

64位 『グレート・ビューティー 追憶のローマ』(2013年/イタリア・フランス/パオロ・ソレンティーノ監督)
かつてベストセラーを一作だけ生み出した老作家が、初恋の人の死をきっかけに再び動き始める。美しいローマの喧騒と静寂を描いて絶賛を受けた。

63位 『ニーチェの馬』(2011年/ハンガリー/タル・ベーラ&アニエス・フラニツキ監督)
哲学者ニーチェが、疲れ果てた馬の首をかき抱き、そのまま発狂したというエピソードからインスパイアされた父娘の物語。とことんストイックな作劇と演出を堪能されたい。

62位 『イングロリアス・バスターズ』(2009年/アメリカ/クエンティン・タランティーノ監督)
第二次世界大戦中のフランスで、映画館主とユダヤ系アメリカ人部隊がそれぞれナチスへの復讐を企てる。タランティーノの映画愛と緻密な構成・演出が炸裂する。

61位 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013年/イギリス・アメリカ・スイス/ジョナサン・グレイザー監督)
スカーレット・ヨハンソン扮する人食いエイリアンを淡々と描いた、静謐なるSFスリラーにして明らかな怪作。B級ホラーとしか思えない邦題に騙された映画ファンが続出した。

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』 http://www.rogerebert.com/reviews/under-the-skin-2014
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
http://www.rogerebert.com/reviews/under-the-skin-2014

いかがだったでしょうか。鬼才・異才と呼ばれる監督たちの作品が並ぶランキングでしたが、有名作品も含まれるなか、日本ではほとんど知られていないであろう作品も多く、ひとつひとつ観ていくと非常に見応えのあるラインナップではないかと思います。

次回は60位~41位、アート系の映画が数多く登場です。公開まで今しばらくお待ちください。

source: http://www.bbc.com/culture/story/20160819-the-21st-centurys-100-greatest-films

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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