ニール・ブロムカンプ『エイリアン』第5作、企画頓挫の理由 ─「『チャッピー』をリドリー・スコットが観たからかも」と監督が持論

『第9地区』(2009)『エリジウム』(2013)など、近未来を舞台に実験的な題材&革新的な表現で観客を魅了してきた鬼才ニール・ブロムカンプは、『エイリアン』シリーズ第5作の監督として起用されていた。ところが、本作は企画が大きく進展することなくお蔵入りとなってしまったのだ。その理由は監督いわく、『チャッピー』(2015)にあるかもしれないという。
『エイリアン』シリーズ第5作がはじめて発表されたのは、2015年。しかしその2年後には、シリーズの生みの親であるリドリー・スコットが企画頓挫を認めていた。当時、プロデューサーとして本作に関与していたスコットは、「脚本が存在していたわけではありません。あったのは、10ページにわたるアイデアが書かれた企画書だけだと思います。それが進展することはありませんでした。20世紀フォックスがやりたがらなかったんです」と説明。一方で、The Guardianにてブロムカンプは中止となった理由について、「リドリーは『チャッピー』を観て、“『エイリアン』はコイツには無理だから前に進もう”ということになった可能性もあるでしょう」と微笑みながら持論を述べている。
この持論は監督による冗談とも捉えられるが、わざわざ自身の監督作を例に挙げている理由は何なのかというと、それは、『チャッピー』の批評家からの評価が厳しいものだったからだろう。なおブロムカンプは、同作にも出演していたシガニー・ウィーバーが、エレン・リプリー役として復帰する予定だったことも明らかにしている。「シガニーには申し訳ないことをしたと思っています。彼女は僕が進めていた企画に夢中になっていたので。[中略]僕が納得がいかないのは、観客が求めている内容になっていたはずにもかかわらず、フォックスがお金を出してくれなかったことです」。
ちなみに『エイリアン』シリーズは現在、「FARGO/ファーゴ」(2014-)「レギオン」(2017-2019)のノア・ホーリーのもとでドラマ版が進行している。2023年の放送に向けて進められている同企画は、リプリーの物語ではなく、「汚れ仕事をさせるために派遣する人間」と「派遣される側の人間」を通して、「不平等」を捉えていく内容になるとのことだ。
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Source: The Guardian , Allocine