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ドラマ「ブラックリスト」シーズン8、裏話大放出 ─ プロデューサーのロングインタビュー全文

ブラックリスト
(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

ブラックリスト」ここまで続くとは思わなかった?

──「ブラックリスト」がスタートしてからもう8年が経ちます。開始時の2013年と、2021年の現在とで、書き方や製作の方向性に変化を感じることはありましたか?

テレビドラマの世界で、8年は長寿の域に入ります。特に、毎年22話もやっていますからね。(しみじみと)うん、長いですね。

変わったことはあります。大きな違いとしては、どうすれば良いストーリーが出来るか、ということがずいぶん分かるようになったということ。ドラマの立ち上がり当初というものは大抵そうなんですけど、「ブラックリスト」が始まったころも、こういうタイプの物語はこのドラマに合うだろうか、合わないだろうかと探っていました。今も物語の構造の実験を続けているところです。

最初の3年間は、どういうストーリーにするかを決めるだけで、最低でも2~3週はかかっていました。日にして10~15日です。アイデア出しから始めて、よし、これで書いてみよう、という流れです。でも今では、それが5日くらいで済むようになりました。作品への理解が深まっていますし、できること/できないことへの理解も深まりました。初めの頃は、ひとつのストーリーが終わって次のストーリーを考えなくちゃいけないときに、「もうダメだ、もう思いつかない」という感じでした。でもやっていくうちに、どう作ればよいかが、ずいぶん分かるようになりました。これが大きな変化ですね。今でも新しいエピソードの製作は怖いですし、難しいことに変わりはありませんが、ストーリーの効果的な伝え方が分かるようになったというのは、ドラマの舞台裏の大きな変化です。

──「ブラックリスト」はシーズン9まで続く、大人気シリーズです。この作品を企画された当初、こんなに長く続くと思っていましたか?どのくらいで完結する予定でしたか?

もちろん作品の成功は常に願っています。「ブラックリスト」はパイロット版の手応えもありましたし、これは成功するぞとは思っていました。でも、こんなに長く続くとは想像していませんでした。お話したように、レディントンの秘密の真相は初めから決まっていました。その真相はシーズン2で明かしてしまうつもりだったんですが、それをソニーさんに話したら、「そんなに早くに明かしちゃだめです。シーズン5まで待ってみましょう」と言われて。我々も「シーズン…5…?そんなに続かないでしょう……」と思ったものでした。こんなに続くなんて、考えもしなかったですよ。ここまで続くドラマもなかなかないと思いますしね。

──これまでに手がけられた「新ビバリーヒルズ青春白書」や「エイリアス」、「フェリシティの青春」といった成功作は「ブラックリスト」の製作にどう影響しましたか?

それについてはエピソードがあります。私が「エイリアス」の仕事をしていたころですが、あのドラマは毎エピソード、要素がギッシリだったんです。アクションもドラマも盛りだくさんで、脚本に色々詰め込みすぎたものでした。だから、時間内に収めるためにカットもしなくちゃいけなくてね。とあるエピソードで、(製作・脚本の)J・J・エイブラムスに、「このエピソードのこのシーンはカットできると思います。そうしたら時間内に収まる」という話をしたら、彼は「そのシーンは僕が唯一好きなシーンなのに」というんです。私は「どういうことですか、唯一好きなシーンだなんて。カットできるはずですよ。ストーリーに影響も出ないでしょう」と反論しました。すると彼は、「ストーリーには関係のないシーンだけど、キャラクター性がよく表れるシーンなんです。犯人は誰なのかとか、誰が事件を解決するのか、ということには確かに繋がらない。でも、キャラクターのことをとても伝えてくれているシーンなんです」と。そこで私もハっとしました。大切なのは、感情のストーリーであり、それはプロット上のストーリーよりも重要なのだと。

「ブラックリスト」には素晴らしい犯罪者がたくさん登場して、彼らについて書くのはとても楽しいです。それでも、成功するキャラクターとは、力強い感情のストーリーがあってこそなのです。だからこそ、なぜこの人物はこういう人物なのかが分かる。それがレギュラーキャラクターを描く上で大切なことです。たとえば、すべてFBIのシーンだけにして、「こういう手がかりがある、つまりああいう手がかりが判明する」という風に、謎解きのシーンだけをただ繋げることは簡単です。でも、ひとつのシーンをひとつの手がかりに紐付けて、また別の手がかりにつなげる、なんてシーンは作りません。こういう学びを、長い時間かけて得ました。もっと早くに学んでおくべきだったとも思います。見過ごされがちな気がしますが、これが最も大切なことだと思います。大切なのは、感情のストーリーだということです。

ブラックリスト
(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

──シーズン5の第8話、トム・キーンが死ぬシーンで、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」のディスターブド(Disturbed、アメリカのヘヴィメタルバンド)版が流れていて、とてもエモーショナルでした。エピソードやシーンのBGMはどうやって決めているんですか?

正直、その一曲を挙げて頂いたのは面白いですね。私は音楽のことは全然詳しくないんですが、その曲は過去5年で唯一私が選んだ曲だったんです。たいていの場合、誰かがエピソードを執筆して、その時点で音楽についても部分的に考えられているんです。ここにはこういう曲が合うだろう、という風に。

今回の例ですと、私がその場面を書いているときに、── 私は年ですし、レパートリーも多くないので ── サイモン&ガーファンクルのオリジナル版の方の曲を考えていたんです。そうしたら、激しいアレンジのカバー版を発見して。あのシーンではセリフがほとんどないので、文字通り「サイレンス」だし、「サウンド」もあるし、ピッタリな曲だなと思ったんです。挿入歌は、こんな風に決まるんですよ。脚本家が選んだ曲が(権利の都合で)使用できなかったり、使用料が高額すぎることもありますけどね。それに我々には素晴らしいミュージック・スーパーバイザーがついていて、楽曲の提案をしてくれるんです。ふだん、音楽は撮影と編集が済んでから挿入されます。脚本家が想定していた楽曲が使えない場合、どの曲を使用するかは、映像を見て後から決まるんです私なんかよりもずっと音楽に詳しい人がいて、彼らが決めてくれます。基本的に、ジョン・ボーケンキャンプがミュージック・スーパーバイザーと一緒に選んでいますね。それから音楽エディターも、このドラマを何年も手掛けているので、どういう曲がハマるかが分かる。なので、彼らが選曲しています。ところで、「サウンド・オブ・サイレンス」を挙げてもらったのは嬉しいですね!唯一、私が選曲したものなので、選んでよかったです!

Writer

THE RIVER編集部
THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

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