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【最終回】ビビリな私のバイオ日記【バイオハザード ザ・ファイナル編】

※この記事は2017年時点で公開されたものです。

シリーズ最終作『バイオハザード ザ・ファイナル』を見たいけど、過去作品を今まで見ていなかった方、内容を忘れてしまった方のためにお届けしてきた「ビビリな私のバイオ日記」も、ついに今回が最終回となった。

そう、今回はついに本題となる『バイオハザード ザ・ファイナル』をご紹介する。こちらの記事はネタバレを多く含むものになるので、ご注意いただきたい。

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【注意】

この記事には、映画『バイオハザード ザ・ファイナル』のネタバレが含まれています。

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2016年『バイオハザード ザ・ファイナル』

 監督/脚本:ポール・WS・アンダーソン

物語は、一作目『バイオハザード』から10年後、不毛の地と化したワシントンで、アリスが一人目覚めたところから始まる。なんといってもシリーズ最終作という事で、今作ではこれまでの作品に通ずる多くの謎が解明される。一方で、設定が少し滅茶苦茶だったり、都合主義展開だったり、小説版の知識などがないと理解できない部分も多々ある。

主な登場人物

 アリス:主人公。Tウィルスパワーは取り戻したが、超能力は使えない。

クレア・レッドフィールド:3作目から登場している。兄・クリスがいる。

ドク:生存者グループのリーダー。クレアの恋人。

アビゲイル:ルビー・ローズ演じるイカしたメカ女子。

コバルト:ローラ。

アイザックス博士:3作目のラスボスであり、アンブレラ社創立者。

アルバート・ウェスカー:3作目から登場しているアンブレラ社の幹部。

レッドクイーン:全人類を滅ぼそうとする人工知能。だが実は……。

Tウィルス誕生の真実

『バイオハザードⅡ アポカリプス』で登場したチャールズ・アシュフォード博士を覚えているだろうか? 彼は病気の娘の治療を目的にTウィルスを開発したと描かれていたが、今作では更なるTウィルスの誕生秘話が明かされる。

実はアシュフォード博士がTウィルスに関与する以前、ジョージ・マーカスという男が存在していたのだ。彼はアイザックス博士とともにアンブレラ社を立ち上げた創立者であり、科学者である。その彼には「プロジェリア」という早老症を患ったアリシアという娘がいて、病気の進行を止めるために開発したのがTウィルスだった。

科学者や医者とは、やはり身近な存在の命の危機を以て行動にでる事が多いようだ。

 しかしアイザックスは、Tウィルスを生物兵器として扱い、利益を得ようと考えていた。彼は、手下のウェスカーにマーカスを殺させ、自分がアンブレラ社のトップとなったのである。そしてTウィルスの研究はアシュフォード博士に受け継がれたというわけだ。

Ⅴのラストから今作の冒頭までの出来事

アリスはワシントンで目を覚まし、早速飛行型クリーチャーであるポポカリム(監督曰くキペペオではないらしい。小説版の名はインフェクター)と壮絶なバトルを繰り広げる。その後、建物で武器を探している際にタイプライターが動きだし、パソコンにレッドクイーンが現れる。

レッドクイーンといえば、前作で人類を滅亡させるという目的をもってアンブレラ社を乗っ取った人口知能だ。しかしこの時、アリスはレッドクイーンとの会話で「ワシントンでウェスカーに裏切られた」と発言。実は、今作には前作の生存者であるエイダ・ウォン、レオン・S・ケネディ、エイダ・ウォンが一切登場しないし、どうなったかも深くは語られない。彼女のこの一言だけで片付けられてしまうのである。

ちなみに小説版では、Ⅴのラストシーン後に起きた、ホワイトハウスでの戦いについて書かれている。それによると、ウェスカーはアリスらの味方だと言っておきながら、実はやはり敵で、全ては罠だったのだという。しかもアンデッド大群との背後にあったのは、ウェスカーともう一人のアンブレラ社の人間による地位争いだった。アリスたちはそれに巻き込まれてしまい、レオンとエイダは、もう一人の幹部が送ったメランジというアンデッドの複合融合体と戦い、ジルはウェスカーと戦って、ともに死亡したそうだ。Ⅴで救ったクローンのベッキーはこの時行方不明となってしまう。

アリスは超能力を使い、メランジを含めた敵軍を倒す事ができたが、またもやウェスカーに逃げられてしまったうえ、さらに超能力を失ってしまった。そこから『ザ・ファイナル』の冒頭シーンへと繋がるのである。 

つまり、ウェスカーはとことん悪い奴だったというわけだ。

ミッション:48時間以内に治療薬をゲットし、人類を救え!

さて、レッドクイーンとアリスのやりとりに戻ろう。

レッドクイーンはアリスに、「現在、生存者つまり世界人口は4472人となっているが、アンデッド大群が彼らが居住しているシェルターに向かっている。ハイブの中にある、Tウィルスを抹消できる散布用抗ウィルス剤を、48時間以内に空気中に放出しなければ人類は滅亡する」と伝えられる。つまり、Tウィルスを細胞レベルで取り込んでいるアリスも死んでしまう可能性があるということだ。 

そしてアリスは、自己犠牲を顧みず、人類を救うべくしてラクーンシティへと向かうのであった。

いつの間に狂信者に?アイザックス再登場の真相

アリスは道中、アンデッド大群を率いた戦車に拉致される。そこにいたのは、なんとⅢのラスボスであり、レーザーで細切れになって死んだはずのアイザックス博士だった。

戸惑うアリスに、博士はあれが自身のクローンに過ぎなかった事を告げる。つまり、科学部門のヘッドとしてウェスカーより下の地位だったアイザックス博士は、自分がクローンという自覚がなかっただけで、本物のアイザックス博士はアンブレラ社創立者で、ウェスカーは彼の手下だったのだ。あー、ややこしい! 

戦車に乗っていたアイザックス博士は狂信的な考えの持ち主で、それこそがアンブレラ社の真の目的に繋がっていたのだ。その目的とは、「人類滅亡」だった。狂信者であるアイザックス博士は、全ての事件が起きる一年半前の社内会議で、戦争や無秩序を引き起こす人類を浄化し、地球に平和を取り戻すべきだという「人類滅亡計画」を掲げていたのだ。

つまり、ハイブで最初にTウィルスが漏れた事は、その計画の始まりだったのである。

再び始まりの地ラクーンシティへ

アイザックス博士の車には、どれだけ博士はアリスが憎かったのか、クローンアリスの生首まで保管してあった。しかもアリスは、彼の怒りを買ったために戦車の外に紐で繋がれ、アンデッドに追われるマラソンをすることに。しかしアリスは、自力で戦車の上に登り、搭載されていたバイクに乗って逃げる事に成功する。

彼女が向かった先は、全ての始まりの地であるラクーンシティ。街の中心部は、Ⅱのラストの核爆破によってクレーターとなっており、しっかりと前作との繋がりを感じさせてくれる。

アンデッドを燃やしつくすぜ!

さて、ラクーンシティについたアリスは、生存者たちと出会う。そこにはⅣのラストで離れ離れになってしまったクレアもいた。運命の再会を果たしたアリスに、クレアは生存者のチームリーダーがドクという男で、彼が自分の恋人であることを話す。アリスは彼らに、アイザックスが迫ってきている事を告げ、皆で迎え撃つ準備をする。

それにしても、この迎え撃ち方がバイオ史上最強に凄まじい! 大量のガソリンをビルの上から流し、火をつけて、炎の滝を流したのだ! この映像は圧巻で、さすが最終章なだけある、という感じだ。

こうしてアンデッド大群を燃やし尽くした生存者たちは、アリスとともにクレーターによってむき出しになったハイブに向かう。

ちなみにローラ演じる美女戦士コバルトは、このアンデッドの奇襲で残念ながら命を落としてしまった。予告編であの台詞ばかり使用されていた理由がわかったよ……。

我らがケルベロス、有終の美を飾る

ハイブに向かうアリス達を追ってくるのは、アイザックスだけではない。我らがケルベロス、ゾンビ犬も遂に登場する。彼らは一作目から登場してきたアイコニックなキャラクターであり、登場する度にバイオファンの心をくすぐってきた。

そんな彼らは、今作では通常のドーベルマンでもなければ、Ⅳのようなアジュメとしてでもなく、何故か太りまくった新種のゴツい犬になっていた。生存者ほとんどを食べ尽くしたかのような太り方だぞ! しかし、二倍になったのは体重だけではなく、その怖さもだ。ケルベロスに仲間の一人をやられてしまいながらも、アリスたちはハイブにたどり着く。

生存者たちの悲惨な末路

さて、ここからが悲惨なのだが、アリスとともにハイブに足を踏み入れた生存者たちは、クレアとドク以外すぐに命を落としてしまう。それも、死闘を繰り広げるわけでもなくサクサクやられていくので、もはや施設のトラップを紹介するべく集められたようなものだ。

なにより悲しいのが、私も非常に期待していた今回の出演者、ルビー・ローズ演じるアビゲイルの死に様である。彼女の死因は、監視カメラの向こうにいるウェスカーに中指を立てたことだ。それを見たウェスカーは、通気口の巨大なファンを逆回転させた。強い風が巻き起こり、一行はファンに吸い込まれそうになってしまう。アリスが手を伸ばすも、アビゲイルはファンに巻き込まれるという結果に……。

それを見届けた瞬間、即ファンを止めるウェスカー、マジで性格悪すぎる

アイザックスの矛盾、アリスの謎がついに解明!

さまざまな試練を乗り越えて(やたら牙の多い新型クリーチャー等)、ついにアリスたちはウェスカーのところまでたどり着いた。そこで彼女達を待ち構えていたのは、ウェスカーだけでなくアイザックス博士だった。

このアイザックス博士、ハイブの中にある低温貯蔵装置から起き上がったばかりのオリジナルだったのだ。つまり、例の狂信者アイザックスさえクローンであった事が判明する。散布用ワクチンを手に握ったアイザックスと対峙するアリスたちの前に、もう一人の人物が姿を現す。

その人物とは、アンブレラ社創業者でありアイザックスの手にかかってしまったジョージ・マーカスの娘a.k.aレッドクイーンのモデル、アリシア・マーカス。車椅子で登場した、初老めいた容姿である彼女の顔にはどこか見覚えがある。そこで、アイザックスの口からとんでもない事実が明かされた。

なんと我らが主人公、アリスがアリシアのクローンだったのだ!

つまりレッドクイーンはアリスの過去であり、アリシアはアリスの未来、アリシア・マークスが三人いるわけだ。だからアリスには、自分の出生や幼少期にまつわる記憶が一切なかったのである。……クローン使いすぎじゃないか?

もちろんクローンには自分がクローンだという自覚がないため、アリスはショックを受ける。しかもそんな時、生存者チームのリーダーだったドクがアンブレラ側のスパイだった事が判明する。

確実にアリスが劣勢の状況だったが、アリシアがウェスカーに「解雇する」と告げた瞬間、「アンブレラ社の社員には危害を加えてはいけない」というオーダーが解かれたレッドクイーンは、ウェスカーの頭上にある扉をおろし、彼の身動きを封じた。 ドクは発砲するものの、実はドクを疑っていたアリスによって、銃は空砲とされており。ドクはクレアに始末される。

ラスボスはオリジナルアイザックス!決戦の地は勿論……

ついにアリスとアイザックスの最後の戦いがはじまる。オリジナルのアイザックス博士は、肉体改造済みの超人と化していて(映画に出てくるやつ肉体改造しすぎ)、どこぞのアニメで見たことがあるスカウターのような機能を搭載している。そのスカウター(仮)は、アリスの攻撃パターンを事前に計算して回避できるのだ。

決戦の舞台となったのは、一作目で登場したあのレイザールームだ! Ⅲでもアイザックスとアリスはレイザールームで戦っていたが、もしかしたらこの戦いにおける伏線だったのかもしれない?

自分の攻撃が読まれ、苦戦するアリス。レイザーで指を切り落とされるという怪我を負うが、隙を見て爆弾をアイザックスに仕込み、彼女が勝利する。

実はアリスが指を切り落とされる点も、一作目で隊員が指を切り落とされたシーンのオマージュ的要素となっている。

意外な結末、アリスの旅は続く 

散布用ワクチンを手に入れ、施設から抜け出したアリス。目前にはアンデッドの大群が押し迫っている。ワクチンを落とそうとした瞬間、なんと倒したはずのアイザックスが追いかけてきて(凄まじい生命力)、またしても一悶着が起きる。そうしているうちに、アリスを追っかけていた狂信者クローンアイザックスがその場に到着する。

クローンのアイザックスは、もう一人の自分の存在に驚き、自身がクローンだということを告げられて大パニック。クローンを甘く見ていたオリジナルアイザックスは、なんと逆上したクローンの自分に滅多刺しにされて死んでしまう。そしてクローンも、押し寄せてきたアンデッドの大群に食べられて死亡。一体なんだったんだ……という顔で見つめるアリスであったが、自分もここで最期だと決意を固くし、ついにワクチンを放った。

アンデッド大群がバタバタと倒れていく。ワクチンは効いたのだ!そしてアリス自身も、その場に倒れてしまう。

しかしアリスは再び目を覚ました。目の前にいたクレアは、ワクチンはTウィルス自体を消滅させるもので、アリスの体内からはTウィルスがなくなっただけだ、と告げる。アリスは、ハイブの爆発で亡くなったアリシアがデータに残した、彼女の幼少期の記憶を受け継ぎ、オリジナルとなる。そして、まだワクチンが拡散されていないであろう地域の生存者を救うべく、バイクに跨って旅に出るのであった。

ちなみに小説版では、その後Ⅴで救ったクローンの娘、ベッキーと再会を果たすことになる。

総括

正直、ポール監督はシリーズのほとんどで脚本を手がけているのに、設定が変わりすぎていたり、あのキャラクターはどこに行った?など(クリスのこと)、矛盾点や疑問が多々ある。今作はシリーズ最大の問題作とも言えるかもしれない。

しかも、今回レッドクイーンとして出演しているのは、ポール監督とミラの愛娘! 女優として活躍する母に触発されたのか、小さい頃から女優になりたいと話していたそうで、今作が彼女のデビュー作となる。つまり、言ってしまえば壮大なホームビデオでもあるのだ。

だが、そんな事はいいではないか。監督は、ゾンビアクション映画をここまでポピュラーにした人物であり、このシリーズは他に生まれた多くのゾンビ映画に対しても道を開いてきた。今作は、一作目と比べて遥かに向上した映像技術と、ど迫力のアクションが多数登場する、まさにシリーズ最終作としてふさわしい作品だったと言えるだろう。

今後、ポール監督は、『バイオハザード』同様カプコンの人気ゲームである『モンスターハンター』の映画を手がける予定だ。そして『バイオハザード ザ・ファイナル』をエンドロールまでしっかり見た人ならわかることだが、まさかのリブートや続編にも期待できるかもしれない。

さて、今回を以って最終回となった「ビビリな私のバイオ日記」シリーズ。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。また、ビビリな私が紹介する他のホラー映画記事でお会いしましょう。

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ANAIS

ライター/編集者/Ellegirlオフィシャルキュレーター、たまにモデル。ヌーヴェルヴァーグと恐竜をこよなく愛するナード系ハーフです。