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引退のブルース・ウィリス、認識能力低下のため「私の知っているブルースではなかった」と周囲 ─ 銃撃シーンあわや事故に

Bruce Willis ブルース・ウィリス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/22007612@N05/41849461220

失語症により俳優業引退を発表したブルース・ウィリスと直近の作品で仕事を共にしたマイク・バーンズ監督が、2021年公開の『ミッドナイト・イン・ザ・スイッチグラス』と『アウト・オブ・デス』での撮影時からウィリスが認識能力を著しく低下させていたことを明かした。さらに映画『ハード・キル』(2020)で共演したララ・ケントによれば、小道具の銃を用いたシーンの撮影時には、ウィリスが段取りを忘れてしまったことで危機一髪の状況が生じていたという。

2022年3月30日(米国時間)、ウィリスの家族は、最近になりウィリスが失語症を診断されたことを伝える声明文を公表し、あわせて俳優業引退も発表した。この時、具体的な症状までは明かされていなかったが、ここ数年間で公開された映画の撮影現場では予兆がすでに現れていたという。

Los Angeles Timesは、俳優引退が公になる前に、ウィリスと関わりのある約20名の製作陣や共演者に取材を行っていた。ウィリスと連続でタッグを組んだマイク・バーンズ監督によれば、『アウト・オブ・デス』ではウィリスの脚本パートの削減が撮影開始の数日前に要求されていたという。また、撮影が開始されると、バーンズ監督はウィリスの症状悪化を目の当たりにしたのだった。「彼との初日で、私はずっと危険な状態なんだということを身をもって知りました。なんで彼のセリフを減らせと言われたのかも。」

さらにバーンズ監督は、上述2作に続くウィリスとの最新タッグ作『Wrong Place』を打診された2021年10月時を回顧。この時、バーンズ監督はウィリスの代理人に彼の調子を聞いたところ、「彼は去年より見違えるほど良くなっています」と伝えられたのだという。「私はその言葉を信じました」と語るバーンズ監督だが、実際はそうではなかった。『Wrong Place』での撮影時をバーンズ監督はこう振り返る。

「彼が良くなっているだなんて思えませんでした。むしろ悪くなっていると感じました。撮影が終わった後、私はこう言いました。“もうおしまい。ブルース・ウィリスの映画はもう撮れない”と。彼が休みを取れると思うと安心します。」

バーンズ監督の証言から、ウィリス側も認識能力の低下は自覚していたことがうかがえるが、2020年公開の映画『ハード・キル』では、危険な状況が生まれていたという。これを語ったのが、出演者のララ・ケント。劇中では、「ケント演じる女性が敵に襲われそうになったところを、背後にいたウィリス演じる主人公が銃を撃って救う」という場面が登場する。撮影前の段取りでは、「ウィリスが銃を撃つ時はその合図としてセリフを発し、これを聞いたケントが身をかがめる」というものだったという。しかし、ウィリスがセリフを言い忘れてしまったことで、ケントは死と隣合わせの状況に陥っていた。

「人生はここで終わりだ、とその時は思いました。それからすぐに私の父親が駆けつけてくれて、助かりました。私の背中は彼に向けられていたので、後ろで何が起きているのかを把握できませんでした。でも最初は、“大したことない。やり直しましょう”って感じだったと思います。」

しかし、状況をさらに悪化させたのがこの後。ケントはマット・エスカンダリ監督に段取りをリマインドするよう求めたというが、これにもかかわらずウィリスはミスを繰り返してしまったのだという。現場にいた製作クルーの1人によれば、ウィリスは「別のセリフで発射してしまった」とのこと。ここからも、症状の深刻さがうかがえる。なお『ハード・キル』の現場では、この一件による負傷は出ていない。

このほか複数の関係者によれば、ウィリスは一日の撮影時間に制限を設けたり、イヤフォンを通して共演者にセリフを伝えてもらう助けを得たりして、撮影に挑んでいたとのこと。症状が酷い時には、撮影現場でウィリスが「君がここにいることは知ってるけど、俺はなんでここにいるんだ?」と話し、目的さえ忘れてしまうこともあったという。

今後公開を控える映画『White Elephant(原題)』を手掛け、ウィリスとは数十年来の付き合いがあるジェシー・V・ジョンソン監督は、2021年4月に開始された同作の撮影でウィリスと再会した時をこう振り返る。「私の知っているブルースではなかったです」。また、同作の製作を管轄したテリー・マーティンは、ウィリスの様子を「目標を見失ったみたいだった」と証言する。「それから、彼は言うんです。“ベストを尽くすよ”って。彼はいつの時代も最高でしたし、彼の全ての仕事に対して称賛と尊敬の念を私は持っています。それでも彼にとっては、潮時だったのでしょうね」。

なお、ウィリスの引退発表後には映画界から労いの言葉が数多く寄せられ、『パルプ・フィクション』(1994)共演者にして最新作『Paradise City』でウィリスと再タッグを組んだジョン・トラボルタや、『シックス・センス』(1999)のハーレイ・ジョエル・オスメントとM・ナイト・シャマラン監督といった俳優・フィルムメーカーたちがSNSを更新している。また、2022年の“ラジー賞”ことゴールデン・ラズベリー賞の主催者側は、2021年にウィリスが8本の映画に出演したことを受けて特設した部門「2021年映画のブルース・ウィリスの最低演技賞」を取り下げることを発表した

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Source: Los Angeles Times,Deadline

Writer

SAWADA
SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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