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新型コロナ流行で映画界どうなる、 『ゲット・アウト』製作者ジェイソン・ブラムが予測

ジェイソン・ブラム
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/42942702824/

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、ハリウッドにあまりにも大きな影響を与えた。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『ブラック・ウィドウ』など、春の映画館を盛り上げる予定だった大作映画は相次いで公開延期。北米で5,000館以上の映画館が休業に入り、週末興行成績は史上初めての「報告なし」という結果になったのだ。多くの業界と同じく、映画業界にも計り知れないダメージが生じている。

では、いずれ新型コロナウイルスの流行が収まった時、ハリウッドはどうなっているのか。「映画業界に根本的な影響が生じる」と予測するのは、ホラー映画界の気鋭プロデューサーであるジェイソン・ブラム。『ゲット・アウト』(2017)や『ハロウィン』(2018)、『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどを手がけてきた人物だ。

新型コロナウイルス問題、配信重視の動きを後押しか

現在、映画館の休業を受けて、大手スタジオは新作映画のオンデマンド配信を順次開始している。ブラムによる最新作『透明人間』も、ユニバーサル・ピクチャーズによって米国内での配信が決断されたのだ。ブラムの言う「根本的な影響」とは、すなわち、劇場とストリーミングサービスの関係性にも繋がる問題である。

「映画を観客の自宅に届けるまで、すべてのスタジオを4ヶ月待たせるのは現実的ではありません。彼らはAmazonやNetflix、Appleと、また違った形で戦わなきゃいけませんしね。だから変化は起こりますよ。映画業界には根本的な影響が生じると思いますし、すぐにでも変化があるでしょう。(新型コロナウイルスの影響で)消費者は家にいることに慣れるし、だから、何かを諦めることになります。コロナ後には、確実にそういうことが起こる。今がどういう段階なのかは分かりません。ですが、コロナウイルスの流行を経て、映画業界は大きく変化すると思います。」

ただしブラムは、新型コロナウイルスの影響でストリーミングサービスの存在感が高まる可能性を予測しつつも、「映画館が消滅するとは思わない」と言い切っている。「300ドル払って舞台を観る人たちがいるのと同じで、これからも映画館に行く人はいる」と。その一方で、ある意味では、非常に厳しい未来を予測してもいるのだった。

「みんなで劇場に行って映画を観る、という体験はずっと残ると思います。だけど、映画館で上映される作品は少なくなるでしょう。いや、映画館で上映できる枠がずっと減るのだというべきですね。映画館では上映される、けれども1~2週間かぎり…という映画はとても増えると思います。」

今後、劇場公開作品が減るのではないかという予測は、Netflixなどストリーミングサービスの台頭を受けてしばしば語られてきたものだ。現在ブラムは、観客が映画館に足を運べない現状を受けて、この流れが加速するとみているのである。

もっともホラー/スリラー映画を主に手がけるブラムは、この変化にひとつの懸念を抱いている。ストリーミングの場合、どうしても映画に集中しない観客が増えるのだ。「ホラーの恐怖を成功させるには、観客がずっと集中していなければいけません。直前の1分間のうち、10秒観ていなかっただけで怖くなくなってしまう。だから家でホラーを観ても、まったく怖くなかったり、映画館で観る怖さからは程遠くなってしまったりするんですよ」。

新型コロナウイルスの影響を受け、ハリウッドはどう変わるのか。数ヶ月にわたる影響がほぼ確実視されている以上、再開後の動向には大きな注目が集まることになるだろう。ここまで大きな動きとなった以上、業界関係者だけでなく、観客のひとりひとりがもはや当事者だ。

中国では映画業界の再起動はじまる

Source: Ben Shapiro

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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