「ブレイキング・バッド」最終シーズン、冒頭の伏線をどう回収するか何も考えていなかった ─ 「何とかなるだろうと思ってた」と製作者

海外ドラマ「ブレイキング・バッド」最終シーズンの冒頭には、シリーズの最終回につながる見事な伏線が登場する。しかしクリエイターのヴィンス・ギリガンによれば、当初その伏線をどう回収するか考えていなかったようだ。
この記事には、「ブレイキング・バッド」シーズン5の内容が含まれています。

「ブレイキング・バッド」シーズン5第1話は、52歳の誕生日を迎えたウォルター・ホワイト(ブライアン・クランストン)が、デニーズで朝食をとるフラッシュフォワードから始まる。ウォルターはトイレで武器商人と取引した後、駐車場に停まっているキャデラックのトランクを開ける。そこには、M60機関銃とマニュアルが積まれていた。

米Varietyのインタビューで、この冒頭シーンを振り返ったギリガンは、「あの機関銃をどうするか?というのが、我々の抱いた最大の不安でした」と告白。なんとも意味深に登場した機関銃だが、これをどう活かすかはノープランだったようだ。
「その後どうするかもわからないのに、ウォルター・ホワイトがマシンガンを買うというアイデアにコミットしたことは、僕のキャリアの中で最も愚かなことのひとつでした。何の手がかりもなかったんです。文字通り、僕は何カ月も完全にパニックに陥っていましたよ。一日中ライターズルームで壁に頭を打ちつけていました。」
当初は「今シーズンの幕開けを華々しく飾ろう」という思いから、機関銃を登場させたというギリガン。その後の展開が決まっていなくても、「自分たちなら何とかなるだろう、という思い上がりも少しはあった」という。一度は「思考実験のために、機関銃の件はなかったことにしよう」と提案したこともあったが、「他の脚本家たちから“マシンガンに対処する必要がある”と強く説得された」と語った。
そして最終的に、「ウォルターは今何を望んでいるのか?彼の行く手を阻む障害は何か?」と思考を巡らせることで、機関銃で復讐を果たすという見事なフィナーレを思いついたようだ。シリーズ最終話『フェリーナ』では、ウォルターが車のトランクに仕掛けた機関銃を作動させ、最大の敵であるジャック一味に銃撃を食らわせる。こうして、ジャックに殺された義弟ハンク(ディーン・ノリス)の仇を討ち、奴隷にされていたジェシー・ピンクマン(アーロン・ポール)を解放するのであった。

自らを窮地に追い込み「間抜けなこと」をしたと振り返ったギリガンだが、フィナーレの完璧さを考えれば、見事な決断だったと言えるかもしれない。ただしギリガンは「ショーランナーのキャリアを夢見る人たち」に対して、「このようなやり方はやめた方がいい!苦しいし、恐ろしいですよ」とアドバイスを贈っている。
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Source:Variety