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ドラマ「ブラックリスト」シーズン8、裏話大放出 ─ プロデューサーのロングインタビュー全文

ブラックリスト
(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

ジェームズ・スペイダー主演のアクション・サスペンス超大作シリーズ「ブラックリスト」シーズン8が、海外ドラマ専門チャンネル『スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメ』にて待望の日本初放送開始となっている。

「ブラックリスト」は2013年秋、全米ネットワークNBCにて放送スタートし、新作ドラマ“ナンバーワン”の視聴率を獲得。エミー賞スタントコーディネート部門を受賞したハードなアクションと緊迫した心理戦を織り込み、若者だけでなく大人の心をもつかむ本格派の超大型アクション・サスペンスでNBCの看板番組として人気を博しており、すでにシーズン9の製作も決定している大人気シリーズだ。

THE RIVERでは、この長寿ドラマの仕掛け人であるプロデューサーのジョン・アイゼンドレイスへのオフィシャルインタビュー全文テキストを入手。ドラマの裏側や細かな情報まで、たっぷり語られている。「ブラックリスト」シーズン8と共に、じっくりお楽しみあれ。

ドラマ「ブラックリスト」シーズン7までの物語に触れている部分があります。

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(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

「ブラックリスト」プロデューサー ジョン・アイゼンドレイスに聞く 物語誕生の裏側

──「ブラックリスト」シーズン1の第1話で、国際的な最重要指名手配犯がFBIに自首(投降)するという、衝撃的なシーンに視聴者たちが一気に引き込まれました。 この物語はどのように誕生したのでしょうか?

決して、見覚えのないストーリーではなかったと思います。若者と仕事を強いられるベテラン犯罪者の物語といえば、似たようなものが他にもありました。例えば『羊たちの沈黙』のFBIエージェントなんかがそうですね。このドラマが始まった頃は、ジェームズ・”ホワイティ”・バルジャー(※元マフィアの首領で2011年逮捕、2018年獄中死。映画『ブラック・スキャンダル』ではジョニー・デップが演じた)が捕まったころでした。彼も犯罪組織のボスであり、結果としてFBIへの情報提供者となっています。「ブラックリスト」のアイデアが生まれた時も、こういったタイプの物語は確かによくあるものでした。しかし、物語とは、得てして他の物語からアイデアを拝借して生まれるものです。本作も、バルジャーの実話や『羊たちの沈黙』のような先行するストーリーを参考にしているかもしれませんが、それは新しい物語を作り出す上での背景や起点にすぎません。

「ブラックリスト」は、こういった“お馴染みの設定なのに斬新”というストーリーがなければ、ここまで成功しなかったと思います。自首をして、若手FBIエージェントのエリザベス・キーンとの仕事を選んだ犯罪王という分かりやすい物語が受け入れられて、それが視聴者獲得につながったのだと思います。

それから、ジェームズ・スペイダーの演じ方や、彼の役の描かれ方が、このドラマを唯一無二なものにしています。彼ならではのアプローチでキャラクターを作っている。例を2つ挙げますと、まずは彼の活気あるユーモアですね。そのおかげでキャラクターに親しみやすさが生まれ、観客も彼を受け入れやすくなり、物語が楽しまれるようになっていると思います。

一方で、序盤で彼はエリザベス・キーンに彼女の傷跡や家族、母親について色々尋ねていましたが、そういった妙な、ちょっと面倒くさい興味を彼女に持つところもある。つまり、ストーリーの取っつきやすさと、彼のキャラクターへの取っつきにくさ。これが初期の頃の魅力になっていたと思います。

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──シーズン1でレディントンがエリザベスに「犯罪者のように考えろ」と教えていました。シーズン8では、エリザベスがブラックリスターとなります。つまり、あのレディントンのセリフは、伏線だったのでしょうか?

そうです。最初の段階から、どういう展開にするかは決めていました。これはテレビシリーズでは珍しいことで、第1話では、たくさんの謎を提示するのが良しとされているんです。脚本家たちもその謎の答えについてはあまり知らない。だからこそ執筆が楽しいんですけどね。テレビシリーズって、視聴者と一緒に物語を明らかにしていくようなところがあるんですよ。でも「ブラックリスト」の場合、一緒にやっているジョン・ボーケンキャンプ(製作総指揮)も私も、レディントンとエリザベスの関係がどうなるか、初めから決めていました。

一方で、レディントンがエリザベスに「犯罪者のように考えろ」と言う。彼は彼女にとってどういう存在なのか?どういう関係なのか?と気になりますよね。やがてふたりがリンクして、何年もかけて、ふたりの物語を解明していく。その中で、エリザベスはずっと、もしも自分が本当に犯罪者になってしまったら、と考えています。彼女の母親もスパイで、ロシアの悪名高いシークレット・エージェントであることも判明しますよね。エリザベスは、レイモンド・レディントンが自分にとってどういう存在なのかに気づいておらず、ずっと気になっています。自分は何者なのか?自分の運命とは?母親のような人間になってしまう宿命なのだろうか?そういう考えが、ずっと彼女の中に、そしておそらくすべての人の中にあるのでしょう。そこに自由意志はあるのか?それとも両親によって運命は決定づけられているのか?とね。とても共感できるところだと思います。

彼女が、次第に犯罪者のような行動を取るようになっていく現実と戦う物語は、はじめから決まっていました。そういえば、最初のエピソードでも、彼女がペンを取ってレイモンドの首に突き刺すという、過激な行動を取っていましたよね。若くて繊細な、新米FBIエージェントという面を見せながらも、そういった傾向が年々大きくなっていくんです。

──「ブラックリスト」のストーリーの結末は最初から決めた通りに進んでいるのですか?それとも進めながら変更しているのですか?

とても良い質問です。レイモンド・レディントンとエリザベス・キーンの関係の真相は、初めからずっと決めています。これは一度も変更されていません。「ブラックリスト」が完結したら、過去のエピソードを見返してみてください。なぜこういう描かれ方をしたのか、もっと理解できるようになると思います。中には、理解が追いつかなかったり、困惑されたものもあるでしょう。でも、それも初めから決めていた通りなんです。

もちろん、新シーズン更新が決まって、エピソード数が増えたことから、物語の伝え方を調整することはあります。でも、ストーリーの根幹はずっと変えていません。

──エリザベスとレスラーの現在の関係は、トム・キーンがいた当初の頃から思い描いていた通りなのですか?

これについてはずっと話し合ってきました。レスラーはもともとエリザベス・キーンを疑っているキャラクターでした。でも、時が経てば彼女の状況も理解してくれるだろうと思っていました。とりわけトム・キーンが死亡してライアン・エッゴールドが離脱してから、そんな話をしていましたね。

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私たちは、個人の関係についてのストーリーテリングをあまり行ってきませんでした。もしかしたら、もっとするべきだったのかもしれません。これまではレディントンとエリザベスの関係に集中してきましたからね。だから、エリザベスとレディントンや、エリザベスとトムの関係で、ストーリーの大部分が埋まっていました。でも、レスラーとエリザベスは多くを共に乗り越えてきましたし、強い絆で結ばれるのは必然だと、いつも考えていました。レスラーは誰よりもエリザベスを疑っていたのに、最終的に彼女にとって最大の守護者になっているというのが面白いと思います。今、エリザベスを護ってくれる人はどんどん少なくなっていますからね。なので、エリザベスとレスラーが今のような関係になるだろうとは思っていました。ただ、どのシーズンのどの瞬間に持ってくるかを見極めるのが難しかったです。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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