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映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネのドキュメンタリーがYouTubeプレミア公開決定

エンニオ・モリコーネ
©MARKA/Alamy Stock Photo

『荒野の用心棒』(1966)や『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)など、数々の名画の音楽で知られ、2020年7月6日にこの世を去った映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー『Celebrating Ennio Morricone: The Secrets Behind His Genius』(エンニオ・モリコーネを称えて:その才能の裏に隠された秘密)がYouTubeプレミア上映となることが決定した。上映は日本時間11月10日(火)23時から。

映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ没後初の新譜として11月6日に発売されたアルバム『モリコーネの秘密』(Morricone Segreto)のリリースと、エンニオ・モリコーネ92回目の誕生日となるはずだった11月10日を記念したもの。

ドキュメンタリーはローマにあるモリコーネのスタジオで2020年10月下旬に撮影された。彼と親しい仲だった共同制作者たちが数年振りに再会。モリコーネの有名なスコアの制作に関わった5人の著名な音楽家たち──アルゼンチン人のオルガン奏者Giorgio Carnini(ジョルジョ・カルニーニ)、ギター兼作曲のBruno Battisti D’Amario(ブルーノ・バティスティ・ダマーリオ)、サックス兼編曲のGianni Oddi(ジアンニ・オディ)、ピアノ兼作曲のEnrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ)、そしてヴォーカルのEdda Dell’Orso(エッダ・デッローソ)というモリコーネのいわば「夢のチーム」──が今回の『モリコーネの秘密』の特別なリスニングセッションのために集まり、彼の思い出話を語り、60年以上に及ぶそのきらびやかなキャリアを偲んでいる。彼らは皆、『モリコーネの秘密』収録曲に参加している伝説的なミュージシャンたちだ。

現在は30秒のティザー映像が公開されている。

ドキュメンタリーの撮影ならびに再会は、モリコーネがArmando Trovajoli(アルマンド・トロヴァヨーリ)、Luis Bacalov(ルイス・バカロフ)ならびにPiero Piccioni(ピエロ・ピッチオーニ)と共に1970年に設立した歴史的なローマのスタジオ、フォーラム・ミュージック・ビレッジで行われた。このスタジオでは、Once Upon a Time in America(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)(1984)やCinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)(1988)を含めたモリコーネによる数多くの有名なサウンドトラックをレコーディングした伝説のスタジオだ。

ミュージシャンの他にフォーラム・ミュージック・ビレッジの社長Marco Patrignani(マルコ・パトリニャーニ)、そしてモリコーネの長男Marco(マルコ)も参加。過去50年にわたりマエストロによる伝説のサウンドを特徴づけ、今日「サウンドトラックの殿堂」として知られるフォーラム・ミュージック・ビレッジは、その他多くの世界的に有名なアーティストを輩出してきた。

Marco Morricone(マルコ・モリコーネ)は今回の『モリコーネの秘密』について、「このコレクションに収められた音楽は、おそらくそれほど知られたものではないでしょう。けれども、どれも素晴らしい実験的な過程ならびに絶え間ない研究の結果で、音の大海への完全な没入に導かれたものです。この道のおかげで、父は楽器ならびにオーケストラを深く理解するようになりました。それはまるで、父が人間の持つ知識全てを知るようになったかのようです。そしてさらにその先に進み、その中に身を投げ出し全てをやってみる勇気が父にはありました。これらエキサイティングな収録曲の中に、父の姿が見えます」と語っている。

『モリコーネの秘密』には、モリコーネが最も創作意欲高く活動していた1960年代後半から1980年代前半にかけて録音されたものの、イタリアの老舗レーベルであるCAMシュガーに長らく眠っていた数々の激レア音源を惜しみなく収録。彼のキャリアを振り返るうえでも絶好の内容となっている。今回が初商品化となる7曲の未発表音源と共に、アルバム全編にわたってミステリアスな声や歪んだギター、不穏なストリングスやシンセサイザーが当時のモダンなサウンドと交じり合い、モリコーネにしか創りえないアヴァンギャルドな音世界が繰り広げられている。中でも「彼女のために彼がいる」、「スターク・システム」、「シチリア人の一族」は白眉の出来栄えだ。

今回のドキュメンタリーはそんな『モリコーネの秘密』の音楽をより深く理解出来る絶好の機会。映像内で繰り広げられる数々の貴重な映像やエピソードを堪能しつつ、マエストロが美しいメロディの裏に隠していた秘密をぜひ楽しもう。

エンニオ・モリコーネは1928年11月10日、ローマに生まれる。60年以上にわたるキャリアの中で600以上の作品を残した、映画音楽の巨匠。

ローマのサンタ・チェチーリア音楽院でゴッフレド・ペトラッシに作曲技法を学び、作曲家としてテレビ・ラジオ等の音楽を担当。1960年代からセルジオ・レオーネ監督とのコンビによる数々の「マカロニ・ウェスタン」作品で頭角を現した。1986年の『ミッション』以降はイタリア国外でも評価が高まり、1987年の『アンタッチャブル』でグラミー賞を受賞。1989年には『ニュー・シネマ・パラダイス』で世界的な知名度を獲得する。

日本でも2003年にNHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』の音楽を担当した。2007年にはアカデミー賞名誉賞を受賞。2016年、『ヘイトフル・エイト』でアカデミー賞作曲賞を受賞。2017年にはイタリア共和国功労勲章を受章するなど晩年においても目覚ましい活躍を続けた。2020年7月6日、ローマの病院で死去。享年91歳だった。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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