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【ネタバレ】「ボバ・フェット」チャプター3、2つの批判に出演者らがコメント「これは60年代モッズへのオマージュ」

ボバ・フェット/The Book of Boba Fett
(C)2022 Lucasfilm Ltd.

この記事には、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」チャプター3のネタバレが含まれています。

ドラマ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」チャプター3では、前エピソードまでに引き続き、ボバ・フェットが『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)で呑まれたサルラックから生還し、タスケン・レイダーのキャンプに救われた後の「過去」と、ボバがモス・エスパの“大名”となった「現在」の、2つのタイムラインの物語が描かれた。ユニバース屈指の人気キャラクターの知られざる物語を描く作品として高い注目を浴びている本シリーズだが、チャプター3の描写にはファンが納得できなものがあったようだ。

タスケン・レイダーの虐殺

ボバ・フェット/The Book of Boba Fett
(C)2022 Lucasfilm Ltd.

まずは「過去」編。ボバは“サンドピープル”ことタスケン・レイダーの一族に保護され、彼らに混じって格闘術を学び、時にはボバが主導して因縁の相手と戦うこともあった。ボバとタスケンはすっかり絆を深めた様子。ボバは一族の儀式にも迎え入れられ、さらには一族の証である特製の武器まで授けられるに至った。

これまでの映画シリーズで、タスケン・レイダーは野蛮な一族として描かれた。初登場となった『エピソード4/新たなる希望』(1977)ではルーク・スカイウォーカーを襲ったり、『エピソード1/ファントム・メナス』(1999)はポッドレースのコース上でレーサーを狙撃して楽しんだりしていた。最も強烈なのが『エピソード2/クローンの攻撃』(2002)で、彼らはアナキン・スカイウォーカーの母シミを誘拐し、暴行死させている(これがアナキンに深い怒りを起こし、後のダークサイド落ちに繋がるきっかけとなったとも言える)。

ところがドラマ「ボバ・フェット」では、厄介者だったタスケン・レイダーの生態系を明らかにし、彼らにも彼らなりの秩序や、彼らにとっての生命の脅威があることを詳しく描いた。物語の主人公をその一族の中に配置することで、「彼らは思っていたほど野蛮な連中ではないのかもしれない」という再評価を、観客に行わせていたのだ。

しかし、こうした思いはチャプター3で裏切られることになってしまう。ボバがパイクのリーダーとの交渉から戻ってくると、タスケンのキャンプから煙が上がっているのが見える。駆け寄ってみると、何者かにキャンプが襲撃され、焼き焦げているではないか。これまで生活を共にしたタスケン・レイダーの人々の遺体、そしてバンサまでもが、無残にも砂上に転がっている。焦げたテントには、以前見かけたギャングのマークが、まるで挑戦状のように書き残されている。ボバは、新たに得たと思っていた“家族”を、砂漠の中でささやかに火葬する。燃え上がる亡骸を見つめるボバの瞳には涙が浮かぶのだった。

このドラマでのタスケン・レイダーの描かれ方は好評を博していただけに、彼らが突然残酷に皆殺しにされてしまったことで、ファンの間では物議を醸している。ボバ・フェット役のテムエラ・モリソンによれば、当初の脚本では、火葬シーンはさらにあっさりしたものだったと言う。

「(脚本で)ただ死体を燃やす、というのを読んだときに、“おっと、ちょっと待て。もっと儀式をしてやらなきゃ”と思いました。とはいえ彼らはタトゥイーンの砂漠の先住民だから、彼ら自身の文化に基づく歴史を作りたかった。」

そこで「自分自身の文化を参考にしました。儀式で、戦士や武器を用意するんです」と、ニュージーランド出身のモリソンは語る。実際に本編では、ボバがタスケンの武器を一緒に供養してやっていたが、これはモリソンのアイデアによるものと思われる。「ボバはこれまで、本物の家族というものを経験したことがなかった」とモリソンは続ける。

フェネック・シャン役のミンナ・ウェンは、火葬は「スター・ウォーズらしい要素」だと語っている。「『新たなる希望』でも、ジャワ族もそうされていました。タトゥイーンでは死体を砂漠に放置するのではなく、火葬するという儀式が行われているのです」。

タスケンが殺された際、それは火葬されるものだということは理にかなっているものの、彼らの説明は、ボバの新たな家族であるタスケンが突然無残に殺されたという喪失感の穴埋めにはなっていない。彼らの死は、おそらく主人公ボバに大きな喪失を経験させ、物語を次のステージに進めるための機能であったか、あるいはボバの精神に何らかの強い影響を及ぼすためのものであるのだろう。その無念や、そこで得た決意が、今後のエピソードでボバから語られることに期待したい。

カラフルすぎる?若きギャング団

もう一つの批判は、「現在」編で新たに登場した、ベスパのようなホバースクーターに乗った若いギャング団についてだ。彼らは結果としてボバの傘下に加わり、物語にも大きく絡んでいくことになるのだが、そのツヤピカでカラフルな機体が「『スター・ウォーズ』らしくない」と不評なようなのである。「一部のファンはパワーレンジャーに例えている」と、米The Hollywood Reporterは記している。

「我々がコントロールできないようなこともあります。演者として、“この人たちとは仕事をしたくない、これではダメだ”なんて言うわけにはいかない」と、モリソンは意味深に答えている。その一方で、「彼らはたくさんのカラーをもたらしてくれた。素晴らしかったと思いますし、すごく頑張っていましたよ」と、共演者として擁護はしているようだ。

ウェンは、もっと具体的な理由と共にバイカーたちを支持している。「これはジョージ・ルーカスが大好きだった、60年代モッズへのオマージュなんですよ。それから『アメリカン・グラフィティ』のね」。

スピーダーバイクでのチェイスシーンといえば、『スター・ウォーズ』ではお馴染みの展開だ。彼らがモス・エスパの市街地で繰り広げたチェイスは、確かにスピード不足・迫力不足感は否めなかったものの、まさにウェンの言うように、若きルーカスの駆け出し作『アメリカン・グラフィティ』(1973)的なカラーパレットで『スター・ウォーズ』のチェイスシーンを見つめ直した演出だ。ギャング団が残りのエピソードでどれほど物語に関与するかは未知数だが、さらなる活躍を楽しみに見たい。

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Source:THR

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。