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イギリスのEU離脱、政治スリラーとしてドラマ化決定 ― ベネディクト・カンバーバッチ、離脱運動の仕掛け人演じる

ベネディクト・カンバーバッチ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28059440914/

2016年、イギリスの欧州連合(EU)離脱が国民投票によって決定された。「ブレグジット(Brexit)」と呼ばれて世界中に衝撃を与えたこの出来事が、イギリスの公共放送チャンネル4にて早くもドラマ化される。
タイトルは仮題ながら『ブレグジット(原題:Brexit)』。シリーズではなく単独の作品となり、ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』(2010-)や、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)など数々の作品で知られるベネディクト・カンバーバッチが主演を務める。

イギリスのEU離脱の背景には、現在もなお世界各国で議論されている移民問題があった。EUが拡大を続ける中、イギリスに移住する移民は跡を絶たず、イギリス国民が労働の機会を奪われている、公共サービスをあるべき形で享受できていないという指摘が有権者から数多くあがっていたのだ。ヨーロッパ各地でテロ事件が相次ぐ中、政治家がこの問題に適切に取り組めなかった、国民の不安を払拭できなかったことも、離脱に賛成する声が高まった要因とみられる。
2016年6月23日に実施された国民投票は、離脱派が約52%、残留派が約48%と離脱派が僅差で勝利した。イギリスがEU離脱するのは2019年3月29日、すでに残り約10ヶ月となっている。

こうした状況下で製作されるドラマ『ブレグジット(仮題)』は、この歴史的国民投票を紐解き、イギリス国民の心をつかんだ「ボート・リーヴ(Vote Leave)」なるキャンペーンを解剖するポリティカル・スリラーになるという。ベネディクト・カンバーバッチは「ボート・リーヴ」を主導したEU離脱のキーパーソン、戦略家のドミニク・カミングスを演じる。

本作の脚本を執筆するのは、映画『僕と世界の方程式』(2014)を手がけたイギリスの劇作家であるジェームズ・グレアム。記憶に新しい歴史的“事件”をドラマ化するにあたって、以下のコメントを発表している。

「あの歴史的投票のさなかで起きたこと、その中に潜り込める機会を得られたことに非常に興奮――そして言うまでもなく、少しばかりの不安をおぼえています。キャンペーン(ボート・リーヴ)の裏側を描くことで、この国を永遠に変えてしまった8週間の出来事が招いた結果について問いただすことができればと思います。」

なお監督は、ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』シーズン2第3話「ライヘンバッハ・ヒーロー」(2012)、『ブラック・ミラー』シーズン4第1話「宇宙船カリスター号」(2017)でメガホンを取ったトビー・ヘインズが務める。実力に申し分ないスタッフとベネディクト・カンバーバッチのタッグが、ブレグジットの背景をいかに抉り取るのか……。日本で観られる日が今から楽しみだ。

Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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